トカトントン 2.1

■大晦日は音楽編です。今年は10枚に絞るのがとても難しい。それだけたくさんの引っかかる音楽があったわけですよ。トリビュートものもそれだけでベストテンができそうな勢いだったけど、あえて除外。洋楽に関してもそれだけで10枚選べれば良いんだけど、それもできないので除外。で、こんな結果になりました。

第10位　「Musical」　クラムボン

このバンドはライブでよりいっそう輝く感じがするんだけど、このCDでは今まで以上の躍動感を感じた。スリーピースでありながら、ギターレスというところも面白い。３人の多彩な感じが際立つ一枚。


第９位　「ダブルドライブ」　井上陽水＋奥田民生

この曲はどっちが書いたか問題、全問正解はなかなか難しかった。陽水が書きそうな詞を民生が書いたり、民生が書きそうな曲を陽水が書いたり。そういう意味ではトリビュート・イーチ・アザーみたい。今年はギタリスト奥田が目立った年。新年早々でる彼の新作が楽しみ。


第８位　「yanokami」　矢野顕子＋レイ・ハラカミ

例の細野トリビュートの「恋は桃色」が素晴らしくて、フルアルバムを熱望していたら、それが叶った。基本的に矢野曲にハラカミアレンジが被さるという作風。できれば（それがあるとすれば）次回はその逆を聞いてみたい。


第７位　「シネマ・リターンズ」　シネマ

極上ポップアルバム。今でもニューウエイブって呼んでしまいたいような切れ味を感じる。テーマは映画、どの曲も映像が浮かぶ。祝、鈴木さえ子復活。あ、左衛子だった。


第６位　「Music & Me」　原田知世

職業音楽家の居並ぶベストテンのこんな所に女優さんが。良いドラマが素晴らしい脚本と演出に支えられているように、名盤も良きアレンジャー、プロデューサーが良い仕事をすればできあがる。癒しの一枚。


第５位　「空洞です」　ゆらゆら帝国

「あえて抵抗しない」「まだ生きている」「美しい」。そんなタイトルだけ見ても、ただものではない感じがムンムン。歌詞と、その音楽と、醸し出す雰囲気が渾然一体となってこのバンドの印象となっている。文芸？退廃？カルト？ま、一度聞けばわかる。


第４位　「Coyote」　佐野元春

音楽は遊びの極みだと思っているんだけど、この人のそれに対する真摯な想いには頭を下げよう。信念の人、孤高の人というイメージ。それが他を寄せつけないかといえば、みんな彼のもとへ集まってくる。これも人望なんだろう。


第３位　「政風会」　直江政広＋鈴木博文

カーネーションの直枝氏とムーンライダーズの博文氏のユニットの２０年来のデビューアルバム。ライダーズ関連で今年最もリリースが多かったのは鈴木博文。このアルバムでは奇数曲の直枝氏の攻めの姿勢と偶数曲の博文曲の包容力のバランスが絶妙。名盤。


第２位　「Flying Saucer 1947」　細野晴臣＆ワールドシャイネス

好々爺いきいき歌う。コンピュータの前で頭を抱えて音楽を作るより、こういう風に息のあった仲間たちとギターやベースを弾いて楽しそうに歌を歌っている方が、この人には相応しく思う。凝ったアートワークも素敵でした。


第１位　「ワルツを踊れ」　くるり

オープニングのオーケストラが鳴りやんで「ブレーメン」に繋がるところで鳥肌が立った。リズム＆ブルースでも、カントリーでも、ジャズでもなく、行き着いたところはクラシック。そこにポップの原点があったということか。個人的に文句なしのナンバーワン。


PS

次点はチャットモンチー「生命力」。細野トリビュート（第二弾にも期待）の他にも、ユニトリ、民カバ、ジョニミ・トリ、ペンギン・トリなど傑作トリビュート多し。事変もスピッツも和幸も斉藤和義も100sも入れられなかった、ごめんなさい。

■今年の総括。各エントリー数は「音楽」118件、「読書」82件、「テレビ番組」76件、「映画」46件、「サッカー」40件、「演劇」6件。どうやら音楽ブログの面目は保てた。

■時々評論家ぶって、～のようだ、とか、～が傑作、なんて文章綴る自分に赤面する。文体もマンネリ化してきたし、語彙の数が毎日の感想文に追いつかない。まあ、３年続けているんだからしょうがないか。

■マイペースで更新しますなんて書いておきながら、その後も毎日更新しているのはそれが自分のマイペースだからか。でもそろそろ、なにか違うことを始めようかなとも思っています。脱マンネリズムですね。

■今年もたくさんの方にお世話になりました。すごくタメになりました。また次の年もよろしくお願い致します。皆さん、よいお年を。