シャトー・ラトゥールの薀蓄（ウンチク）

【シャトー・ラトゥール】

【名前の由来】
ボルドーがイギリス領だった１４世紀、このシャトーの場所にはイギリスの要塞があり、フランス軍を監視するための塔が建っていました。この塔がエチケットに描かれている「ラ・トゥール」（The Tower、塔）です。シャトー・ラトゥールの名前は、実はここから来ています。
当時の塔は１００年戦争でイギリスがフランスに敗れた際に破壊されていて現存しませんが、当時の給水塔の一部は今も残り、シャトー・ラトゥールのシンボルになっています。（１７世紀に建てられた丸屋根の塔です）

【シャトー・タルボとの関係】
イギリス統治時代、要塞を守っていたのがタルボ将軍。サン・ジュリアン村のシャトー・タルボは、タルボ将軍の荘園だったところです。

【シャトー・カロン・セギュールとの関係】
１７世紀の末、シャトー・ラトゥールはポイヤック村の名門、セギュール家のものになりました。当時のセギュール家はシャトー・ラフィットも所有していたと言います。しかし当のセギュール公は「私の心はカロンにある」と、サンテステフ村のカロンの畑を愛したとのこと。

【革新】
あまり知られていませんが、保守的なボルドーにあって、シャトー・ラトゥールは技術革新に積極的でした。１９６３年にイギリスのピアソン家がこのシャトーを買ってから、ポイヤック村で初めて発酵にステンレスタンクを導入しました。また、状態の悪い区画は全面的に葡萄の植え替えを行ったり、セラーの改装も行ったのです。
ちなみに、５大シャトーと呼ばれるうち、グラーヴのシャトー・オーブリオンは１９６１年にいち早くステンレスタンクを導入していましたが、他のシャトー・マルゴー、シャトー・ラフィット、シャトー・ムートンは未だに樫の木樽による発酵を今も続けています。

【伝統】
シャトー・ラトゥールでは、樹齢８年以上の葡萄の木から採れた葡萄しか醸造に使いません（８年未満の木には黄色の札で目印がついているらしいです）。また熟成は全て新樽、瓶詰めも手作業にこだわっています。

【不思議】
フランス宮廷文化の絶頂期である１８世紀後半、同じポイヤック村のシャトー・ラフィットはルイ１５世の愛妾ポンパドール夫人によって宮廷に持ち込まれ、当時のセレブに絶賛されました。しかし、シャトー・ラトゥールは全くのノー・マーク（^^;）重厚で力強い味わいが貴族好みではなかったのでしょうか？

【昔からのスーパースター】
ボルドーワイン、実はフランスで一世を風靡する前からイギリスの上流階級の間で「クラレット」と称される垂涎の飲み物でした。１８世紀初頭のロンドンでは、ボルドーの上物ワインとして「シャトー・ラフィット」「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」が名を連ねていたと言います。

【ボルドー最長寿】
そもそも５大シャトーのワインは長寿を誇りますが、メドックの４つの１級ワインを寿命で並べるとすると、
　シャトー・ラフィット　＜　シャトー・マルゴー　＜　シャトー・ムートン　＜　シャトー・ラトゥール
となります。２０年やそころは序の口？

【抜群の信頼性】
ボルドーの赤ワインの中で最もビンテージによる品質のバラつきが少なく、失望させられることの少ないワイン、それがシャトー・ラトゥールであるというのが定説になっています。

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