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2018年10月03日
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カテゴリ:漫画・アニメ

   アニメ 『 BANANA FISH 』 原作;吉田秋生(198594年)

 

 

 

フジテレビ(木曜深夜)にて放送中(第12話まで視聴)。

 

原作漫画(全19巻)は読了済み。
※ ストーリー後半や結末に関わるネタバレ無し)

 

 

漫画をタブレットで読むことが増え、買いためた電子書籍が山積み状態で、死ぬまでに全て読みきれるのか不安な状況ですらある昨今だが、若い頃は小遣いも限られていたので、厳選して購入した紙のコミックスを何度も繰り返し読んだものだった。

 

中でも、この『BANANA FISH』は、萩尾望都の『ポーの一族』、『トーマの心臓』、三原順の『はみだしっ子』等と並び、何度リピートしたか分からない位で、今でも、もっと時間さえあれば、ゆっくり読み返したいと思う作品の一つだ。

 

 

思い入れが強いだけに、アニメ化が発表された時には、なんとも言えない複雑な気持ちになった。

 

正直なところ、「今さら!?」…という感想が一番。

 

 

勿論、連載当時よりも、アニメーションの作画技術や声優の演技力のアベレージが上がってはいるのはよいが、当時の時代背景があってこその作品をわざわざ掘り出してきて、「原作のストーリーや雰囲気をブチ壊し」たり、「駄作のレッテルを貼られ」たり、そんな結果になる位なら、いっそ、そっとしておいて欲しかった…なんてことになりかねない。

 

 

原作ファンの間で、最も問題視されたのは、「時代設定を現代に変更する」という点だろう。

 

 

原作は、1985年、ベトナム戦争の悪夢も未だ人々の記憶に生々しい、冷戦下の合衆国を舞台としている。漫画ならではの現実離れした要素を適度に散りばめつつも、当時の社会情勢を盛り込んだ描写が、物語の根幹を支えていた。

 

33年前というと、昔話と言うほど古くもないが、民生的な技術は無視できないレベルで進化している。 インターネットどころか携帯電話も 一般には普及していない前提で構築されたエピソードを、齟齬なく修正できるものなのか

 

しかも、ノイタミナと言えば 基本1クール作品が多いが、『僕だけがいない街』 2016年)のように、無残に細部をはしょったり、結末を改変したり という前科が、ごく最近あったばかり(実際には、この『BANANA FISH』は2クールだったが)。

 

 

さらに、連載当時とは、視聴者側の意識も変わっている。

 

BANANA FISH』は「少女漫画」だ。 ゲイによる性犯罪や、単なる友情以上の男同士の絆が描かれてはいるが、主要キャラはあくまでノーマルだし、そもそも恋愛がテーマではない。

 

だが、BL全盛の現在、一部のシーンを捉えて「腐女子向け」と攻撃する人が 少なからずいそうだ。

 

誤解しないで欲しいのは、私自身は、今やBLも好きだし、この『BANANA FISH』が、後世のBL作家たちに与えた影響力も否定しない。

 

萩尾望都や竹宮惠子、山岸凉子、吉田秋生ら、昭和の少女漫画家が描いた少年愛や男同士の友情の世界観が、BLというジャンルを創成する土壌となったのは確かだろう。

 

とは言え、かの少女漫画家らが向き合ってきたテーマは、単なる個人的なラブストーリーやエロではなく、愛憎の構造や人間の存在理由までの追究だった。

 

BLというジャンルが確立した現在、「萌えとエロ」がテーマの作品が多いのも事実で、すべて一緒くたにされるのにはやはり抵抗がある(萌えやエロが悪いと言ってるわけではない。 それはそれで優れた作品は沢山ある)。

 

 

しかも、監督が、『Free!』(第1シーズン)の 内海紘子氏に決まったという時点で、正直、私の中で、期待値は急降下してしまった。 『Free!』は、3シーズンまで製作されている人気アニメシリーズで、BLではないのだが、同じようなルックスのイケメンたちが 不自然に干渉し合い 群れ合う内容で、私には期待外れだった。 あの調子で男性同士がベタベタするシーンを過度に強調されたら、腐向けと揶揄されても仕方なくなってしまう。

 

 

…というわけで、1クールが過ぎ、丁度、折り返しだが、現時点での評価を言わせてもらうと、不安が大きかっただけに、今のところ、「予想外に上出来」だと思っている。

 

 

当初心配した「時代設定の変更」については、ベトナム戦争をイラク戦争、冷戦を中東問題に置き換えるなど、多少のムリはあるものの、寧ろ、若い視聴者には理解しやすく、結果的には良かったかもしれない。

 

そう言えば、完結直後の番外編で、作者自身が「連載中に冷戦終結してしまったのはシャレにならなかった」と書いていたので、作者としても、この改変は致し方なし、というところだったのだろう。

 

 

また、スマホやネットなどのツールについても、私自身が既に「あって当然」の時代にどっぷり順応して久しいせいか、もはや余り違和感がない。

 

ただ、ネット草創期であった連載当時、PCによるハッキング行為そのものが、主人公少年(アッシュ)の「天才」ぶりを端的に示していたのだが、舞台が現代となって、その衝撃度がかなり弱まってしまったことは否めない。 とは言え、仮に原作通りの時代設定であっても、若い視聴者には、どのみちピンとこなかったかもしれない、とも思う。

 

 

時代を変更した割に、大まかなストーリーやエピソードに、今のところ目立った改変が見られず、なんとなく辻褄が合っているのには、逆に驚く。 戦争、裏社会の構造は、根本的に変わっていないということなのだろう。

 

 

ただ、結局、2クールでも尺が足りず、全体的に、急ぎ足過ぎるように感じるのだが、原作を知らない人にとってはどうなんだろう?

 

原作は完結まで9年かかり、その間、絵柄も えらく変わっているので、なんとなく、アッシュと英二の関係も じっくりと熟成されたもののように当時は感じられたが、アニメは、原作のエピソードを追うことに精一杯な感じがして、初めて観る人には、その辺、説得力に欠けるのではないかと気掛かりだ。

 

 

逆に、尺に余裕が無いお陰で、余計なオリジナルシーンが今のところ殆ど無いのは良かったとも言える。 それこそ、ヘンに腐女子向けのサービスシーンなど増やされた日には、台無しになりかねない。

 

 

作画に関しては、原作のカッコ良さ(ポーズなど)を再現しきれていないシーンもあるが、要所での アクションや主要キャラの表情など、全体的には頑張っていると思う。

 

 

キャスト(声優)については、最初は、なんつーか、地味というか、随分、ハスキー系(内田雄馬、野島健児ほか)で固めたなぁ、と思った。

 

ひょっとしたら、超メジャー級声優を確保できなかっただけかもしれないが、結果的には、良い人選だったかもしれない。 メジャー声優に多い「よく通る美声」や「甘い声」は、ちょっとイメージではないようにも思う。 それに、正直、アッシュについては、誰が演じても、あまりピンとはこなかったろう。

 

 

さて、ここからは蛇足だが、今シーズン、エンゼルスの大谷翔平選手の試合を毎日のように観ていた中で 『BANANA FISH』のアニメ放送が始まったので、大谷君に “英二” が重なって見えて仕方なかった。 顔や髪型だけでなく、純朴そうなところとか、東洋人の少ないベンチ内で、周囲が彼を、やたら大事に扱っている光景とか

 

作者によると、英二のモデルは 俳優の「野村宏伸」だったそうだが、そう言えば、大谷君の方がだいぶあっさりはしているものの、顔がちょっと似てるかもしれない…。

 

…いや、若い人は、「野村宏伸って誰だよ」とか「あんなオッサンと 大谷君を一緒にするな」とか思うだろうが、野村宏伸も30年前は、あれで相当カワイかったのだ。 そう考えると、大谷君も30年経ったら、あんな感じのオッサンになっちゃうのかな、と複雑な気分だ。 童顔男性は、年取るとビミョーになってしまうことが多い。

 

 

つまり、30余年というのは、そういう “ビミョーな時の経過” を意味しているのだ。 従って、当時の感動を その通り再現するのも 生易しくはない、ということだ。

 

 

 

<関連日記>

田村由美 『 BASARA 』…… キャラクターの魅力が長編漫画の命

 

三部けい 『 僕だけがいない街 』…… サスペンスというよりは 「生き方」 を問う作品

 

筒井哲也 『 予告犯 』 ・・・ 「綺麗にまとめた」 のが救い の犯罪サスペンス




※ 紙書籍(文庫版)は、早い巻の「あとがき」で盛大なネタバレがあるらしいので、注意!!





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BANANA FISH(第1巻) (小学館文庫) [ 吉田秋生 ]
井哲也 『 予告犯 』 ・・・ 「綺麗にまとめた」 のが救い の犯罪サスペンス





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最終更新日  2018年10月05日 22時07分33秒
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