レベル999のマニアな講義

内容
特殊清掃会社“特掃サンセット”で見習いとして働く宮脇孝志（永山絢斗）
社長の山上高次（寺脇康文）竜崎拳太（山崎樹範）に叱られながら、、行うのは、
ハウスクリーニング。。。
孤独死、事故死など、特殊な原因により汚れた室内などの清掃作業。
捨てるモノ、捨てられないモノを分別し、まるで、新しい部屋のように清掃する。

その日、、あるアパートの大家（でんでん）に呼ばれ、清掃を始める孝志たち。
今回の作業も、沢村喜和子（風吹ジュン）という孤独死した女性の部屋だった。
働きはじめて１週間、やはり慣れない孝志。
貸出期限が切れた図書館の本まで、たくさんの本などに紛れ。。。
それでも山上たちの指示で、何とか、やり遂げるが。。。スッキリしない。

そんなある日のこと、預かっている引き取り手のない遺品の中にあった
古い写真が１枚挟まれた、、、一冊の日記に目を留める。
“母からのプレゼント”と書かれた、、、日記帳。

４０年前。。。
母・和枝（吉田羊）から、中学生となった喜和子（瓜生美咲）に送られた日記帳。
そこには、母子家庭で育った喜和子が見た家族が書かれてあった。
“父”（佐戸井けん太）の暴力で。。。殴られる母。。。。。
私さえいなければ。。。
それは孝志にとって、、、自分が生きて来た人生そのもの。
“父”から距離を置き、“妹”（剛力彩芽）からも距離を置いていた。。。
日記に引き込まれていく孝志。

そして幼なじみの同級生・神田貴史（野村周平）への想いが書かれ始める。
貴史は、納得しないまま、加賀友禅の職人をする父・朝晴（高橋和也）のもとで、
“伝統”として、働くことを考えているようだった。
そんなふたりの、、、淡い恋物語は、、、突然、変化が訪れる。
妊娠した喜和子の写真。
貴史との間の。。。。。子供だった。
そのことを貴史に告白した喜和子。
一度は“一緒に育てよう”と言ってくれたが、両親を含めた話し合いで、
貴史が、、、知らない。。。。と。
その後、日記から“貴史”は消え、出産までは体重だけ。
が。。。。。。。出産、半日で赤ん坊は死に。。。
ついには、日記に“死にたい”という文字が現れ始める。

喜和子は、どんな人生を歩んだのか？幸せだったのか？？
どうしても気になり始めた孝志は、仕事を休み、喜和子の故郷・金沢へと。。。。
喜和子を知る女性に出会い、
小松の産婦人科医（山下容莉枝）のもとで助産師をしていたことが分かる。
そんなとき友禅染の勉強をしているという広瀬美月（菊池亜希子）と出会い、
貴史（三田村邦彦）が、、、有名な職人をしているらしく。。。。。。。

やがて、喜和子の両親が供養されている寺の住職から、思わぬ事実が！！！
喜和子の住んでいたアパートの近くに住む今西桜子（富田靖子）の存在。
娘（相葉香凛）がいるようで。。。。

敬称略


公式ＨＰ
http://www.wowow.co.jp/dramaw/yukue/movie.html



第３回ＷＯＷＯＷシナリオ大賞受賞作品
福島敏朗さんの『仄かに薫る桜の影で』という作品を、
朝原雄三監督が映像化。



家族の『死』という辛い過去がある青年が、嫌々ながら働き始めた特殊清掃会社。
そこで働くうちに１つの遺品から、何かを感じ始める。。。。

そんな物語ですね。


一部、、偶然が、過ぎるのは気になるところだが、

お話としては、

『死』から『生』を表現し、そこに『幸せ』を描くことで、
主人公自身が抱えていた苦しみにも影響を与えていく。

という、、そう言った意味では定番。

ただ、色々なエピソードがある為、少し複雑な印象はあるが、
こういった職業から膨らませるお話は、
色々ありますし、、、そういう意味でも、ベタなお話だと言えるでしょう。

ただ、そんなベタな物語を、
朝原雄三監督が、かなり絶妙な演出で感動作品に仕上げた印象で。

終わってみれば、
そう言った職業の物語が、家族愛の物語に。。。。

命と向き合ってきた喜和子。
その、、意味を主人公・宮脇孝志が知る。。。ですね。


それにしても、現在と過去。。。バランスが良いですね。
物語の中心が主人公であるはずなのに、そこだけを描くのでは無く、
関わった物語も、かなり丁寧に描いているのも良いところ。

最後のオチも、、途中のネタフリが、かなり効いていますね。


そして

生きることへの感謝。。。。


かなり面白い作品だったと思います