3 週連続企画の第2回はスーパーマーケット。業界では今、大手のイオンとセブン&アイ・ホールディングスの2強による体制づくりが進み、中小のスーパーマーケットの数は減り続けている。社団法人全国スーパーマーケット協会に加盟する企業数は、1999年に738社あったが、2007年には373社へと半減した。
一方で、全国のスーパーマーケットの店舗数は増え続けている。大手が新規出店する上に、提携やM&Aを積極的に進めているためだが、これにより競争は激化。人口減少で消費が減る中、少ないパイを奪い合っている。だが、そんな厳しい状況でも毎年売上げを伸ばしている元気なスーパーがある。大手には手が出せないが、地場に根付いているからこそできる独特な戦略をもったスーパーマーケットを追った。
客を喜ばせてなんぼ~サプライズな店作り
高知県に展開する「サンシャインチェーン」は、「四国に行ったら必ず立ち寄るべきだ」と業界で高い評価を受けているスーパー。今年だけでもすでに150社、1000人以上の関係者が視察をしている。その特色は、サプライズと楽しさの演出が仕掛けられた店作りと顧客サービスの徹底。店員は皆、パフォーマンスがうまく、店に活気がある。無料巡回バスで客の送り迎えをする店舗もある。そのため、地元の人たちの社交場となっている。好評なのは地元農家が持ち寄るとれたて野菜。スーパーの売り場なのに、農家が売りたい値段をつけられるので生産者にもメリットがある。地元とともに盛り上がろうというのがサンシャインの狙い。
「サンシャインチェーン」は中小12社、42店舗の“ボランタリーチェーン”(自発的連鎖店)。フランチャイズチェーンよりも自主性が保たれる。その代わり、中には低迷してしまう店も出てくる。
番組では、高知県いの町を地盤とするチェーン店の立て直しに密着した。今年3月にリニューアルしたこの店舗は当初、大成功を収めたが、5ヵ月間売り上げを維持するための無理がたたり、職員が相次いで辞めていった。客足もすっかり遠のき、緊急事態を迎えていた・・・。正念場を迎えたこの店舗のサバイバル作戦を追った。
正直者が勝つ~舞台裏を見せて顧客満足度を上げろ
「明日までこの商品は高いです」「今は旬でないので味は落ちます」。東京近郊に展開する「オーケーストア」は、店内に一見、売る気がないのかと思われる説明書きを出している。題して「オネスト(正直)カード」。逆に「激安」を煽る文字は見当たらない。しかし、客にしてみると正直で信用できるということになる。
番組では、端境期のフルーツを扱う青果バイヤーを追う。新たに仕入れる南ア産のグレープフルーツは、フロリダ産に比べて甘味に欠ける。この南ア産グレープフルーツの糖度の低さを織り込んだ「オネストカード」を作成して、いかに売り上げを伸ばせるか。バイヤーの腕の見せ所だ。
さらに「Everyday Low Price」、毎日が低価格。ナショナルブランド商品が2割、3割引は当たり前の「地域最安値」を実現している。そこには、意外な仕組みがあった。実は、その理由も店内の説明書きで客に知らせている。舞台裏をさらけ出すことで客の心を捉えているのだ。カメラは、低価格を実現する値決め交渉に密着した。
優良顧客を逃すな~データ重視の知能派スーパー
山梨県を中心に展開する老舗スーパー「オギノ」は、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)というポイントカードとレシートを利用して、優良顧客に照準を定めた販促や優待を行う戦略で成功をしている。特にレシートの購買商品データを徹底分析することで、売れ筋商品の開拓を行うのがオギノのプロファイリング・チームだ。
秋の味覚、さんまを販売する際、大根おろし用に大根をさんまと並べて売ることが多いが、レシートを分析すると、大根おろし用のカットした大根ではなく、大根1本丸々買っていく客が圧倒的に多い。その訳を探っていくと、新たなマーケティング展開が見えてきた・・・。
データをフル活用することで、より効果的な商品展開を行う、オギノのプロファイリング・チームに密着した。
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最終更新日
2007.09.18 14:49:43