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カテゴリ:音楽
1. 愛し愛されて生きるのさ
2. ラヴリー 3. 東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディ・ブロー 4. いちょう並木のセレナーデ 5. ドアをノックするのは誰だ?(ボーイズ・ライフ・パート1:クリスマス・ストーリー) 6. 今夜はブギー・バック(ナイス・ヴォーカル) 7. ぼくらが旅に出る理由 8. おやすみなさい,仔猫ちゃん! 9. いちょう並木のセレナーデ(リプライズ) ■東京タワーで思い出す音楽といえば、まず真っ先に思い浮かべるのは遠藤賢司の東京ワッショイ収録の「哀愁の東京タワー」で、それはフォークギターをシンセサイザーに持ち替えたエンケンがテクノ風味満載でその煌めく電飾を背景に夜道を肩をすぼめて歩く男の背中を歌った物悲しい曲だ。 ■それではアルバム単位で考えると何を思い出すかといえば、オザケンだった頃の小沢健二の「LIFE」になる。そこでは背中を丸め、疲れ果てた男の後ろ姿とは正反対の人生のあらゆる出来事をマイナスからプラスに変えてしまうような幸福感に溢れた気分に支配された名盤である。 ■躍動するファンキーなリズム、明朗で活発なメロディ、爆発するアムールをダイナマイトな魅力でガンガンに歌うオザケンには多幸感のオーラが身体中に溢れていた。スリーブに写っている彼の表情も大きな口を開けて幸せを謳歌しているように見えたし、居並ぶ名曲群もまた、ハッピィな気持ちを煽るものばかりだった。 ■日本のポップ界においても間違いなく最高の部類に入る偉大なる傑作だと思っている。とりわけM1からM5までのハイクオリティな楽曲の連続技は幸せの絶頂を音楽で体現した奇跡のような25分だと思う。その中でも特にグレイトなM2とM5が何故にあんなにファンキーで登りつめるのかと考えてみたらストリングス・アレンジがもたらす曲の高揚感のせいだと気づいた。この仕事、調べてみたらクレジットはやはりまた服部隆之。まったくこの人のポップカルチャーにおける貢献度は計り知れない。 ■M6についてはスチャダラに軸足をうつしたSmooth Rap 編の方がより好みだが、この曲についてはカラオケにおいて常に私の独壇場にその場を持って行ってしまう自信がある。それにしても初めてこの曲を聞いた時は、日本語の語感とかニュアンスとかが洋楽的語彙にかくも肉薄するものなのかと衝撃を受けたものだ。 ■この作品をピークにオザケンのポップ感は徐々に衰退していくのだけれど、それはこのアルバムでも全曲ノリのいいドラムを叩いていたスカパラ青木達之氏の不在の影響が大きいと考える。(邪推だが) ■誰の「LIFE」にも幸せに満ちている時間は必ずある。それがずっとずっと続く「LIFE」もまた、考えようによっては退屈なもののように見えないか。変化することが成長の証だとしたら、メジャーな彼もマイナーな彼も丸ごと受けとめるリスナーであり続けたい。それでもこのアルバムはいつまでも私の心のベストテン第1位にずっとずっとランクされ続けるものであると思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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