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2005/04/30
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つい先日、日本にいる兄(次男)とスカイプを使って話していた時のことである。


兄:「スーパーフライ級日本チャンピオンの田中聖二がこないだ(2005年4月3日)の初防衛戦にKO負けしたダメージで(4月15日に)亡くなったよ・・・」


ショックだった。


私がボクシングを始めたきっかけはこの兄が当時ボクシングジムに通っていたからであり、ボクシングを愛する者として彼もそうとうショックを受けているようだった。。。。


私が大学の卒業論文で「スポーツ事故の法的研究」というテーマを扱ったことは以前紹介した。(2005-02-10-『素朴な疑問「リングの上で人を殴ってもボクサーはなぜ許されるの?」:「手術で人が亡くなってもなぜ医者は許されるの?」と実は同じ論理』 参照)


この論文を書くにあたり日本ボクシングコミッション(JBC)の本部を訪ね取材を行い、「プロボクシングを取り巻く現状と死亡事故への対策」という項目を設けて以下のような記述をした。

-----------
ボクシングは頭部への攻撃を是とする特殊なスポーツである。

日本でプロボクサーが試合中のダメージが原因で死亡したのはこれまで(2001年1月当時)33人、90年代に入ってから10人のプロ選手が死亡している。

ボクシング界では、このような事故を『リング禍』という。

一方、メキシコでは49年間、フィリピンでも13年間も試合での死亡事故がない。

こういった現状をふまえ、JBCでは、死亡事故をなくすための試みを以下の4つを中心に行っている。



1.選手の健康チェック

→20戦以上の戦歴がある全選手に頭部のCTスキャン検査を義務づけた。

さらに、これまで試合の計量は前日のみであったが、選手の体重の急激な変化が事故につながると考え、当日再計量を導入した。

この当日計量はあくまで参考であり、公式記録には前日の体重が記される。



2.医療体制の確立

→例えば後楽園ホールの場合、約40分で病院に搬送し、90分以内に開頭手術を施せるシステムが確立している。

他の会場でもこれに準ずるようなシステム構築の努力をしている。



3.治療費の相互扶助

→競技の性格上、選手が任意保険に入るのはまず無理である。

そこで、試合で怪我をした場合、JBCが設置した「健康管理基金」から医療費が補助される仕組みを作った。

これは、4回戦ボーイから世界王者まで一律、ファイトマネーの3%(外国選手は1%)を基金に入れ、手術などの費用を相互扶助する仕組みである。



4.レフェリーによる早いストップ

→メキシコやフィリピンにおける、長い間の死亡事故の非発生を早い試合のストップに見出し、ルールを外国並にし、早めにストップをかけることでダメージから選手を救うことを提唱している。

逆に、遅いストップはレフェリーの保護責任者遺棄致死罪の成立も考えられよう。

死亡事故の結果回避義務違反としての過失責任を有する不作為犯となり得るからである。

-----------

現役のプロボクサーでもあった取材当時の私は、JBCの職員の方の説明を聞きながら、協会の取組みを有効性のあるものだろうと評価していた。

しかし、この論文を書いた2001年2月以降、2002年4月の伊礼喜洋選手(八王子中屋ジム)、2004年4月の能登斉尚選手(フラッシュ赤羽ジム)、そして今回の事故である2005年4月の田中聖二選手(金沢ジム)と3件の死亡事故が起こってしまっている。


決して濃い密度とは言えないのだがこのスポーツを7年続け、心の強さと体の強さを得たことを誇りにしている私には非常に辛い状況である。

スポーツとしての奥深さ、心身の究極の駆け引き、そして結果としての人間的な成長を伴うこの競技を廃止して欲しくはない。


今や50年以上死亡事故を起こしていないメキシコから学ぶべきことはまだまだあるだろう。


今こそ世界中のボクシング協会が一丸となって死亡事故の撲滅に向けて協力するべきではないだろうか。



田中選手のご冥福をお祈りいたします。







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Last updated  2005/04/30 05:47:38 PM
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