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『善き人のためのソナタ』

祝!アカデミー外国語映画賞受賞(≧∇≦)ノ彡
という訳でミーハー的に観てまいりましたf^_^;

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舞台は1984年、東西冷戦下の東ベルリン。
国家保安員(シュタージ)局員のウ"ィースラーは
劇作家のドライマンと、恋人で舞台女優のクリスタが
反体制的であるという証拠をつかむよう命じられます。
さっそくウ"ィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めますが
予期していなかったことが起こります。
国家に忠実に仕えてきた男がここで知る自由・愛・音楽・文学・・
いつの間にか彼らを通じて、あの壁の向こう側へと
世界が開かれていったのです。
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ベルリンの壁が崩壊したのは1989。
歴史的に大きな出来事だったにもかかわらず
当時のおいらにはなんのこっちゃか・・

崩壊後17年経って初めてこのような内容の映画が
撮られたということですが、
こんな国家があったことに驚きました。

盗聴と密告だらけの監視国家だった旧・東ドイツ。
この国の人達が負った心の傷は相当なものだと思います。

主演はウルリッヒ・ミューエ。
恥ずかしながら、おいらはその存在すら知らなかった
‘シュタージ’の優秀な局員を演じています。
国家保安員。いわゆる国家の‘秘密警察’ですね。
このシュタージによって人々は常に監視され
個人のプライバシーなんてちっともない中で生活していたのです。
これだけでも嫌なのに、なんとIMと呼ばれる
家族や友人のことをシュタージに密告する非公式協力者がいた
というのがさらにショックです。

実際、ミューエも自身の妻に十数年間密告され続けられて
いたそうです。
こうなったら一体誰を信じたらいいのでしょう?
うかつに友達や恋人も作れません(∋_∈)

その他の役者やスタッフも旧・東ドイツ出身者が多いのだそうです。
17年経っているのに、今回の撮影で皆初めて
当時のことを口にしたんだそうです。
彼らにとってはまだ過去のことではないのかもしれませんね。

ミューエ演じるウ"ィースラーは次第に心を動かされていく訳ですが
きっかけ(多分;)は『善き人のためのソナタ』。
ドライマンが自殺した友人からもらった譜面で奏でる曲。
このピアノソナタを盗聴場所の屋根裏で聴いたウ"ィースラー。
劇中「この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」という
言葉が出て来るのですが、まさにそうなったという・・

ウ"ィースラーはものすごくポーカーフェイスなんですね。
なので、演じる側は難しかったと思います。
感情表現があまりないので、
突然いい人になったように見えなくもないんですよね~。
「あんたさっきまで非道な人間やったやないの!?」みたいな(^_^;)
じわじわとウ゛ィースラー心の変化を描くというものではなく
物語の割と早い段階で彼は心変わりします。
その後も話は淡々と展開していき
ドラマ性もありますが(クリスタは気の毒!)、基本的には地味。
タイトルになっているソナタもそんなに印象的ではありませんし。

しかーし!

すべてはラストシーンにありました!!

あのエンディングを観れたことで、
少しの疑問もすべて吹っ飛びました。

言い方は悪いかもしれませんが‘終わり良ければすべて良し’です。
一滴だけど、大粒の涙がこぼれました。

ウ"ィースラーという人物の抑えに抑えた描写が生きてきます。
唯一感情を表現する目の動きや
彼の強い信念を演じ切ったウルリッヒ・ミューエに拍手です!

最後の一言は名セリフだぁ~(ノД`)・゜・。








Last updated 2007.03.06 14:23:57


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