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カテゴリ:音楽
M-01 Frou Frou
M-02 Beep Beep Be オーライ M-03 二十世紀鋼鉄の男 M-04 狂ったバカンス M-05 気球と通信 M-06 Kのトランク M-07 青空のマリー M-08 駅は今 朝の中 M-09 A Frozen Girl A Boy in Love M-10 9月の海はクラゲの海 M-11 Morons Land M-12 Weather man M-13 彼女について知っている二、三の事柄 M-14 モダーン・ラヴァーズ M-15 トンピクレンッ子 M-16 最後の木の実 M-17 スプーン一杯のクリスマス M-18 ハバロフスクを訪ねて M-19 スカーレットの誓い M-20 6つの来し方行く末 M-21 釣り糸 アンコール M-22 Lily M-23 BEATITUDE ■日本青年館大ホール、今から28年前、ドントラのコンサートでそこに行った時は、なぜだか道に迷い、席に着いた時にはもう1曲目のマニアの受難が始まっていた。 ■だからこの日は油断せず細心の注意を払い、ここに来た。乗り換え案内も駆使した。GPSも装備した。おかげで会場前の物販にも間に合い、トリビュート版の購入も果たした。 ■もうすでに解散してしまったバンドが一夜だけ復活する。Jの字もGの字もいないBのついたバンドの復活がもはや永遠にありえないように、KのいなくなったMのつくバンドをもう一度観る事なんかできないだろうとあきらめていた。 ■6分の1が欠けた月。それは満月の美しさをより際立てる働きをしているようにも見えた。スクリーンに映し出されたそんな月の裏側に5人と1人のメンバーがスタンバイを完了すると、のっけから怒涛のかしぶち5連発が始まった。 ■そういえば10周年も20周年もそして30周年でも、この曲は先頭を飾ったのではなかったか。このバンドに代表曲は結局1曲もなかったわけだが、ライブの1曲目に最もふさわしいのはこの曲であることは誰もが認めるところであると思う。 ■もはや全員が還暦を過ぎたバンドがこんな音を響かせることができるんだという現実を目の当たりにして、本日1回目の決壊。涙は悲しさだけでできているんじゃないと実感。 ■イントロ数秒だけで何の曲だかわからせないのはこの人たちのこだわり。同じ曲を同じ風に再現できないのではなく、しない。M2とM5の意表を突く展開に唖然。ボ・ク・ヲ・ヒ・ト・リ・ニ・シ・ナ・イ・デ・ホ・シ・イ。ここから月へ、通信完了。 ■かしぶち5連発で最も意表を突かれたのがM4。ライブで聞いたのはカメマンのコンサート以来ではなかったか。絶対入ると思っていたバックシートがセットリストから抜けていたり、やはりこのバンドの未来を予想することは的中しないことを前提とした喜びが含まれている。 ■結局嫌いな曲や好きでない曲がないバンドのライブは飽きない。「Kのトランク」のアレンジは独特のうねりを伴ってクラクラする余韻を残し、「駅は今 朝の中」という曲の歌詞は年齢を重ねるにつれ胸に沁みる。 ■おそらくWOWWOWではカットされるであろう6人のMCはほとんど自身の今後の活動をアピールするものばかりで故人の思い出話にはならない。実質的な解散コンサートでもセンチなものを極力排したクールガイたちの素っ気なさは薄情者と呼ばれる寸前で踏みとどまった男たちのようだ。 ■それでも実は今夜は彼のために特別な仕掛けが仕組まれていた。彼の書いたクリスマスソング(M17)が流れる中、バンドの後方には誰かがどこかで撮影したであろう映像が映し出される。 ■生前この撮影者がハバロフスクという地域を訪ねたことが実際にあるのかどうかは不明だが、このバンドを追いかけてきた人たちがその土地の印象をこの曲の醸し出す哀愁みたいな雰囲気に同化させてきたことは間違いない。 ■かしぶち哲郎というドラマーがこのバンドで果たした役割は叙情と哀愁だったということがわかる。それは一見バンドのカラーに違和感を醸し出すように見えて、実は奥行きと文学性を補強している。個性の違いがあってこそ連帯の意義は深まるということなんだろう。 ■終盤、ステージ奥のドラムセットがいつの間にか1台増えていて、そこにはいなかったはずの人間がドラムを叩いていた。鈴木慶一の紹介を受けて、還暦を過ぎた者だったら飛び降りることができない高さからジャンプして降りてきた彼はかしぶちさんの長男。 ■LED ZEPPELINじゃあるまいし、その息子を後釜にしてこのバンドが復活するということはありえないことだとしても、それを夢想してしまうような親父譲りのフィーリングが彼の演奏にはあった。 ■アンコールが終わって場内が明るくなった時、これでもうこのバンドを観ることができなくなるのかなという感慨はあったが、なぜだか過剰にセンチにはならなかった。それは5人それぞれに漲る熱を改めて感じたからで決して彼らが音楽を辞めていないということを実感できたからだ。 ■誰が一番先に死ぬのか。そして誰が一番最初に再生するのか。そんな質問に答が出てしまった今、次の質問はWho's gonna die second? でもWho's gonna reborn second? でもなく、When will you make next album? なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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