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2009.08.18
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カテゴリ:カテゴリ未分類

 夏目漱石の晩年の作品『 硝子戸 の 中 (うち) 』に、漱石の飼い犬の話が出てきます。
Hさんからもらいうけて犬でこちらには、「ヘクトー」という名前がついています。
 「ヘクトー」と言う名前については、次のように書かれています。
 「それはイリアッドに出てくるトロイ一の勇将の名前であった。トロイと希臘(ギリシャ)と戦争をした時、ヘクトーはついにアキリスのために打たれた。アキリスはヘクトーに殺された自分の友達の讐(かたき)を取ったのである。アキリスが怒(いか)って希臘方(がた)から躍(おど)り出した時に、城の中に逃げ込まなかったものはヘクトー一人であった。ヘクトーは三たびトロイの城壁をめぐってアキリスの鋒先(ほこさき)を避けた。アキリスも三たびトロイの城壁をめぐってその後を追いかけた。そうしてしまいにとうとうヘクトーを槍で突き殺した。それから彼の死骸(しがい)を自分の軍車(チャリオット)に縛りつけてまたトロイの城壁を三度引(ひ)き摺(ず)り廻した。......
 私はこの偉大な名を、風呂敷包にして持って来た小さい犬に与えたのである。」
 「ヘクトー」です。
 病気をした漱石は一カ月ばかりの間ついにヘクトーに会わなかったら、呼んでも応じなくなったことを寂しいと書いています。
 その「ヘクトー」が具合が悪くなって、いつの間にか姿を消してしまいます。
 「彼がいなくなって約一週間も経ったと思う頃、12丁隔ったある人の家から下女が使に来た。その人の庭にある池の中に犬の死骸が浮いているから引き上げて頸輪を改ためて見ると、私の家の名前が彫りつけてあったので、知らせに来たというのである。下女は「こちらで埋めておきましょうか」と尋ねた。私はすぐ車夫をやって彼を引き取らせた。」
 死んでいたのですね。
 「私は下女をわざわざ寄こしてくれた宅がどこにあるか知らなかった。ただ私の小供の時分から覚えている古い寺の傍(そば)だろうとばかり考えていた。それは山鹿素行の墓のある寺で、山門の手前に、旧幕時代の記念のように、古い榎(えのき)が一本立っているのが、私の書斎の北の縁から数多(あまた)の屋根を越してよく見えた。」
 先日、我が家の犬のエサを買いに行くとき、漱石の旧居があった漱石公園とこの山鹿素行の墓のある宗参寺へ寄りました。
 漱石公園は久しぶりでしたが、キレイに整備されていました。
 入り口に、平成3年に落成した富永直樹作の漱石の胸像があります。
 ここに、文豪夏目漱石は、明治40年9月29日から大正5年12月9日に死去するまで住んでいて、「漱石山房」と呼んでいました。

 夏目漱石の像

宗参寺 表門

 宗参寺には、「山鹿素行の墓」と「牛込氏の墓」があります。

山鹿素行の墓 

漱石公園の猫石
 ヘクトーの墓のことが『 硝子戸 (がらすど) の 中  』に出ています。
 あの猫の隣に埋められたのですね。
 「彼の墓は猫の墓から東北に当って、ほぼ一間ばかり離れているが、私の書斎の、寒い日の照らない北側の縁に出て、硝子戸のうちから、霜に荒された裏庭を覗くと、二つともよく見える。もう薄黒く朽ちかけた猫のに比べると、ヘクトーのはまだ生々しく光っている。しかし間もなく二つとも同じ色に古びて、同じく人の眼につかなくなるだろう。」

 今、公園内には猫塚と称する石塔があります。これは遺族が飼っていた犬や猫の供養のために「猫の一周忌」に建立され、東京大空襲で損傷したものを修復したものです。






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Last updated  2009.08.18 20:27:07
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