タイムカプセル ~みんなと共に~

相田みつおさんの詩

相田みつおさんの詩を紹介します。

『出逢い』

いつどこで だれとだれがどんな出逢いをするか
それが大事なんだなあ
『ただいるだけで』

あなたがそこに ただいるだけで その場の空気が あかるくなる
あなたがそこに ただいるだけで みんなのこころが やすらぐ
そんなあなたにわたしもなりたい
そのときの出逢いが その人の人生を根底から変えることがある
よき出逢いを
しあわせは いつも 自分のこころがきめる
『自分の番』

父と母で二人 父と母の両親で四人 そのまた両親で八人

こうしてかぞえてゆくと 十代前で一,〇二十四人 
二十代前では なんと百万人を越すんです

過去無量のいのちのバトンをうけついで いまここに自分の番を生きている

それがあなたのいのちです それがわたしのいのちです
『道』

長い人生にはなあ どんなに避けようとしても
どうしても通らなければならぬ 道というものがあるんだな

そんなときはその道を だまって歩くことだな 愚痴や弱音は吐かないでな
黙って歩くんだよ ただ黙って 涙なんか見せちゃダメだぜ

そしてなあその時なんだよ 人間としてのいのちの根がふかくなるのは
わたしは無駄にこの世に生まれてきたのではない
また人間として生まれてきたからには無駄にこの世を過ごしたくはない
私がこの世に生まれてきたのは私でなければできない仕事が何かひとつこの世にあるからなのだ

それが社会的に高いか低いか そんなことは問題ではない
その仕事が何であるかを見つけ そのために精一杯の魂を打ち込んでゆくところに人間として生れてきた意義と生きてゆくよろこびがあるのだ
『いのちの根』

なみだをこらえて かなしみにたえるとき
ぐちをいわずに くるしみにたえるとき
いいわけをしないで だまって批判にたえるとき
いかりをおさえて じっと屈辱にたえるとき

あなたの眼のいろがふかくなり いのちの根がふかくなる
『だれにだって』

だれにだってあるんだよ ひとにはいえない くるしみが
だれにだってあるんだよ ひとにはいえない かなしみが
ただだまっているだけなんだよ いえばぐちになるから
『肥料』

あのときの あの苦しみも
あのときの あの悲しみも
みんな肥料になったんだなあ じぶんが自分になるための
うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる
うばい合えば憎しみ わけ合えば安らぎ
『みんなほんもの』

トマトがねぇ トマトのままでいれば ほんものなんだよ
トマトをメロンにみせようとするから にせものになるんだよ
みんなそれぞれにほんものなのに 骨を折ってにせものになりたがる
あなたのこころがきれいだから なんでもきれいに見えるんだなあ
正直者は ばかをみる
だからといって うそばかりも通らない
世の中 単純じゃねんだよなあ
まける人のおかげで 勝てるんだよなあ
『ぐち』

ぐちをこぼしたって いいがな
弱音を吐いたって いいがな
人間だもの
たまには涙をみせたって いいがな
生きているんだもの
いいですか いくらのろくてもかまいませんよ
たいせつなことはね
いつでも前をむいて 自分の足で自分の道をあるくことですよ
『悠遊』

空を見上げてごらん ゆったり 
 悠遊
雲もゆうゆう 鳥も悠遊
小さな自分がわかるから
生きていてよかった
そんかとくか 人間のものさし
うそかまことか 佛さまのものさし
一生燃焼 一生感動 一生不悟


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