空の近く
すっぴんにジーンズのジャケットを羽織って坂道を登るいつものように大股で強い春風に吹かれながら高台の公園どこより空に近い公園そのてっぺんに造られた石の円盤の上に座ってこんな強い風にも雲ひとつ飛ばされてはこない一面の空色を見ている昔僕はここをモチーフにして時間を越える話を書いた今の僕は時間と 空間とあと何を越えればいいのだろうああ イヤホンははずそうかこんな無粋なもの きっとあなたは好まないここは随分遠くまで見渡せるけどあなたの町までは見えないそっちの方角にはうっすらと山の影が浮かんでいてその山を越えたってまだまだ遠くこの空から宇宙から見れば距離とさえ呼べないほどのなんてことない距離なのに越えられないだなんて笑い話みたいだあ人が来たからそろそろ行こうかここは僕だけの場所じゃないんだからそれに寒くなってきたし風が強すぎるよ髪なんかとっくにボサボサで自慢の触角もどこに行っちゃったやらのどが渇いたなあなたの真似してコーヒーでも飲もうかそんなことをしてみたって意味はないんだけどでも空に近いこの場所はまさしくあなたに近い場所だと思ったあなたの場所のひとつはいつだってここにあるんだよお気に召したらクリックプリーズ→