240757 ランダム
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『包帯クラブ』

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知らず知らずのうちに大切なものが失われていく毎日に気付き
嫌気が差していた女子高生のワラは、
ある日病院の屋上で出会った
不自然な関西弁を話す少年ディノや
タンシオ、ギモたちとひょんなことから
‘その人が傷付いた場所に包帯を巻く’という
『包帯クラブ』を始めることになるのですが
やがて自分達の傷も、うずきだし・・。
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主人公は高校生たち。
若者ならではの感覚・・といってしまえばそれまでなんですが
いや、そうではなく、世代というものだけではくくりきれない
もっと個人個人の問題や考えるべきことが
描かれていると思いました。

現に、子供の頃は今のおいらの年って、もうすっごい大人で
世の中のこと何でもわかってるはず・・って思ってたけど、
あの頃と何が変わったんだろう(?_?)
未だにわかんないことだらけだし、一人じゃ出来ないことも多いし・・
その人の持っている根本的な意識っていうのは
大人になっても変わらないんじゃないかと。
この物語の登場人物一人一人が、大小はあれども
皆何かしら心の傷を負っています。
それとちゃんと向き合うことが出来ず、前に踏み出せない・・。

特に主人公達のような思春期に負った傷は
そのままにしておくとその後の人生に
大きな影響を与えかねません。
‘傷付いた人の傷付いた場所に包帯を巻きに行く’なんて
なんか押し付けがましいし、そんなんで癒されるのか?とか
偽善的に感じてしまうとか
観始めはしれ~っとした気持ちになってしまう人も
いるかもしれません。

でも観ているうちに、そういう表面的なことじゃなくて
これは‘包帯’というものが繋ぐ
人と人の絆の物語なんだと気づきました。
そこから他人の痛みを知ることで、自分も変われる。

例えば戦時中のことは戦後生まれのおいらはもちろん知らない。
でも『知らない』じゃすまされないこと。
今の世界の悲惨な現状だって知っておかないことには
これから何も変わらない。
「世界的な事柄と小さな日常の出来事は繋がっていると思っている」
とは、原作者・天童荒太(あらた)さんの言葉ですが

『包帯一本巻いて世界が変わったらめっけもんやん』という
ディノの台詞に投影されているように思います。

何かに気付くにはほんの些細なことでも構わないと思う。

この映画の‘包帯’というアイテムは凄くユニークかつ斬新で
いいなぁと思いました。

最終的に見えてくる、その「傷を癒す絆の正体」・・

それは物語の冒頭ではワラが絶対信じられなかったもの。

言葉にするとちょっと臭くなりそうだけれど
ラストで再び聞いた時には照れ臭さではなく
純粋に温かなものを感じました。

大人気のHEROと上映時期が重なってか?
客席はガラーンとした雰囲気でしたが
ノーマークだった方は観て損はないと思います。

あっ、それから。

エンドロールが終わるまで席を立たないように!




Last updated 2007.09.24 23:37:32


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