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『武士の一分』

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下級武士の三村新之丞は
美しい妻の佳世と中間(ちゅうげん)の徳平と
平和で幸せな毎日を過ごしていました。
しかし、藩主の毒味役を務め運悪く失明してしまいます。
命を絶とうとした新之丞でしたが、
佳世と徳平のために思いとどまり、やり直すことを決意します。
しかしある時、妻の佳世が新之丞の上士である
番頭の島田と密会していたことを知り、離縁を決意。
新之丞は島田に『武士の一分』を賭けた
果たし合いを挑むのでした。
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おいらキムタクにはいつも裏切られます。

いい方に。

“ハウルの城”の時も「え~キムタク?
ネームバリューがあるからって声優なんて・・」
と思っていたけど、なんか
素敵にかっこよくハマッてました( ̄д ̄*)

それなのに今回もまた「キムタクが時代劇ぃ?なんか浮きそう~」
なんて思ってました。
確かにキムタクはキムタクでした。
オレ流ならぬキムタク流。
何をやっても彼は彼。
でも、そこに観客の心を惹きつける何かがあるのです。

俳優には2通りあると思う。
「えっ!?これがあの人?」という感じに
どんな役にでもなれる器用な人。
何をやっても全部その人なんだけど“その人が観たい”
と思わせるオーラ系の人。

前者は、数はこなせると思いますが
器用貧乏に終わってしまうタイプ。
後者はいうまでもなく華があるスター気質。

キムタクはやはり後者。
キムタクはキムタクです。

良くも悪くも。

だからこの作品の彼に関しては賛否両論あると思います。

それを三村というキャラクターにあてはめた
山田監督の凄さと言った方がいいのかもしれません。

脇を固める俳優陣も凄い。
檀れい、笹野高史はもちろん緒形拳の贅沢な使い方も
効果ありでした。

作品全体のイメージは地味。
派手な音楽もなければ、
カメラワークもそんなに凝っている様子ではないし
実に静かに物語が流れる感じ。
でも、ちぃーっともダレるところがないのです。
最初から最後までじっくり観ていられました。

江戸時代の下級武士の生活を
細かいところまで丁寧に描いたリアリティーさや、
随所にちりばめられた笑い(劇場で“どっ”と笑いが起きた
場面が何か所かありました)
そして普遍的なテーマ『夫婦愛』。

佳世役の檀れいさんの奥ゆかしさ。
今の日本には(自分を含め;)なかなかああいう女性は
いないかもしれませんが、おいらでも妻にしたいなぁ
と思うほどの献身ぶりでした。
そしてそんな若い夫婦を陰日向で支える徳平役の笹野さん。
すごく輝いてましたね。
時々だんなさまに向かって尊敬語とタメ口が混ざってるのも
不器用な人っぽくて良かったです。

ラストへの流れは、時代劇ならではの
わかりやすい展開でしたが、
むしろ観ている側がそうなって欲しい通りに
物語が進んでくれた事が嬉しかったです。
なんかわかりにくいですが;
そこが時代劇のいい意味での『お約束』ではないでしょうか。

時代劇は初めてという若い層にも
違和感なく観てもらえると思います。

そして「平凡に普通に生活できる幸せ」というものを
感じ取れれば、今の自分達の恵まれすぎた環境にも
気付く事でしょう。

ほたるやチョウチョの描写にも心が洗われました。




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