どうして・・・こんなに涙が出るのだろうか・・・
どうして・・こんなに自責の念にかられるのだろうか・・
母の体調が悪くなり、検査入院をしなければならなくなったのは、4日前。
兄、姉が母を連れ、病院のたらいまわしで落ち着いた某有名な病院で
・・・即入院検査しなければ、脳梗塞か心心肺停止か静脈破裂とか・・・説明を受け、入院を進められた母。
・・・先生もう何もしないでください、90歳の私は毎日毎日、1分1分が辛く生きています。生きて子供に面倒をかけることが、一番の親として苦しいところです。歩くこともできず、生活面では誰かの力を借りなければ生きられないのが事実・・それでも壁伝いに何とか、何とか、、一人で生きている毎日なのです。
ですから、これ以上検査をしても、何が希望があるのでしょうか・・、惨めな心と姿を見せつけながら、生きるのは辛いのです。
どうか自宅で死なせてください・・ありのままに自然のままでいのです・・・私は早く死にたいのです・・。
兄、姉、主治医と3人そろって母を入院させようと試みるも、母は頑として譲らず、結局は帰宅し、子供たちがそれぞれ
交代で実家にとまることとなった、
両親の元寝室だった部屋に布団を敷き、横になると、今は亡き父の愛用のイスが私を見ているようで、反対をむくと、父の生前のベッドの枠組みが見え、天井には、おおきな雨漏りのシミが見えた。
ずーっと見ていたら、切なくなって涙があふれた。父の声が聞こえる
・・・○子、母さんが入院しているひと月の間だけ、何とかお前が泊まってくれないだろうか・・頼める子供は○子しかいない… 父さんはロングステイよりも、自分の家で母さんが退院するまで待ってあげたいんだよ、朝早く起きて、お味噌汁とご飯だけはちゃんと炊くから・・・ダメだろうかまぁ・・・と、私に聞いた当時90歳の父。
いろいろな事情が重なり、私もつらかったけれども断わると。。よほど父は悔しかったのでしょうか、、涙をポロリと落とした
それから、父は残念ながら2か月後に他界した。。
ああ~、どうして私は父と1か月でも同居できなかったのだろうか・・・
90歳の父の心を優しく受け入れてあげられなかったのだろうか・・・仕事、家庭、夫、など盾にするとキリがなく、私たち兄姉妹は平気で家庭の事情を掲げた・・・
入院している夫はいましたか? 死にそうな家内や子供はおりましたか・・? たかがひと月、されどひと月、だったでしょうが・・・あなたたちに教育を受けさせてくれた年老いたお父さんではありませんか・・・ 心の天使が私を罰する
今となっては、こんな簡単なことなのに・・何をためらい・・誰に気兼ねして・・父の流した涙の深さがやっと理解できるようになった。 天井を見上げながら、今日は父の仏壇のある部屋で寝ましょう!
母は、悪いから、自分の家に戻って寝なさいという・・
瞳の奥は諦め色で正気がなく、手は氷のように、冷たい・・
私はお父さんと暮らしたこの家がすきで、お父さん亡きあとは一人ボッチで寂しかったけれども、今はもう一人に慣れてしまったよ。 ○子、心配なんかしないで、こんな、死にそうな婆さんの母親の心配よりも、自分の未来の心配をしなさい、 もうすぐ私は逝く、惨めな自分をこれ以上惨めにさせないでほしい・・・母はつぶやきながらそっと眠りに入った。
神様、仏さま、母に悲しい思いをさせているのは、私たち子供でしょう・・・これから実家に毎日行くのは・・・辛いわねぇ、、まだ始まったばかりなのに・・いつまでこの状態が続くものかしら・・・夫に悪いわぁ・・・それぞれ家庭も事情もあるからなぁ・・
母は子供の本音をスッカリ見抜いている・・どうか90歳の母の心に添えられるような兄姉妹になりますように・・・