
『感染列島パンデミックデイズ』「朝比奈耕作シリーズ」「氷室想介シリーズ」でおなじみ、本格推理からホラーまで幅広いジャンルの作品で読者を楽しませ続けてきた吉村達也氏。
自らが「これまでの集大成」と語る200作目の作品がこの『蛍坂』です。特殊な能力を身につけてしまった美女カメラマン・上原仁美をめぐるスリリングなストーリーとハートウォーミングな結末。
読者の期待を決して裏切らない著者の、まさに誠実な記念碑的作品。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
失恋と家族の不幸で生きる希望を失った上原仁美は、祖母に教えられた四国山中の「蛍坂」でホタルが織りなす奇跡のファンタジーを目撃する。それは仁美の人生観を根底から覆し、彼女に生きる勇気と希望を与えた。しかし、カメラマンとして新しい人生を踏み出した京都で、仁美は驚愕の超常現象に次々と遭遇する。観光客のために撮ってあげた写真に、所有者の死が映り込むのだ。いったいその現象は何を訴えているのか。未来の悲劇を防ぐことは不可能なのか。ミステリー、ホラー、サスペンス、家族愛、恋、人生哲学のすべてが融合した感動の200冊記念作品。
不思議系の能力のお話とミステリーの融合?と思って読みましたが…。う〜ん、主人公の人物像が一定しない、納得できないところが多かったかも?22歳で付き合っている25歳の彼氏と別れる羽目になり、どうやら相手の母親が自分を気に入らないからだということで、怒りのあまり自殺しようと試みるというところから、なんとも言えない気分…。一人娘のする行動か?そして、その知らせを聞いた両親(結婚式に出席していてお酒が入っていた)は動転しながら病院に駆けつけようとして事故を起こし、幼稚園児の列に突っ込み幼児3人が死亡…。刑務所に入った父親は、数日後に心臓発作で死んで、母親は精神を患ってしまう。不幸のてんこ盛りから話は始まる。
そんなこんなで打ちひしがれている主人公の仁美に祖母が蛍坂というところに行くように勧める。祖母がかつて住んでいた廃村となった村から辿り着けるその蛍坂に出かけた仁美は、そこで人智を超えた現象に出会う。そして、その現象が引き金となり、仁美の中に眠っていたやはり人智を超えた力が目覚めたのであった。それは、蛍坂での現象を機に立ち直り、カメラマンとして再出発しようとした仁美のカメラの中に現れる。シャッターを押した瞬間に、人の死の瞬間が写ることがあるようになったのだ。
…。不思議系でも、いいんだ。その力をうまく使いこなして、いい方向に話が進むんだったら、ご都合主義でも楽しいんだけど…。う〜んう〜ん。すっきりしませんでした。途中までは、ミステリー仕立てと思ってワクワクだったのですが…。
メインの人物が死んじゃうお話は基本的に好きじゃないのかもしれない。ご都合主義でもいいので、かなりしっかりハッピーエンディングが好きだなぁ…。
泣けるお話でしたが、個人的には、仁美の行動も含めて、あまり納得できませんでした。共感はできるのですが…。
テーマとしては、人智を超えた力とか運命とかが存在するのも確かだけど、まるきり動かせないものではないと。その運命の中で多少は変えられる何かがあり、それを受け入れて努力する姿勢は正しい、そういうことなんだと思いますが…。そのテーマのための枠のお話がうさぎと相性が合わなかったようでした。エンタメとして一気読みする分にはいいのでしょうね〜。確かに、一気に読めたので。ハイ。