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カテゴリ:真田丸
■検地をすれば色んなことがわかります。かつて観覧車に閉じ込められた今泉慎太郎が古畑任三郎に爆弾の配線を問い質された時に仲良く並んでいますと答えたことを思い出した。酒席において自らの桝と福島正則の大きな桝を見比べて、太閤検地のアイディアを閃いた秀吉はさっそく石田三成に命じてその歴史上の重大政策を実施する。
■吉野太夫に色目を使い、茶々を相手に神経衰弱、そして奥方様には後ろからハグ。女好き、人たらしの面目躍如。しかしその笑顔の裏側には強烈な猜疑心と嫉妬心が見え隠れしている様が名優小日向文世によって飄々と演じられる。まさにタイトル通り秀吉を見せる45分。 ■なんでお前がそこにいる、と長澤まさみに彼が言ったように、視聴者の突っ込みもまた真田信繁本人に向かう。上杉景勝より前に秀吉に会い、御前会議にまで連れ出され、身動きの取れない茶室で千利休にまで遭遇するとは主人公の特権に他ならない。 ■下積み時代は全て割愛され、権力というものをあらかたまとった金ぴかの猿として私たちの前に現れた彼はまだ金屏風の裏に衣を脱ぎ捨てるだけの身軽さを持っていた。そして常に側にいてくれる知将たちに政策は任せ、千利休に対しても自らの悩み事を打ち明けアドバイスをもらうという信頼感を持ち合わせていた。天辺(てっぺん)が人を不安にさせるものだとすれば、彼が少しずつどうにかなってしまうのはもう少し後の話だ。 ■期待に応えたいけれど、それがままならないという意味では今回は上杉景勝と真田信幸のふたりの陰欝な表情とが切なかった。かたや権力者から真田への支援を断つように命じられ、かたや父親から弟以上の信頼を寄せてもらえない。利休のふるまう茶を生涯最も苦いものであったと信繁に言うシーンは名場面であったし、空蝉の術や火遁の術より、庭の手入れに勤しむ方を選ぶ長男の実直さが主人公とのコントラストを際立たせていた。そしてもうひとり、今回初登場の羽柴秀次。この優しい若侍がこれから辿るであろう茨の道を考えるとその無邪気さゆえに超せつない。 ■以前の大河でも何度も登場してきた人物がより人間臭く見えるのがこの作家の真骨頂。軍師官兵衛において田中圭によって演じられた新しい石田三成像がまたしても上書きされそうだ。にやけることも封印され、必要なことしか喋らないこの側近官僚が心の底で何を考えているのかこれから先の山本耕史の登場シーンがまた楽しみだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/04/17 10:26:08 PM
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