飛火野へ
今日はあまりにも天気が良く、芭蕉翁ではありませんが、そぞろ神の物につきて心を狂わせらるる心地して、ふらりと目指すは奈良公園。観光客や散策家族の多い人寄り場所を尻目に、春日の奥へ奥へと歩をあゆませる。 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の~♪と詠んでも見事に知らぬ顔して草を食む神の使いたち。しかとかよ!そう言えば 奥山に紅葉踏み分け鳴く蛍なんて戯れ歌があったよな。下の句を思い出そうと懸命になってたら、木の根につまずいてまろびそうになり、お陰でふっと浮かんだ。 しかとは見えぬ杣のともし火曾呂利新左衛門だか細川幽斎だかが太閤様を喜ばせたとかいう逸話。 そうそう、今日は旧友を訪ねるような心持ちで飛火野に来たのでした。あの楓にもう一度会いたい!あの楓って? 二年前に見つけた素晴らしい楓。これです。 飛火野は広い野原の果てに林があり、それを越えるとまた野原があり・・・と変化に富んだ所です。林の中に分け入ってもすぐに行き止まりになってしまったり。それが小さな冒険のようで面白いのです。林の中でいきなり鹿に出っくわしたりね。 だいぶ歩き回って、やっと見つけたと思ったら、それは数十メートル先。今来た林を下って小さな流れを渡り再び隣の林を登らねばなりません。その辺りは特に早く陽が翳ります。十分もかからないかも知れませんが、対面しても翳っていては嬉しさも半減。今日は諦めて出直すことにしました。とは言っても、次回必ず行き着けるとは限らないところが冒険の所以なのです。