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2011年10月07日
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カテゴリ:文学
★『 虐殺器官 』 伊藤計劃 著(ハヤカワ文庫)


2009年、34歳の若さで早逝したSF作家、伊藤計劃氏の著作『ハーモニー』が、米国「フィリップ・K・ディック記念賞」の2010年特別賞を受賞した、というニュースを見て、まずは、著者のデビュー作である、この作品を読んでみた。



Amazonでは、「評判通りの傑作」と大絶賛するレビューが多い反面、辛辣な評価も相当数、見られる。

私は、「低い評価をする人の気持ちの方が、よく分かる」けれども、「傑作と言う人の気持ちも分からんではない」という、どっちつかずの卑怯な立場だ。


「ゲーム的」「アニメ的」であり、「軍事オタクの知識披露」であり、「核心部分の説明放棄」であるのは否めず、評価の低いレビュアーの言う通り、些末な描写が多すぎて、読んでいて、少々、ゲンナリしてしまう部分が多々あった。

また、これは致命的かもしれないが、話の展開も、さほど斬新とは言えず、SF小説に疎い私であっても、途中から先が読めてしまった。


元々、SF「小説」は余り読まないのだが、そもそも、SFとは何ぞや…ということまで考えこんでしまった。

瞬間移動やらタイムマシーンよりは、はるかに実現可能そうな近未来の軍事技術を事細かに詳述している割に、肝心な部分が抽象的とあっては、SFと思って読んだ読者からは、アンフェアという印象に終わるのも無理はない。(ただ、そもそも、SFとは全て科学的に説明をつけるべきものであるのか、と問われると、私は答えられないが)


末期癌と闘いながらの短い執筆生活だったということなので、やはり、発表を急いでしまったところがあるのだろうか。ところどころに、文才の素晴らしさを感じ取れる部分があるだけに、素直に「惜しい」、と思う。

正直言うと、400ページもあるこの作品を、100ページ位に削ぎ落とすことができたら、同じストーリーでも、ずっと、秀逸な「文学」になったのではないかと思ってしまうのだ。

トラウマシーンの繰り返しが多いのは、アニメや映画といった映像コンテンツを意識した、著者の「狙い」だと思うのだが、読み手の「記憶力」「読解力」が軽んじられているような、過剰さ、クドさを感じてしまう。


そもそも、最近の若い作家は、(芥川賞作家にもいるが、)どうも言葉が多すぎる。

これは明らかに、ワープロの功罪だと思う。何でもかんでも比喩や、難解な表現や、モノローグで飾りたてればいいってものではないだろうに、推敲を重ねるうちに、後から後から言葉を継ぎ足したくなるのだろうか。

私も大概、文章が冗長になってしまう方だが、読み手の殆どいないような個人の日記(ブログ)と文学とはワケが違う。


ともかく、余りの早世ゆえ寡作である著者の最後の長編、『 ハーモニー 』の方に、期待したいと思う。


それから、この際、「SF小説」とは何ぞやを理解する為に、『2001年宇宙の旅』を小説で読んでみようかなあ…。



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大量虐殺を誘発する、謎の器官とはいったい? 米国情報軍大尉はその鍵を握ると目される謎の男を追って、チェコへと飛ぶが……。
現代における9・11における罪と罰を描破して大きな話題を読んだゼロ年代最高のフィクション。

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最終更新日  2016年10月12日 00時27分17秒
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