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高知に自然史博物館を

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December 6, 2007 楽天プロフィール Add to Google XML

なぜ人を殺してはいけないか
[ カテゴリ未分類 ]    

 さきに「なぜウソをついてはいけないか」について書いたので,今度は「なぜ人を殺してはいけないか」を考えてみよう.人殺しが忌避される生物学的根拠はあるのだろうか?
 じつは結論から言うと,そういう根拠は今のところ見つかっていない.これでは身もフタもないけれど,まあ説明してみます.

 人殺しが忌避される理由をハッキリ述べた生物学者というと,かの K. ローレンツ博士です.有名な説ですね.
 犬がケンカをする.負けそうになった犬は仰向けに寝て,相手に腹や喉を見せる.自分の最も弱いところを相手にさらけ出すことで,服従の意思表示をする.見せられた相手は,そこで攻撃をやめる.
 犬は肉食獣であり,そのキバは強い殺傷力をもっている.際限なく闘ったら相手を殺してしまうことになる.これは種族維持にマイナスである.だから勝負がハッキリした段階で攻撃をやめるという仕組みが進化してきたのだ.
 ところがハトは違う.ハトは肉食性の猛禽ではない.そのクチバシは一発で相手を殺してしまうような殺傷力はない.だから仲間うちのケンカでも,相手を殺してしまう前に攻撃をやめるという仕組みは進化して来なかった.ケンカに負けたほうは引き下がり,時には逃げる.それで良かった.しかしケージの中など閉鎖空間で飼育されているハトは逃げ場がない.だからハトのケンカは歯止めなく,しばしば相手を殺してしまう.
 人間は犬と同じであり,殺人に至る前にブレーキがかかる.それが本来の人間である.しかし兵器が発達するにつれ,このブレーキが効きにくくなった.ナイフで刺すよりは銃で撃つほうがブレーキがかかりにくい.相手が見えない状態でボタン1つで爆弾を落とすような戦争だと,生物学的ブレーキはまずかからない.

 まあ概略そのような説です.何度も書くけど,これを言ったのは,かのロ-レンツ博士で,とにかく説得力がありました.しかし,この説は今では否定されています.それは「遺伝子は利己的である」ことがハッキリ意識され,行動生態学というような分野が起ってきた頃からだと思います.
 ローレンツ博士は,相手が死ぬまで攻撃するのは「種族維持にマイナスである」から,だから攻撃抑制の仕組みが進化してきたのだ,と説明しました.この説明が間違いなんですね.ダーウィンの進化論では,進化の原動力は「自分の遺伝子をできるだけ多く残すこと」であって,種族が維持されるかどうかなぞ知ったことではありません.種族維持にとってプラスだとかマイナスだとかいう説明は,現代生物学では全く支持を得られないでしょう.そのあたりの事は R. ドーキンスの「利己的な遺伝子」をご一読ください.

 という訳で,「なぜ人を殺してはいけないか」は,今のところ生物学的に説明できないと思います.それでも,と私は思うのですが,確かに私は相手が見えない状態で爆弾のボタンを押すことはできるかもしれない.しかしナイフで人を殺すなどということが,自分にできると思いません.やはり心理的なブレーキがかかるでしょう.そのブレーキの根拠を進化論の中に見つけられないというのは,納得できないものを感じます.
 一方,社会の成り立ちとして見れば,人殺しを「犯罪」とせねばならない理由は明らかです.人を殺して構わないと考えている人とか,平気で人を殺せる人が自分の近くにいたら,うっかり眠ることもできません.人間の社会(共同体)が約束を基礎に置いているのだとすると,その約束を簡単にご破算にしてしまうような行為を許容することは,おそらく非常に難しいのでないでしょうか.


Last updated  December 6, 2007 18:09:53
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ローレンツ説、違うのですか   まいさん


うお~ 難しいですねえ   えあしゃさん


Re:ローレンツ説、違うのですか(12/06)   Ladybirdさん


Re:うお~ 難しいですねえ(12/06)   Ladybirdさん


Re[1]:うお~ 難しいですねえ(12/06)   えあしゃさん


価値観の物差し   goldberg2006さん


まねっこでしたか.   Ladybirdさん


Re:価値観の物差し(12/06)   Ladybirdさん


こんばんは。   三介さん

Ladybirdさん。こちらでは、お初ですね。
今後とも宜しくお願いいたします。
>ドーキンス
僕も2年ほど前に読んだので、うろ覚えですが、
金子勝氏と児玉さんって方が、『逆システム論』っていう岩波新書で、ドーキンスやモノー批判(まだまだ『優生思想』の色彩強いと)を書いているの読んだことがあります。丁度ヒトゲノムが解読されて、大腸菌はDNAのほとんどがタンパク構造の情報であるのとは異なり、ヒトのような長い連鎖と本数を持つDNAは身体を構成するのタンパク構造情報としては、たった2%に過ぎない。ネズミとヒトでは遺伝子の数では大差ないけど、ヒトの場合、調節制御をつかさどる領域が大きく、多様で、複雑で、遺伝子が個々にどんな意味を有しているのか、如何なる『適応力』を発揮するのか、まったく未解明、っていう内容かな。
これを読んで、「適者生存」とか、「種の保存」とかの「目的原理」など受け付けない、多種多様の眠れる遺伝子が『何時お呼びがかかるかと出番を待っている』ような印象を持ちました。
ま、この比喩も正確じゃないですね。
そんな『出番』さえお構いなしに、取り合えず『保存』してしまう仕組みなんですから。
まるで、レヴィ=ストロースが、『野生の思考』で紹介してはった百家全書派的な『未開人』の様に、自然という名の『好奇心』(偶然の恋心)だけが、量子的必然にも導かれて「DNAを守らせている」っていう風にも読めました。これだと、神(自然)は細部に宿るってことになるんでしょうか? (December 8, 2007 23:25:12)

お招きにあずかり一言   薩摩長州さん


Re:こんばんは。(12/06)   Ladybirdさん


Re:お招きにあずかり一言(12/06)   Ladybirdさん


Re[1]:お招きにあずかり一言(12/06)   goldberg2006さん


Re[2]:お招きにあずかり一言(12/06)   Ladybirdさん


TBありがとうございます   たんぽぽさん

こんにちは、コメントとTB、ありがとうございます。

なんと、ほとんどそっくり同じことを、
以前、書いていらしたのですね。

「種の保存のために、同種どうしで殺し合わない」は、
ローレンツの学説だったのですね。
犬などに見られる、殺し合い防止の遺伝子という、
強力な根拠もありますし、ひじょうに説得力が
あったのではないかと思います。
(いまでも、そう考えているかたは、多いと思いますし。)

それから、ローレンツは、人間も殺し合い防止の
遺伝子を持つ「強い」生物と見ていたのですね。
もっとあとの研究で、人間はそうした遺伝子のない
「弱い」生物だと、わかったみたいだけど。


人為的に、ケージの中に入れられた鳩は、
際限なく相手を攻撃して、死にいたらしめることがあるけれど、
武器を持った人間も、これと同じような「人為的」な状態と
考えればいいのではないかと思います。

生物学的には、人間は人間を「殺してよい」とも
「殺していけない」とも決まっていない、
ということでよいのだろうと思います。

わたしたちが、人を殺そうとするときの強烈な抵抗感は、
「人を殺してはいけない」と、「知識」や「思想」として、
伝えられたものではないかと思います。


それにしても「種の保存のために、人間どうし殺し合わない」
という考えは、ものすごく魅力があるんじゃないかな?

戦争や殺し合いが嫌いな人はたくさんいるし、
そうしたかたは、「みんななかよく生きて行く」
という考えには、相当に魅せられるでしょう。
「遺伝子は利己的だから、同種間でも殺し合いはありえますよ」なんて、
受け入れ難いんじゃないかと思います。
(May 8, 2010 00:17:10)

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