山上ヶ岳・小笹の宿_story(3167)2013.8.19
大峯奥駈第1章 回想録(2日目その2)
第67靡:山上ヶ岳 お花畑から
明日にかけて登る山並みが眺望できる。
地蔵岳、竜王岳、大普賢岳・・と左に山並みが重なる。
90度折れて西向きの山並みとなり
右端の弥山(みせん 1895m)で再び南に折れる。
世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を12泊13日で巡ってきました。
そのうちの大峯奥駈道(吉野→熊野本宮大社)6泊7日の旅を第1章として回想する。、
中学時代、林間学校で2回大峰山(山上ヶ岳)に登っている。登山基地となる洞川(どろかわ)へは、下市口からバスで1時間半。初日には宿に一泊し、翌日は男子生徒は大峰山(山上ヶ岳 1719.3m)、女生徒は稲村ヶ岳(1726.1m)をピストン。
稲村ヶ岳のほうが7mほど高いのが面白い。直前に大きな岩稜のこぶ(:大日山 1689m)があり、何処からも見えるため稲村ヶ岳を同定することができる。
さて、大峯山寺(Daipusenji だいぷせんじ)は山頂近くの広場に重厚な面持ちで建つお寺でここに拝礼する目的で多くの登山者が訪れる。
これより手前にあった宿坊は5つ、合計500人の宿泊が可能で、600mも下の水場からポンプで汲み上げているということである。その一つ龍泉寺の宿坊では、冷えた麦茶のサービスがあり感激。少しであれば水も自由に使ってもよいとのことで500ccを戴いた。
山上裏行場は巨岩や奇石を巡る修業の場で、宿坊が案内してくれる。喜蔵院宿坊を出て左手の路地を進むと入口に至る。通常は10-20人のグループがまとまれば案内してくれる。
不動の登り岩→護摩の岩屋→胎内くぐり→屏風岩→袈裟かけ岩→衣かけ岩→笈(おい)かけ岩→賽の河原→天の川(岩の裂け目)→お亀石→大黒岩→背負い岩(庇の下を移動)→東の覗岩(現在は危険なため修業は行われていない)→飛び石→蟻の戸渡り(よじ登る)→阿古谷の絶壁に出る→平等岩→元結払い(もってんばらい)と巡る。
40分ほどの修業であるが、実際は秘歌を唱えながら進む。一般客は恐怖のうちに3kgくらい痩せている自分を発見するであろう。
一方、山上ヶ岳の頂上付近は一面 笹の楽園である。お花畑というが、8月の時期は花は無い。眺望がすばらしい。ここで昼食。ボンベとコンロを出しお湯を沸かす。アルファー米も最近は秋田こまちなどを使った豪華なものだ。これにフリーズドライの「鶏飯の素」「麻婆豆腐の素」などを湯で戻し、ご飯にかける。楽しげなメニューがずらりとあるのでどれを食べようか迷うほどだ。スープは同じく、卵、野菜、フォーなど3種類各10食分ある。
これらに、ソーセージやチーズなどでカロリーを増やしていく。なにせ重いものを運ばなければならないためカロリーを摂取しなければならないのだ。アルファー米を熱湯で蒸すためには15分から20分の時間を要す。
この時間がスケッチタイムとなる。
いかにも楽しげにやっているので、道行く登山者が声を掛けてくる。自前で食料と水を運び、料理し、食べるというこれほど原点に戻った生活がめずらしいという。「はんごう(飯盒)か?」と古いことを言うのは60代以降の人に決まっている。
せっせとノルマを稼ぐことによって、荷物が微々たる量であるが食材が減っていく分軽くなるのである。
今日の宿、「小笹の宿」(古くは小篠宿)へは山頂から45分ほど。そこは湧水地帯であるため水がふんだんにあるという。
2時に到着。ここにも不動明王が祀ってある。江戸以前には宿坊が44棟もあったという。平面を利用し所狭しと建物があったのであろうが今は避難小屋が一棟のみ。4人入れば満タンという状況。
テントが張れるため、修験者が宿泊する場合は一般は外で寝るということであろう。今回は、結局、弥山(みせん)から逆コースで進む登山客1人と、4日間で縦走するという驚異的な若者と3人で小屋を独占。
外は大雨となった。この青年、雨戸から流れ落ちる雨水を食器に取り沸かし始めた。水場があるのに大雨のため外に出るのが億劫であったろうか。豪快な青年である。翌朝は朝4時ごろ真っ暗闇をヘッドライトを点けて出て行った。
道に迷わないよう!
明るくても、道に迷いそうな大峯奥駈は、やはり周囲が明るくなってから行動したいものだ。
第66靡:小笹(小篠)の宿の岩窟
小笹(小篠)の宿は1600mの標高ではあるが比較的平坦。
こうした岩窟が至るところにあり、ほとんどが修行の対象とされている。
この先の大普賢岳から和佐又へ降りる中間に「笙の窟(しょうのいわや)」という聖域があるが、
これも大きな窟(いわや)で冬期に100日間の苦行が行われたりする。
写真:地蔵岳(1685m)前後の大峯奥駈道
このように優しく高尾山を行くような快適な道もあるが、
ほとんどが険しい山道。
稜線を行く場合、空が透けて見える。
常に樹林帯の中をいくため眺望はよくない。
ただ涼風が吹きわたっており甘露な心地。
写真:小笹の宿(1616m)
背後にある竜ヶ岳(1725m)を源として水流が年中確保される。
大峯奥駈のコース上にある唯一の水源。
小屋奥の樹林帯に音をたてて清水が流れる。
Picture1(sketch-direction 180°pm1:04 Sketch point:SAnjyougatake,Ohanabatake,Kumanokodo,Nara Pref.,JapanGPS 34.251847,135.941072(°)(34°15'6.65" N,135°56'27.86" E)標高1679m
Picture2(sketch-direction 90°pm2:30 Sketch point:Ozasanosyuku,Kumanokodo,Nara Pref.,JapanGPS 34.256353,135.939500(°)(34°14'14.48" N,135°57'16.29" E)標高1629m
Google Earthを楽しむ方法
Blogに掲載されている画像はすべて場所名、方位、時刻、GPS情報と標高を付けています。このうちGPS情報(ex.
35.645569,139.615544(°)など)を、Google Earthのジャンプboxに貼り付けて検索ボタンをクリックすると、スケッチした場所に飛ぶことが出来ます。