『武士の一分』※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※下級武士の三村新之丞は 美しい妻の佳世と中間(ちゅうげん)の徳平と 平和で幸せな毎日を過ごしていました。 しかし、藩主の毒味役を務め運悪く失明してしまいます。 命を絶とうとした新之丞でしたが、 佳世と徳平のために思いとどまり、やり直すことを決意します。 しかしある時、妻の佳世が新之丞の上士である 番頭の島田と密会していたことを知り、離縁を決意。 新之丞は島田に『武士の一分』を賭けた 果たし合いを挑むのでした。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ おいらキムタクにはいつも裏切られます。 いい方に。 “ハウルの城”の時も「え~キムタク? ネームバリューがあるからって声優なんて・・」 と思っていたけど、なんか 素敵にかっこよくハマッてました( ̄д ̄*) それなのに今回もまた「キムタクが時代劇ぃ?なんか浮きそう~」 なんて思ってました。 確かにキムタクはキムタクでした。 オレ流ならぬキムタク流。 何をやっても彼は彼。 でも、そこに観客の心を惹きつける何かがあるのです。 俳優には2通りあると思う。 「えっ!?これがあの人?」という感じに どんな役にでもなれる器用な人。 何をやっても全部その人なんだけど“その人が観たい” と思わせるオーラ系の人。 前者は、数はこなせると思いますが 器用貧乏に終わってしまうタイプ。 後者はいうまでもなく華があるスター気質。 キムタクはやはり後者。 キムタクはキムタクです。 良くも悪くも。 だからこの作品の彼に関しては賛否両論あると思います。 それを三村というキャラクターにあてはめた 山田監督の凄さと言った方がいいのかもしれません。 脇を固める俳優陣も凄い。 檀れい、笹野高史はもちろん緒形拳の贅沢な使い方も 効果ありでした。 作品全体のイメージは地味。 派手な音楽もなければ、 カメラワークもそんなに凝っている様子ではないし 実に静かに物語が流れる感じ。 でも、ちぃーっともダレるところがないのです。 最初から最後までじっくり観ていられました。 江戸時代の下級武士の生活を 細かいところまで丁寧に描いたリアリティーさや、 随所にちりばめられた笑い(劇場で“どっ”と笑いが起きた 場面が何か所かありました) そして普遍的なテーマ『夫婦愛』。 佳世役の檀れいさんの奥ゆかしさ。 今の日本には(自分を含め;)なかなかああいう女性は いないかもしれませんが、おいらでも妻にしたいなぁ と思うほどの献身ぶりでした。 そしてそんな若い夫婦を陰日向で支える徳平役の笹野さん。 すごく輝いてましたね。 時々だんなさまに向かって尊敬語とタメ口が混ざってるのも 不器用な人っぽくて良かったです。 ラストへの流れは、時代劇ならではの わかりやすい展開でしたが、 むしろ観ている側がそうなって欲しい通りに 物語が進んでくれた事が嬉しかったです。 なんかわかりにくいですが; そこが時代劇のいい意味での『お約束』ではないでしょうか。 時代劇は初めてという若い層にも 違和感なく観てもらえると思います。 そして「平凡に普通に生活できる幸せ」というものを 感じ取れれば、今の自分達の恵まれすぎた環境にも 気付く事でしょう。 ほたるやチョウチョの描写にも心が洗われました。 |