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『「時間ですよ」を作った男久世光彦のドラマ世界』 (加藤 義彦著、双葉社2007年3月)を読みました。
私が、久世光彦と言う名前を意識したのは「向田邦子スペシャル」の数々のドラマでしたから、はっきり言えば、そんなにもファンではなかったのですが、「時間ですよ」などのドラマは、しっかり見ていました。それだけ、人気があり、話題作だったのです。「時間ですよ」は、昭和45(1970)年2月に始まっています。下町の銭湯をきりもりする船越英二と森光子の夫婦の物語でした。 このドラマを演出したのが久世光彦。久世光彦は昨年3月に亡くなりましたが、「時間ですよ」以外にも「寺内貫太郎一家」、ジュリ-が三億円犯人になった「悪魔のようなあいつ」、「ムー一族」、「向田邦子スペシャル」など、数多くのヒット作、話題作を作っています。 そして、最後の十年ぐらいは小説を書いて、例えば『一九三四年ー乱歩』で山本周五郎賞など、数々の文学賞を受賞されており、作家としても名を残されました。 しかし、やはりなんといってもドラマでの功績は大きいです。 この本は、テレビ番組について詳しい著者が、久世光彦に6年も密着取材して、久世ドラマの作り上げた世界をていねいに分析して書いた本です。 裏話というのは、モノを作り上げて行く過程の話は、とても面白いです。 もっと久世ドラマ見ておけばよかった、ああ、こんなにしてドラマは作られるのか、とわくわくしながら読みました。 「時間ですよ」の凄さは、劇中のコントや、ギャグなどドラマの話からはみ出した部分にあったと書いてあります。そうだなと思います。記憶にあるのは、そうした場面です。著者はそれを「寄り道ドラマ」と名づけて、久世ドラマの特色としています。 そして、それはバラエティ全盛になる今のテレビ界の先駆けだったのです。 堺正章、樹木希林、浅田美代子の3人トリオによるギャグやコント。そして堺と浅田が屋根の上で歌う「劇中歌」の数々。懐かしい画面を本を読みながら思い出します。 そういえば、どこを切っても笑顔だと言われた天地真理も「劇中歌」で歌っていました。 あの大ヒット「ひとりじゃないの」は、久世光彦の作詞なのです。 樹木稀林さんのおばあちゃんが、壁のポスターに「ジュリー!」と叫ぶ名物のシーン、あれは「寺内貫太郎一家」でした。 郷ひろみと樹木希林の「林檎殺人事件」。歌のベストテン番組で二人が出て歌うのを楽しみにしていました。 忘れていた往時のテレビの光景が、リアルによみがえってきて、何倍にも楽しめる本でした。 [本のこと]カテゴリの最新記事
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