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2008.04.07
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この日買った『週刊将棋』には2007年第35回将棋大賞の各賞の発表がされたいました。
最優秀棋士賞を始め、あまたの賞の受賞者が発表されていましたが、私が注目したのは【升田幸三賞】の受賞者です。
なぜそんなに驚くのかを説明する前に、この賞の趣旨と名前について。
この賞は、将棋界でこれまで未知と言っても良い戦法や指し手の発案者を讃えるものです。
そしてその名前は『新手一生』を信条に棋士生活を歩んできた、故・升田幸三初代3冠王の名前が由来となっています。
今はプロ棋士の公式戦で指されることは無くなりましたが、「升田式石田流」と言う三間飛車の新戦法を編み出し、将棋界最高のタイトル名人戦で時の名人・大山康晴(故人)をあわやと言うところまで追い詰めました。
そして、プロは指さなくなったものの、この戦法自体は今でもアマチュアではよく指される人気戦法だったりします。
当然アマチュアには物凄く人気のあった棋士で、あの有名な将棋マンガ『月下の棋士』の苅田升三のモデルでもあります。
余談になりますが、あのマンガの苅田升三もそうとう個性豊かな人物ですが、実物はあのキャタクターよりもさらに個性的だったそうで、マンガ化するにあたってキャラをソフトにしたという珍しいケースだそうです。
そんな升田幸三初代3冠王の孫弟子の今泉健司奨励会3段が大師匠の名前に肖った賞を受賞するというのは驚くとともに奇遇です。
今泉3段の受賞理由は『3二飛車戦法』。
後手番で対局する時に、先手が7六歩と指してきたら、2手目に飛車を角の横へ移動させる戦法です。
一見、将棋初心者がやりそうなこの手ですが、意外と対応が大変だと言うことが分かり、現在プロ棋士の間で流行している戦法です。
現在この戦法への有効手段はこのBlogを書いている時点ではまだ無く、初手を2六歩と指して3二に飛車を2手目に振らせないこと以外には無いそうです。
アマチュアの素人が指しそうな一見悪手に見える手をプロがこぞって使うような戦法にしてしまう、今泉3段の創造力に大師匠も天国で喜んでいるでしょう。
いや、受賞は嬉しいが、その前に早くプロ(4段)になれ、そう言うでしょうか。
かつて3冠王になったこともあり、名人や王将を始め7度もタイトルを取った升田幸三。王将戦では名人を相手に香車を引き、そして勝ったこともあります。
出来ることなら孫弟子には早く4段になって、タイトル戦を戦うほどの棋士になって欲しいのかもしれないですね。
プロ棋士でもなかなか取れない『升田幸三賞』。
かつて羽生善治は7冠王になった時に「自分のオリジナルの戦法を作りたい」と言う趣旨の発言をしていましたが、今泉3段はある意味この点においてはすでに7冠王を越えていると言えるでしょう。
後は晴れて奨励会を抜けて、本物のプロ棋士、棋士系譜に名前が残る升田幸三の孫弟子になることです。
そんな日が早くくることを切に願います。
頑張れ、今泉健司!





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Last updated  2008.04.08 15:31:15
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