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Ureのミラクルな毎日

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2008.10.25
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カテゴリ:カテゴリ未分類
今日は日曜日、前世の記憶でデジャブーしましょう♪
初めての方はデジャブ1からお読みくださいね。


出会った頃

私が10歳ころ、彼が17歳ころ。
私たちは恋をしました。
とっても可愛い恋…
私はおにいちゃんが大好きでした。

だってとってもハンサムで優しくて、スポーツ万能で
(冬になるとアイスホッケーをしてました。)
そして、なによりもこのちいちゃな私をとっても愛してくれていたんですから!


……………………………………………………………………………

私はその窓の下の一部始終をまるで映画のスクリーンを見ているかのように
静かに見下ろしていました…

(今のは一体なに?)
受け入れることができない現実というものがあることなど
この私には理解が出来ません。

すぐに階段をあがるダダダダという足音が聞こえ、
父が私の部屋のドアを開けました。
母がその脇を通り私を抱きしめました。

わからない…なにもかも。
母は大声で泣いていました。
父はすぐに下に降りて行き、だれかと大声で話していました。
屋敷中が揺れ動いているようでした。

抱きしめられて、私はただただ天井を見ていました。
「何が起こったの?」
やっとのことで声が出ました。

「無実の罪よ!」母が叫びました。

さっきの黒い団体は警察官たちだったのです。



………………………………………………………………………

おにいちゃんだと思って育ったくらいです。
私の家族とほとんど一緒に過ごしました。

彼は学校が終わると毎日我が家に来て、私の勉強を見てくれたり
我が家の大きな犬と一緒に散歩に行ったり
しょっちゅう夕食を家族と一緒に食べていました。

私はひとりっこだったし、
両親ともとっても忙しかったので
本当に頼りにしていて
おにいちゃんが学校のことなどで帰りが遅いとしくしく泣いていたものです。

おにいちゃんの家?
あまり記憶にありませんが、お母さんがいなくて(事情はよくわかりません)
お父さんとおばあちゃんがいたようでした。
とてもいい人たちでしたが、我が家にくることは滅多にありませんでした。

わたしの父はおにいちゃんを気に入っていて、
できたら婿養子にしたいと思っていたようです。
祖父の代からの銀行経営、そして製材所もやっていて、数カ所の株主と
後継者として彼を見ていたようでした。

こんな風に、なにもかもすべてに恵まれた私…が
初めてのとき?
私が12歳…のお誕生日の日…私のお部屋。
それからは毎日ひとつになりました。
おにいちゃんが大学でよその街に行くまではね。
大学の資金も私の父が出していたようです。
なにしろむすめムコですから、それもすごく優秀な!



私はお兄ちゃんを待っていました。
どういう理由か記憶の外に飛んでいますが
選挙資金がどうの、選挙違反がどうの、
または…実家の親が金に困って私の親をゆすった…
銀行に脅迫した…など

私はどこでどうして生きて来たのでしょう。
記憶の糸が薄れていますが

数年も経つと親も、他の人とのお見合い話もあったような気がします。
そんなことはできません。
あれくらい深く愛し合ったのですから。

私はあの事件以来もぬけの殻です。
魂と肉体が数十センチも離れてしまいました。
自分の声が遠くから聞こえます。そんな時は…ね。

それから30年…早いものでした。
父は病で倒れまもなく母も過労で寝込む毎日…
結局、訳が分からないまま、時は流れました。
私は独身を通し
親の看護をする日々を過ごしました。

両親が亡くなった後、荷物はバッグだけで故郷を離れました。
すべてをささやかなお金に換えました。

ある意味、最後の場所を探していたと思います。
どこかの福祉施設で住み込みで誰かのお世話をしたい…と思いました。
私には何も無いのですから…



そこは列車を乗り継いで来て、ふと降りようと思った駅でした。
潮風が爽やかだったからです。
暖かい海岸通りに白い建物が目につきました。
何かの福祉施設のようです。

入り口のドアを押して入ったら、中庭が見えて
ああ、なんか見たことがある場所。
やわらかい光…
(だれもいないのかなあ)
薔薇のアーチをくぐると、芝生の上に誰かいます。
(あ、車いすなんだ)
「こんにちは」
と声をかけると

その車いすがゆっくりとこちらに回転しました。
ずいぶん不自由な様子です。
お日様が眩しくてなんだかよく見えません。
年老いた男の方だとわかりました。

やっと出会えた…私にはすぐにわかりました。

長い監獄暮らしで壊された彼の身体は
私が誰なのかも知ることもできず
ただ、光の中で微笑んでいました。





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Last updated  2008.10.26 09:38:31
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