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このタイトルを見てニヤリとした人はたぶん,「ダーウィン以来」に始まる,かのエッセイ集を憶えているのでないだろうか.古生物学者の故スティーブン・ジェイ・グールド博士によるエッセイは,こんな謎ときのような書き出しでよく始まっていた.
博士によると,イングリッシュホルンはイングランドとは何の関係もない.「角(かど)がある」という意味のフランス語を「イングランドの」という意味だと勘違いしただけ. 神聖ローマ帝国はローマ人の国ではなかった.もちろん「神聖」でもなかった. 大体このテの話は3つの話題を並べて,ホップ,ステップ,ジャンプという具合に,3番目の話題から本論に移ります. グールド博士の場合,3番目の話題は「アイリッシュ・エルク」,つまりアイルランドヘラジカ.これは太古のヨーロッパに生息していた鹿です.みごとな,巨大なツノをもっていた.復元された骨格標本は,ほれぼれするような風格を備えている. 博士いわく.アイリッシュ・エルクという名は実体を表していない.なぜなら,この鹿はアイルランド特産ではないし,エルクでもないのだ.で,そのアイリッシュ・エルクは・・・,と本論に続きます.さすが手慣れたエッセイスト. なお,エルク Elk は大型のシカ.ヨーロッパ ではツノがへら状をしている鹿(ヘラジカ)のことを Elk と呼ぶ.同じものを北米では Moose と呼んでいる.また北米で Elk と呼ばれるのは,ニホンジカと同系列の大型の鹿です.Irish Elk は,どちらの Elk とも類縁が遠いらしい. どうも話が盛り上がらないので,少し話題を変えます.最初からそのつもりだったんだろうって? なんのなんの. 以前から気になっていたんだけど,名称と内容が違うんじゃないかと思う実例が身近にありました.いや,まだ過去形で言ってはいけないのかな. それは自由民主党という政党名です. タイミングよく村野瀬玲奈さんが,「勝利感のとぼしい政権交代だけど~」という記事 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1393.html#comment-top の中で,自民党=自由民主党= Liberal Democratic Party (LDP) という表記に言及している. - これからは,自由民主党,略して自民党のことは,できる限りジミントーとかジミン党と呼ぼうと思います.(中略) また,英語やフランス語で "Liberal Democratic Party" とか "Parti Liberal Democrate" と訳語的に呼ぶこともやめて "Jimin Party" とか "Parti Jimin" と呼ぶべきだとも思います. そーなんですよネ.以前からそう思っていました.「自由」や「民主」をそのまま英語に意訳すると Liberal とか Democratic とか,何かスゴく立派な政党のように聞こえる. 選挙が終り,大敗した自民党.今までは特別な理念もなく,政権与党であることだけが取り柄だった.与党でなくなれば利権も激減するわけで,今までお相伴にあずかることを期待して寄って来ていた人たちは,どこに行くんだろうと心配?してしまう.まずは新政権にシッポを振ってみて,脈なしと判断すれば,やはり自民党の政権復帰を支援するかな? 自民党も,当面は失地回復をねらって,穏健さをアピールしつつ,新政権の失敗をじっと待つだろう.しかし私は,この党が見せたもう1つの表情を忘れられない. 自民党は,2つの顔をもっている.1つは特別な理念をもたない「穏健」な保守政党の顔.もう1つは安倍さんや麻生さんが露骨に表現してきたような右翼的理念を基礎とするナショナリスト政党の顔だ.最近の自民党は,この後者の顔が目立っていた.自民党は穏健な保守政党から,偏狭なナショナリスト政党へと退行しつつあった. 特に選挙戦の最後の頃には民主党に対し,これが政権政党かと耳を疑うような,ネット右翼さながらの誹謗中傷をくり返していた.自身の言論に忠実であろうとするならば,これこそが今後の自民党の目指す道ということになる. 「言論に忠実」など,この政党の場合ありえないというツッコミはさておいて. この党の英語表記として,もはや Liberal や Democratic はあまりに不適当であり,単に Jimin と表記するのが妥当であると私も思います. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 1, 2009 11:27:20 AM
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