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生命表の話ばかりして,すっかり博物館から遠ざかってしまった.そこで今回は博物館について書こうと思っていたのだけれど...
アサヒ・コムで表題のニュースを見てしまった.これは大変.例によってテレビなどでは報道もされてないと思う.詳しい内容を知らないけれど,一言ぐらいコメントしておきたいものである. (アサヒ・コム2008年04月10日の記事: http://www.asahi.com/national/update/0410/SEB200804090016.html より) 子どもの道徳心を検査し、偏差値や5段階評価を示す業者テストが全国の小中学校で実施されている。テスト結果を受けて教師に渡される各児童・生徒の個人診断票には「重点指導項目」として「愛国心」「郷土愛」などが記される。 ・・・ テストの発行元は図書文化社(東京都)。同社によると、テストは「道徳教科の理解度をみる」のが目的で、90年度から販売している。偏差値などの数値評価は「子どもの到達水準を知りたいという現場教師の要望で付属資料として出している」。 ・・・ 昨年度は全国47都道府県の小学校約1200校、中学校約1100校の児童・生徒約38万人が同社のテストを受けた。 (引用おわり) この業者の名前,図書文化社というのを憶えておこう.同じようなテストを他の業者も出しているそうだから,そういう業者の名前もわかるようなら,しっかり憶えておこう.歴史にその名を残してよいほどの行為である.未来の歴史教科書には,2008年頃の学校教育について,こう書かれるだろう: 図書文化社等は子供の道徳心をテストした.そして現場教師の要望により,結果を偏差値で表わし,「愛国心が足りない」等の個別指導を示唆した. 日本人はこれほど馬鹿だった,と笑って振り返る時代が訪れて欲しいものである. アサヒ・コムの記事から,もう少し引用する. (以下引用) 福岡県内では、小学校46校、中学校5校で実施された。検査価格は1人430円で、自治体が予算を組んで購入することもあるという。このうち、文科省から道徳教育研究授業を委嘱されている大木町では、町立小中学校の全児童生徒約1300人を対象にテストを実施。経費約57万円は町が支出した。「子どもの力がどれだけ伸びたのか、研究授業の成果を判断するデータを取るため」(同町教委)だ。 (引用おわり) 「現場教師の要望」もあったのかもしれないけれど,大木町では町教委が望んで実施したらしい.その背後には,事業を委嘱した文科省がいるわけだ. その文科省は「道徳テストが実施されていることは確認しているが、数値評価が行われていることは知らなかった」「偏差値や5段階評価はなじまない」等とコメントしているらしい.しかし,こうして渋い顔をしてみせて一件落着というのでは,公教育を担当する政府部署としては,あまりにお粗末である.委嘱した相手が文科省の意向と違うことをやっているのなら,ここは厳しい姿勢で臨むべきだろう.「君が代」を歌わなかったというような話とは次元の違う,人間教育の根幹にかかわる問題だからである. もう一度,文科省のコメントを引用しておく. (道徳教育は)偏差値や5段階評価にはなじまない. まったく,その通りだと思う.多様な価値観を認め合うことこそが,民主主義国家としての日本のあるべき姿である.「道徳」は「評価」になじまないし,まして偏差値などの一次元的なモノサシで測るべきものではない. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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