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カテゴリ:真田丸
■見晴らしの良い所に行くと放尿したくなる。小高い砦から自らの領地を眺める時、男性はふと気持ちが大きくなり、一時放心する。暗殺者にとってそんな時こそ千載一遇のチャンスに思えるが、そういう時に命を落としたのは私が知る限りは「太陽にほえろ」のマカロニ刑事くらいしかいない。
■上司から肩を叩かれることは信頼された証しだと考えれば、満更でもないが、その手が清潔かどうかは大きな問題ではある。できれば洗い清めた手で触ってもらいたい。不潔と言えば一か月も風呂に入らないで香や化粧で誤魔化す北条氏政は哀れだ。裸の時に誰かが襲ってくるかもしれないという恐怖。そこまで追い詰めた方の秀吉は茶々と温泉などと浮かれているのに。 ■自分はどこで間違ってしまったんだという述懐はこの戦国大河のほとんどの武将たちが万感込めてつぶやくセリフなのだが、氏政もまたそんな者たちのひとりとなる。関東の覇者としてのプライドが秀吉とこの時代の力を読み間違えた。彼もまた伊達政宗のように死に装束などという派手なパフォーマンスを披露できるセンスを持ち合わせていたら、この窮地を抜け出すことができたのかもしれなかった。 ■ファッションセンスと言えば、真田信繁が背負っていたあのオレンジ色のエアバックみたいなものは何だったんだ。虫なのか、ホウズキ人間なのか、あれで飛ぶのか。あの格好で忍びの者になることは絶対無理だと思う。近藤君の触覚みたいな背負いものと言い、秀吉の陣羽織と言い、近藤正臣の人体模型のような鎧と言い、まるで円谷プロの誰かのお古のようでちょっと笑った。 ■秀吉から絶大な信頼を受け、小田原攻めの陣立て(オールスターキャスト勢揃いというNHKの触れ込みだった)を任された石田三成(山本耕史)だが、ここに来てようやくその弱点みたいなものを露呈し始めたのが今回だった。机上で物事を緻密に考えることはできるが、実戦経験が乏しく、臨機応変の対応ができない。物事がうまく進まないと腹をこわす。大谷吉継(片岡愛之助)などからはもう見透かされているわけだけどね。このふたりのやりとりと言えば「新選組!」の続編での土方と大鳥を思い出す。 ■前回の沼田裁定で江雪斎と堂々と渡り合ったことを評価され北条氏政の説得に向かった信繁。彼が戦国一の説得上手であるのかどうかはわからないが、そういう役目が殊更多い。最近では本人も心得ているようで変に逡巡など見せない。丹田の力なのだろう。そんな敵の城下で最終盤、彼を救ったのは懐かしや小山田ダディ。姉さん同様、生きていたんだ。あの笑顔、癒されるぜ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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山本耕史と愛之助と言えば、土方と榎本ですよ。
今回の「真田丸」で、三成に対する印象が随分変わりました。というか、こういう人物の描き方は三谷さんの得意技なのかなと思います。 賛否両論、好き嫌いが分かれるのかもしれませんが。私はもちろん大好きです。 (2016/06/25 02:25:09 PM)
さなえ1024さん
>山本耕史と愛之助と言えば、土方と榎本ですよ。 そうそう。おおとりけいすけは吹越満さんでしたね。ご指摘ありがとうございます。 ジブ三成はもちろんですが、今回の大河、いつにもまして、キャスティングのセンスが抜群だと思います。 (2016/06/27 12:11:39 AM) |
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