ララピポ楽天ブックス
町長選挙楽天ブックス
仏教に大乗と小乗があるように、読者をどう誘(いざな)うか、作家によって方法は分かれる。
微細なことまで周到に書き込み、しっかりと小説の豊穣な世界へ引き込もうとする小説家もいる。
その逆に可能な限り文章を削ぎ落とし、多くを表現しなくても、読み手の想像力を刺激できる、その拡がりをつかみ取ってくれると、冗長になるのを嫌う作家もいる。
そのどちらがよいのかという問題ではない。作風もあれば、文体の好みもあるだろう、送り手受け手の双方ともに。
エンターテインメントに限れば、いま輝いている作家、後者の代表格が奥田英朗になる。それで肉薄してくる筆の力はいつも好ましく感じている。おそらく作家生命も永いだろうし、エッセイを書いても味わい深くなるにちがいない。
氏の小説を2冊、久しぶりに手にした。
『ララピポ』(幻冬舎 2005年刊)は、登場人物の中心が、音楽でいうと「ロンド(輪舞曲)」風のつながりで、変化していく連作小説である。深刻な事件でもさらりとしたストーリーでまわっていく。理屈なしに面白い。登場人物の表情、動きが手に取るようにわかる。心の移ろう動きも会話の口調、高低、響きも同じである。ベストセラーに食い込んでもけして遜色がない。大推薦である。
『町長選挙』(文藝春秋 2006年刊)は、ご存じユーモア小説、精神医、伊良部一郎シリーズ第3作である。4作が収録されている。表題作だけがやや長め、新ジャンルに挑戦し、脱帽したいほど成功している。読んでいてリラックスできる小説というのは、なかなかあるものではない。腹の底から笑わせるとなると、それこそ並の力量ではない。こちらも同じく推奨できる。
中古パソコンは↓