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テーマ:DVD映画鑑賞(13572)
カテゴリ:映画・TV鑑賞
”太平洋戦争”(日本で言う大東亜戦争)末期、日本の海軍連合艦隊が壊滅状態の中、孤立した硫黄島における攻防を、日本側視点から描いた作品。
米国への留学経験をもち、敵の戦力も十分理解している栗林中将(渡辺謙)が、硫黄島の指揮官として赴任するところから始まる。戦略を知る栗林中将の作戦変更で、持って5日と思われていた戦況は、結局1ヶ月以上も持ちこたえることになる。 そうした中で、玉砕しか残された道がない極限状態での兵士たちの心情、行動を描いている。 天皇陛下のため、国のために命を捧げるという正義と、残した家族を思うと死ぬことは怖いが、家族と日本の未来のために戦って死ぬことは決して無駄死にではないのだ、と言い聞かせるように、自分の生の意義を見出そうとする様は、当時の日本兵の心情をリアルに表現しているのではないかと思う。 鬼畜米英という教育を受けてきた日本兵も、アメリカ兵士にも同じように家族がいて、家族への思いを持って戦場に来ている同じ人間なのだということを、捕虜を通じて知ることになる。 投降した日本兵も戦況によっては決して安泰ではなく、どっちにしろ過酷な状況には変りはない。 そういうところも含めて、当時の前線の日本軍の状況をよく描いているとは思うが、新しい発見とか驚きを感じるほどのメッセージ性はなかったのではないか。 こういう戦争映画は、最前線の攻防だけ描くのでは物足りなさが残る。やはり、大局的に司令部や各方面の戦況との関係、敵国状勢や他国の動きなどを織り交ぜ、戦局を分析しながら、なぜここで硫黄島を放棄せずに1日でも持ちこたえることが意味があるのか、をもっと詳しく説明してくれないと、我々には伝わらない。 現代から見れば、なんでこんな小さな島を守って無駄死にするのか、どうせこの島が占領されることがわかっているなら、一兵でも多く本土に引きあげて決戦に備えるべきではないのか。 という疑問がまず前面に出てしまう。 それを、いやそうではない。 と納得させるところから始めてくれないと、この島にこだわる日本軍や最前線にいる兵士の身になって共感するところまでいけないのではないか。 ただ、まだ一方の「父親たちの星条旗」を見てないので、これを見ると総合的な評価は変わるかもしれない。 「硫黄島からの手紙」 2006年 監督・製作:クリント・イーストウッド 主演:渡辺謙 出演:二宮和也 伊原剛志 中村獅童 他 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 22, 2007 04:32:59 PM
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