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第十六章
黒田は、アカデミーの敷地内にある、大聖堂にいた。 14世紀後半のゴシック建築で、尖塔と高大な窓に特徴がある。十字架の前で、老婆が 頭をたれ熱心に、ひとり祈りを捧げている。午後の斜光が、ステンドガラスを通して、 彼女の横顔を照らしていた。刻み込まれた皺から、此れまでの苦しみと悲しみが、 うかがいしれた。
冴子が向日葵の大輪なら、久美は月見草のごとく地味な女性だが、妻として何一つ不満は なかった。特に、薄給時代の家計を切り盛りし、子供を育てあげてくれた事に、黒田は 感謝していた。病弱な久美を東京に残したまま、黒田の単身赴任が長くなり、その中で 冴子との、運命的な出逢いであった。 こそ、バランスがとれていたのかもしれない。久美は、人を疑う事を知らない性格から、 冴子との仲について問われた事がなかった。しかし、冴子が妊娠し、自分と同棲して いる現況を知れば、悲しみのあまり精神に、異常をきたすことは、目にみえていた。 おける久美と冴子の問題を、どのように解決すべきなのか? から・・・・・
其の日は、朝から雪だった。 東北の冷たく重い雪に比べ、ミルコ・ゴッゾーリのワルツのように、軽く踊りながら 舞っている。 誕生日である事を思い出し、黒田の歩みが自然と早くなった。 振り返ると同時に、その影が黒田の胸に飛び込んできた。 鮮血が染め上げる。 白から赤へと、そして深紅へと・・・・
文学を通し、そして己の実生活においても。晩年に冴子と出逢い、激しい恋に堕ちた。 その愛と苦悩の日々は、神さまが黒田に回答を求めた、最後の命題であったのかも しれない。
鮮血に染まった薔薇の花束を・・・
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