第三話61 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:20:30.60 ID:YgJwQrnO0第三話 「青年」 僕は、あのまた、見覚えのある黒い椅子に座っていた。 その視点はぼんやりと宙を見つめている。 あの出来事はなんだったのだろうか、と先程のことを思い出していた。 すごく自分より幼く、純粋な彼の放った言葉。それを理解できずに混乱していた。 だが、時はそれを整理するほどの暇を与えてはくれなかった。 再び、部屋は極限の白に染まる。そして、突如、その奥に現れるドア。 今度は、先ほど見た空より深い、青いドアだった。 再び僕は立ち上がり、今度はゆっくりとした足取りでそのドアに近づく。 そして、そのノブを握ると、再び不可解な思いに駆られた。 しかし、心の中に沸き起こる衝動は、抑える事ができなかった。 そのままそれを握った拳を回転させ、ドアを開く。 そして当然の如く、中に入り、閉じる。という行為をした。 62 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:21:13.31 ID:YgJwQrnO0 次に目の前に広がっていた空間も、不可解なものだった。 目の前は酷く薄暗い。先ほど、真っ白な空間に居たせいか、その黒は実際より色濃く感じる。 そして、目に慣れてきたころには自分が何処にいるかが把握できた。 左側には、真っ直ぐに伸びるカウンターと、それと並行するかのように並ぶ椅子。 カウンターの奥には、様々な色の瓶が整然と並べられている。 右側には、透明なガラスで出来たテーブルが一台と、 それを囲うようにした豪華な感じのソファーのような椅子が四台。 その奥にそれと同じような組み合わせがもう一つ。 そして一番奥には、一台のグランドピアノが置かれていた。 とりあえず、突っ立っていても仕方ないので、僕はカウンターの前にある一つの椅子に腰を掛ける。 そして、後ろを振り返り、再びこの空間を探るように見つめていた。 しかし、そこで背後から不意に声が掛けられる。 63 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:21:59.31 ID:YgJwQrnO0 「やぁ。ようこそバーボンハウスへ」 (;^ω^)「!?」 僕はびっくりして、カウンターの方へ振り返ると、そこには一人の男が立っていた。 年齢は僕より一回り上なのだろうか?顔に刻まれた皺がそれを物語っていた。 身なりは白いシャツに蝶ネクタイを付け、黒いベストを羽織っている。 足元はカウンターに隠れて見えなかったが、どうやらスーツのようなズボンを履いているようだ。 髪は何か整髪料のようなもので整えており、上にある電球の光を受け輝いていた。 そしてその表情は眉がハの字に下がっていて、何処か気弱そうなイメージを僕に植え付ける。 64 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:22:41.78 ID:YgJwQrnO0 (´・ω・`)「ようこそ、バーボンハウスへ。 このバーボンはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。 うん、「また」なんだ。済まない。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、この店内を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない、 「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。 殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、 そう思ってこの店を作ったんだ。 じゃあ、注文を聞こうか」 彼は、続けてこう語り、目の前に茶色い液体の入ったグラスを置いた。 が、僕はここに来たのは初めてだし、「また」とか言われてもピンとは来なかった。 65 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:23:09.86 ID:YgJwQrnO0 (;^ω^)「いや…「また」ってなんですかお?そもそも僕は一見さんですお」 (´・ω・`)「すまない、これは口癖でね。細かい事は水に流して欲しい」 (;^ω^)「…そうですかお。…ところで、ここは?」 三度、僕はこの店内を見回してみながら、そう訊いた。 (´・ω・`)「まあ、僕の趣味…みたいなものかな?いいセンスしてるだろう?」 (;^ω^)「…ええ、まあ…」 僕は適当に相槌を打つ。 まあ、本当の意味では答えにはなっていないが、とりあえずそういうことにしておいた。 66 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:23:37.12 ID:YgJwQrnO0 (´・ω・`)「注文はどうしようか?」 ( ^ω^)「…僕はお酒が苦手だお。バーボンは無理ですお。 何か軽くて飲みやすいもの頼みますお」 (´・ω・`)「ふう…それは残念だね。わかった、少し待っていてくれ」 ふう、と彼は溜息をつきながら言うと、後ろの棚に手を伸ばし透明の液体の入った酒瓶に手を伸ばした。 そして、それを片手にカウンターの下で扉のようなものを開く。 次に、薄く半透明の液体が入ったペットボトルを残った手で取り出す。 そのまま、両手に持ったものをカウンターに置き、 横から、上下にくっついた金属のコップみたいなものを取り出す。 そしてそれを開き、またカウンターに置く。 次に再び瓶とペットボトルを片腕ずつに持ちその金属のコップのようなものに注ぐ。 そうして、残った方のコップで液体の入ったコップを閉じ、上下に数回振る。 最後に、電灯の光を受けキラキラと輝くカットの入ったカクテルグラスにその混ぜ合わせた液体を注いだ。 67 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:24:07.85 ID:YgJwQrnO0 (´・ω・`)「これは『ギムレット』というカクテルだ。 ドライジンとライムジュースを4:1で割ったものだよ。 本当は女性に勧めるカクテルだが、まあ仕方ない」 淡白いその飲み物は、 カクテルグラスが反射する光に混ざって、神秘的な雰囲気を醸し出していた。 周りの薄暗さがさらにそれを引き出しているのかもしれない。 ( ^ω^)「他に、お客さんはいないのかお?」 (´・ω・`)「さあ?…どうやらそのようだね」 (;^ω^)「そのようだねって…まあいいお。いつもはどんな感じだお?」 (´・ω・`)「いつも僕が来る時は様々だね。 数人来る事もあれば、今みたいに一人しか来ないときもある。 僕の知り合いが来るし、君みたいに知らない人も来るようだね」 ( ^ω^)「そうですかお…」 68 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:24:54.07 ID:YgJwQrnO0 そう言うと、ボーン、ボーンと大きな音が静かな店内の中を埋め尽くす。 どうやらそれは、目の前の青年の頭の上の時計から発せられているようである。 その時計は十時を指していた。 (´・ω・`)「こんな時間まで誰も来ないとなると、今日のお客さんは君一人だけだね。 そうだ、閉店までの間、暇つぶしに僕の話につきあってはくれないか?」 ( ^ω^)「…う~ん、まあ…いいですお」 (´・ω・`)「ありがとう」 (´・ω・`)「これは、ある男の物語なんだ。 彼はこの店にも幾度となく訪れたことのある。その恋人と一緒にね」 (´・ω・`)「話はその二人のなり染めから始まるんだ」 そう言うと、彼は一言溜息をつく。そしてもう一呼吸おいてまた語り始めた。 (´・ω・`)「それは十年以上も前のことだ」 69 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:25:15.87 ID:YgJwQrnO0 ―――彼は、その頃大学生だった。彼はとある大学の理系の学部に所属していてね。 その彼の毎日は平凡な生活の繰り返しだった。 ただ、講義に参加して、終わったあとはアルバイト。 そして家路につく。ひたすら、繰り返しの毎日だった。 彼自身、そんな毎日にうんざりしていたみたいだが、惰性的にそれを続けていた。 しかも、彼は凄く偏屈な人間でね。友人はお世辞にも決して多いとは言えなかった。 彼は退屈な時間の中を孤独に暮らしていたようだった。 彼はその状況を満足には思っていなかったが、受け入れてはいた。 いや、受け入れざるを得ない状況だったんだ。 しかし、彼の生活に突如として、変化が起こったんだ。 70 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:25:48.81 ID:YgJwQrnO0 僕は、彼の話を静かに聴きこんでいた。 彼の語り口調は凄く穏やかで、その声は、聞く物の心を落ち着けているように思えた。 そして、彼の話が進むにつれてさらに、その物語の中へと吸い込まれるように感じた。 …いや、感じたんじゃない。僕は紛れも無く、その物語の中にいたんだ!! 71 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:26:21.22 ID:YgJwQrnO0 気がつけば、そこは理科の実験室のような空間に居た。 壁を沿うように並ぶ棚はガラスで塞がれており、その中には茶色い瓶が並んでいた。 その瓶には『塩酸』だとか『エタノール』とか書かれたラベルが貼られている。 むしろ、僕が見たことの無い名前の方が多いような気がする。 そして、その空間の真ん中には、大きなベージュ色のテーブルが数台並んでいた。 ぼんやりと辺りを見つめていると、不意に、ガタッ、と背後から音がする。 そしてそれと同時に扉が開いた。 ドアの向こうから出てきたのは、自分より少し若そうな男と、白髪の目立つ中年の男性。 それぞれが、白衣に身を包んでいる。 (;^ω^)「…ごっ!ごめんなさいですお!! …あの、その、これには深いわけがあって…」 僕は、慌ててその二人に対して謝る。どう見ても自分は不審者です。ありがとうございました。 72 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:26:51.70 ID:YgJwQrnO0 しかし、必死に謝る僕をよそに、 二人はドアから一番近い席に向かい合って座り何事も無いかのように語りだす。 へ?と僕は狐につままれたかのような感覚に陥った。 とりあえず恐る恐る二人に近づくも、なお彼らは気にするそぶりすら見せない。 仕方無く、僕は後ろにちょうど置いてあった椅子に座ろうとした。 だが、僕のお尻は空を切り、そのまま地面とぶつかってしまった。 突然の出来事に驚き、椅子に手を掛けようとしたが、それも虚しく空をつかむ。 この状況を飲みこんだ僕は、ようやく悟った。彼らには僕の姿は見えていない。 というより、僕の方が恐らく霊体のようなものになってしまったのだろう。 証拠に他のものに触ろうとしたが、どれも空を切ってしまう。 そうこうしているうちに突然、再び扉が開く。その先には、黒髪の長い女性が居た。 彼女の顔はどのパーツも整っており美しく、気品漂う雰囲気を醸しだしていた。 年齢はこれまた、僕より少し若い感じだろうか? 74 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:27:40.17 ID:YgJwQrnO0 川 ゚ -゚)「失礼いたします」 そう一言発すると彼女は、二人のほうへと近づいていく。 ミ,,゚Д゚彡「彼女はこの研究室に新しく入ってもらうことになった。須名くんだ で、こちらの彼は、この研究室のメンバーの佐藤君だ」 ( )「……佐藤です。宜しくお願いします」 川 ゚ -゚)「………こちらこそ。須名です。宜しく」 二人とも、言少なめに自己紹介を終えると、それ以上言葉を発することは無かった。 ミ,,゚Д゚彡「ん?……もういいのか?だったら、実験の話に移ろうか」 そういうと、白髪の男はなにやら二人に話し始めた。 「塩基」がどうとか「配列」がどうとかなにやら専門用語が飛び交う。 僕にはとても難しい話だった。 75 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:28:34.20 ID:YgJwQrnO0 突然、音も無く、周りの景色がノイズのようなものに包まれる。 そして気がつくと、白髪の男は居なくなっていた。 しかも、窓の外の風景が先程まで明るかったのに、いつの間にか暗闇に染まっていた。 その窓の手前では二つの人影がある。 そこには先ほどの佐藤という男性と須名という女性が立っていた。 各々の手には試験管となにやら実験器具のようなものが握られている。 暫くの間二人は無言であった。 ( )「……終ったよ。そっちはどうだい?」 川 ゚ -゚)「ああ、私の方ももう終わりだ。後は反応の結果を観察するだけだ」 突然、男性の方から口火を切った。それに女性の方が答える。 76 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:29:07.12 ID:YgJwQrnO0 ( )「全くめんどくさい実験だよ。 教授もえらい無理難題を押し付けてくれたものだね」 川 ゚ -゚)「いつものことだ。気にする程ではない」 ( )「…まったく、だからウチの研究室は人が居ないんだ」 川 ゚ -゚)「そうだな。しかし、君は好んでここに入ったのだろう」 ( )「まあ…そうなんだけどね」 川 ゚ -゚)「なら、自業自得だ」 ( )「…君はいつも一言多いよね」 川 ゚ -゚)「むぅ…そういう性格なんだから仕方ない」 ( )「思ったことを口から考えなしに出す性格、直したほうがいいよね」 川 ゚ -゚)「…君も一言多いぞ。私と同じじゃないか」 ( )「フフッ、違いないね。でも僕はもう少しオブラートに包むさ」 77 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:29:40.57 ID:YgJwQrnO0 テンションは低めで、二人とも冷静に語り合っているが、 その表情には自然と笑みをこぼれていた。 そして再び、周りの風景は切り替わる。 そこは、大半の闇と少しの光、そして車のエンジン音が占める世界。 周りは、家やアパート、マンションが立ち並んでいた。 そして僕が歩くその前で、先ほどの二人は歩いている。 川 ゚ -゚)「静かなものだな…」 ( )「そうだね…」 ( )「…僕はここ毎日夜遅く君と歩いているけど、どうなんだい?」 川 ゚ -゚)「…何がだ?」 ( )「君みたいな年頃の女性っていうのは、 もっと華やかな生活を送ってるんじゃないかと思ってね」 川 ゚ -゚)「…華やかさ?私は別にそんなもの求めていないが」 78 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:30:40.27 ID:YgJwQrnO0 そう言うとおり、彼女には気品こそあれど、華美さといった類のものは見当たらなかった。 化粧っ気もなく、服装もジーンズに、白のハイネックのセーター、 その上に黒いジャケットを羽織っているだけだった。 しかし、その素朴さが彼女の魅力を引き出しているのかもしれない。 ( )「食堂では聞いたんだけどさ、文学部らしい女子グループは、 今夜は、カラオケとか医学生と合コンとか言ってたんだよね。 君には浮いた話の一つもないのかい?」 川 ゚ -゚)「ふむ、君は私にカラオケが歌えると思うか?歌えても演歌くらいのものだ。 それに合コンなどというチャラチャラした雰囲気は嫌いだ」 川 ゚ -゚)「そういう君はどうなんだ?友人と遊びに行ったりしないのか?」 ( )「…いま酷い事言ったよね。 僕には友人らしい友人が居ない事を知ってての言葉かい?」 川 ゚ -゚)「そうだと思って言ったんだが、何か?」 ( )「…酷いよね」 79 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:31:12.80 ID:YgJwQrnO0 川 ゚ -゚)「君も同じだ。知ってて聞いたのだろう?」 ( )「ばれてしまっては仕方ないね」 川 ゚ -゚)「ならば、言わなくても分かっているはずだ」 ( )「そうだね。つくづく思うんだが、僕と君とは思考が似ている気がするよ」 川 ゚ -゚)「まっぴら御免だ」 ( )「同感だね。僕もだよ」 そのように、悪口とも冗談ともいえない会話を聞いているうちに、彼らは一軒の家の前に差し掛かる。 80 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:31:40.54 ID:YgJwQrnO0 ( )「クリスマスツリーだよね」 川 ゚ -゚)「クリスマスツリーだな」 二人の目の前には彼らの背丈ほども無いくらい小さいもみの木が置いてあった。 その枝々には色とりどりの電球が巻き付けられている。 川 ゚ -゚)「電気代がかかりそうだな。このくらいの規模だと、 消費電力が一秒当たり…」 ( )「…君にはロマンチズムというものが、無いのかい?」 川 ゚ -゚)「何だ、それは?美味しいのか?」 ( )「…君の冗談はつまらないよ」 川 ゚ -゚)「ならば、振るのはやめて欲しい」 81 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:32:21.19 ID:YgJwQrnO0 ( )「…ちなみに、君はイヴをどう過ごすんだい?」 川 ゚ -゚)「イヴ?…ああ、24日のことか。 そういえば、家で飼っているマリモの形が歪んできたな。 多分マリモを丸める作業をしていると思う」 ( )「…イヴに一人でマリモを丸める女子大生なんて見た事ないよ…。 僕はそろそろ君のジョークに突っ込みきれなくなるよ」 川;゚ -゚)「いや、本気だが」 (; )「…僕の思考では君の行動は測りきれないようだね」 川 ゚ -゚)「それも、君は充分承知しているはずだが?」 82 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:33:06.34 ID:YgJwQrnO0 ( )「…うん。まあそうなんだけどね。 …ところで、君が良ければ24日にどこかに 行 か な い か?」 Σ川// -/)「…えっ!?」 終始冷静に言葉を返していた彼女が、急に動揺しているかのように見えた。 心なしかその表情は、赤くなっているようにも見れる。 (; )「いや、うん。丁度ね、 教授から貰った『人体の不思議展』のチケットがあってね。 その期限が丁度24日までなんだ。まあ…その…君の嗜好に合うかと思ってね。 僕は友達なんていないし、一緒にどうか…と思ったんだ」 そう投げかけるの彼の表情も、クリスマスツリーの電飾のせいか、赤く染まっているように見える。 83 名前:VIP皇帝[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:33:38.67 ID:YgJwQrnO0 川// -/)「むぅ…しかし、残念ながらそれは先週、観に行ってしまってな…」 (; )「………」 川// -/)「だがな…田代城なら…丁度行きたいと思っていたところだ… そこならば、一緒に行ってやらんこともない…」 (; )「…本当に、君の嗜好は僕の斜め上を行く思考だよね」 川// -/)「その駄洒落も面白くないぞ…」 (; )「…偶々なんだけどなあ…」 84 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:34:16.10 ID:YgJwQrnO0 こうして、また僕の視界はノイズに包まれていく。そして、気づけば、そこは見慣れない風景だった。 アパート…だろうか?六畳間足らずの空間。 その狭い空間には所狭しと物で溢れていた。しかし、それは上手く整頓されている。 どうやら、その大半が書物で占められているようで、それが色々とジャンル分けされている。 『有機化学理論』『分子構造と反応』とか書かれた小難しいタイトルから、 『田代藩の歴史』『日本人とその文化』とかいう歴史物、 はたまた『デカルト』とか『虚無主義』とか哲学に触れるものなど、多数の書物で溢れていた。 そして、本棚以外のスペースには、水槽が一つ。そこには不揃いの形のマリモが浮かんでいた。 87 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:34:41.97 ID:YgJwQrnO0 川 ゚ -゚)「まあ…何だ。何か飲むか?」 (; )「いや…そもそもキッチンにコップを見かけなかったんだけど…」 川 ゚ -゚)「…心配ない。研究室から拝借したビーカーが何個かある」 (; )「結 構 で す」 川 ゚ -゚)「大丈夫だ。蒸留水で洗浄は済ませてある」 (; )「そういう問題じゃないんだけど…」 川 ゚ -゚)「私はいつも使っているが平気だぞ」 (; )「…いや、どっちかというと、メンタル面な問題だよね」 川 ゚ -゚)「むぅ…仕方ないな」 88 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:35:09.44 ID:YgJwQrnO0 その後彼らは、様々な話題で盛り上がる。 とは、いったものもその内容は、本棚に並ぶタイトルと同様難解なものであった。 その会話は充分に聞き取れはしたものの、まるで異国の言葉のようにさっぱりである。 そして、あらから話し終えた後、彼はこう切り出す。 ( )「…今日の議論も、君の思考の不可解さをさらに色濃くしたよ」 川 ゚ -゚)「いや、独創的と言ってもらいたい」 ( )「…むしろ、脳のネジが一本外れているんじゃないかって思うよ」 川 ゚ -゚)「人間の構成は蛋白質や水分や(ryで構成されている。 ネジの大半を構成する鉄は明らかに含まれていないが?」 (; )「いや、比喩的な表現だったんだけどね…」 川 ゚ -゚)「それは、わかっている」 (; )「まったく、君ってやつは…」 川 ゚ -゚)「まあ、いつものことだ。気にするな」 89 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:35:47.64 ID:YgJwQrnO0 川 ゚ -゚)「…しかし、君と居ると話題には困らないな」 (; )「そりゃ、そうさ。 顔を合わせていきなり節足動物の構造について熱く語る人に、 トークを合わせられる人なんていないよ」 川 ゚ -゚)「…でもな…君なら理解してくれる」 川 ゚ -゚)「…同世代の学生も、教諭も、院生も、教授も、 …いや、両親ですら、私の話には真剣に耳を貸そうとはしなかった」 川 ゚ -゚)「しかし……」 そう言うと、彼女は数秒ほどの間を開ける。 饒舌な彼女には珍しい間。そして、それを挟んで彼女はそう続けた。 90 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:36:49.60 ID:YgJwQrnO0 川// -/)「君だけは、私の考えを馬鹿にせず最後まで聞いて、感想を語ってくれる。 しかも、お節介にもその中に反論を含ませて、だ」 川// -/)「しかも、君は私の思考の裏を読み、退屈しないように言葉を投げかけてくれる」 川// -/)「そんな、人間は私が生まれてから一人も居なかった。そう、一人も」 川// -/)「しかし、そんな変人はある日、私の前に現れてくれた」 川// -/)「確率で言っても、分母の数字が天文学的数字になる、そんな奇跡に近い出会い。それが…」 川// -/)「…君だ」 そうして、彼女は再び口を閉じた。 91 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:38:11.26 ID:YgJwQrnO0 そして、その言葉の対象である彼は、顎を左手に乗せ、必死に何かを考えるしぐさをする。 しばらくしてから、何か結論が出たのか、こう切り出した。 ( )「…こういう状況で…こういう返答はベストじゃないかもしれない」 ( )「…まず、君が抱えた思い。それは、僕にとっても同様だ」 ( )「僕だって、今までの平凡な生活に退屈していた。 いや、それを変える実行力さえ無かったんだろうね」 ( )「それを、変えてくれたのは君だった。 この退屈な世界を君は変えてしまった」 ( )「始めは、あくまで僕の知的好奇心を満たす…という意味でだった」 ( )「でも、次第に君の内面的性質に触れていく事でそれは変わっていった」 ( )「その変化は…何ていうか…言葉では凄く表しにくいんだけど…」 92 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:38:52.73 ID:YgJwQrnO0 (/////)「その…まあ…つまり、僕は君の事が…」 それに続く二文字の言葉を言おうとしたが、それは不意に遮られた。 川// -/)「待ってくれ!!…その先は…言わないで欲しい。 …私がそんな感情的な言葉が好きじゃないのは…知っているだろう…?」 (/////)「…まあ、分かっていて、僕も言おうとしたんだけどね」 川// -/)「…君はこんなときでも意地悪だ…」 川// -/)「でも、私には君の言いたい事が分かるんだ… …君の思考は理解しているつもりだから…」 川// -/)「だから―――」 93 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:39:15.38 ID:YgJwQrnO0 そう言うや否や、彼女は突然動き出す。 そして、すばやく彼の顔に彼女の顔を近付けて、そして――― ―――そっと口付けをした。 そして、すぐさま恥ずかしそうに、彼に遠ざかった。その彼女の表情は俯いていてよく分からない。 94 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:39:54.38 ID:YgJwQrnO0 (/////)「…ま、まったく…相変わらず君の行動は読めないよ 脳からドーパミンが分泌されたじゃないか…」 川// -/)「わっ…私だって同じだ。それは君も分かっているはずだ。 …そして、今私が望んでいることも…」 そう言うと、二人は無言で、体を重ねあう。 そして、その横では、呑気にマリモが浮かんでいた。 95 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:40:19.83 ID:YgJwQrnO0 一方僕は ( ^ω^)「濡れ場Ktkrwwwwwww」 と、喜び、ズボンのファスナーを開けようとした、その時。 あら残念。ノイズが周りを包んでしまった。 97 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:40:58.03 ID:YgJwQrnO0 場面は変わり辺りは、広い空間に変貌を遂げた。 広い空間にはテーブルが点在していた。 そのテーブルには一枚一枚、真っ白で大きな布が敷かれている。 そして、その一台一台の前では、先程カウンターで語っていた青年と似たような格好の男が立っている。 皿を両手に抱えるものもいれば、テーブルの周りに座る男女の言う事をメモしている者もいた。 その天井にはキラキラと輝く光の粒々。いわゆるシャンデリアと呼ばれているものである。 その壁には色鮮やかな絵画。何処かの高名な者が書いたのか、 その下にはタイトルと画家の名前がアルファベットで書かれていた。 そして、その中の一つのテーブルで向かい合って座っている、見覚えのある男女が喋っていた。 彼らの左薬指にはキラリと光るものが見える。 98 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:41:32.67 ID:YgJwQrnO0 川;゚ -゚)「こういう場所は好かないな。もっと他に居酒屋とかあっただろう?」 (; )「まあ、そう言わないで欲しい。せっかくの記念日なんだ」 川 ゚ -゚)「…料理は美味いな。この調味料はクエン酸が多く含まれている」 (; )「…相変わらずだね」 川 ゚ -゚)「その私と籍を入れたのは誰だ?」 (; )「まあ、僕なんだけどね。でも、籍を入れるのには最初反対してたじゃないか フルネームが間延びしたような感じになるとか言って」 川 ゚ -゚)「『砂糖喰う』に聞こえるからな。誰だって嫌だろう」 (; )「…でも、僕が君の籍に入るって言っても反対してたよね? 別籍のまま籍を入れないっていう方法も嫌がったし。 まあ、今思えば理不尽な話だったけどね」 川// -/)「べっ、別に過ぎたことはいいではないか!!」 99 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:42:33.63 ID:YgJwQrnO0 ( )「まあ、結果的に落ち着いたからいいんだけど。 ところで、忙しい時に呼び出してすまなかったね。 仕事、まだ残っているんだろう?」 川 ゚ -゚)「うむ。後でタクシーで職場へとんぼ帰りだ」 ( )「無理なら日をずらしたのに…」 川// -/)「今日は…特別な日だからな。どうしても今日が良かったんだ」 ( )「…そうか」 そのやり取りを見ていると、相変わらず二人は幸せそうにやっているようだった。 環境こそ変わっているようだったが、その様子は先程からあまり変化はなかった。 100 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:43:39.85 ID:YgJwQrnO0 すると、不意に、また目の前が不鮮明になる。 先程の喧騒から一変、辺りは静かになった。 辺りは、二つ前に見た部屋と何処かしら雰囲気は似ている。 その部屋には本棚が並び、その中には、またも訳のわからない本が整列していた。 変わった事といえば、本棚と、本の数が増えていて、部屋も若干広くなっていた位である。 その中心には先程の彼がいた。しかし彼女の姿は見当たらない。なにやら彼は電話で話しているようだ。 しかし、その様子はいつもの冷静さとは全く逆のものであった。 (; )「ッ!!クーが!?…今何処に!? …荒巻病院ですね!!分かりました。今向かいます!!」 そう言うや否や、彼は上着を急いで羽織り、そして駆け出していく。 あっという間の出来事に、僕はあっけにとられていた。気がつけば僕一人。 その後ろではゆらゆらとマリモが浮かんでいた。 101 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:44:29.41 ID:YgJwQrnO0 そして次に気づいた時にはまた、違うところに居た。 壁は白く、床は薄緑色のフローリング。そして天井には、チカチカと点滅する蛍光灯。 そして空間のその中心には、その輝きを剥き出しにした、質素なパイプベットがあった。 部屋の中に存在する人影は僕を除いて4つ。 まず一つは、白い衣を身に纏った初老の男性。 そしてその横には同じく白を纏った女性。 次に、僕が先程見つめていた男性。何やら、ベットにすがり付いているようだ。 そして最後に、さきほどその彼と食事をしていた女性がベッドに横たわっていた。 102 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:45:08.72 ID:YgJwQrnO0 / ,' 3 「我々としては、最善を尽くしました。 しかし、救急隊が駆けつけた時には車が大破して、既に手遅れで…」 / ,' 3 「辛うじて意識があるのが幸いといいますか、奇跡です。 佐藤さん。最後まで見守ってあげて下さい」 初老の男性は表情を変えずに、静かに、こう言った。 しかし、彼の表情は何かを押さえているように感じた。 その隣では、辛そうに白衣の女性が顔をそむけている。 そして、その後には悲痛な、叫び声とも、泣き声とも付かない音がその部屋でこだまするだけだった。 103 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:45:49.93 ID:YgJwQrnO0 (; )「おいっ!!しっかりするんだ!!…おいっ!!…おいっ!!!!」 (; )「さっきまで、あんなに元気に…僕に皮肉ってたじゃあないか!!!!」 (; )「おいっ!!嘘だろ!!…なあっ!!」 彼の表情は、ひどく歪んでいた。涙や鼻水。そして顔中に浮かんだ皺がすべてをくしゃくしゃにする。 川 - )「騒ぐな…しっかり…聞こえている」 元々、その声は大きくは無かったが、今の彼女から滑り落ちる言葉は、一層、弱々しく感じられる。 104 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:46:33.43 ID:YgJwQrnO0 川;´-`)「…ほら、泣くんじゃない。…いつもの冷静な君はどこへ行った」 (; )「ッ!!…クー!?ク~~~ッ!!」 川;´-`)「…ようやく…名前で…呼んでくれたな。 君は…いつまで経っても…恥ずかしがって…呼んでくれなかった」 それでも、彼は叫び続ける。しかし彼女は続けた。 川;´-`)「…もういいんだ。…彼らは…頑張って私を救おうとした。 ただ…偶々…私は数千分の一の確立に…引っかかったようだ…」 川;´-`)「…心配するな。私はただの…ただの蛋白質で構成された物質に… …も、戻る…だけ…ヴッ!!」 105 名前:VIP皇帝[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:47:02.67 ID:YgJwQrnO0 その言葉の後に、彼女は、これまでに見たことが無いような量の、赤色を吐き出す。 『…心拍数低下!!…駄目です戻りません!!!』 それとともに、また別の悲痛な叫びが響く。 106 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:47:36.75 ID:YgJwQrnO0 川;´-`)「…ハァ…ハァ…だから…君は…気にする必要…がない。 君自身には何の影響は無いんだから…」 (; )「もういい!!喋るんじゃない!!」 川;´-`)「…ハァ…ハァ…思えば君と出会ってからが…私の人生の… 始まりだったんだ…」 川;´-`)「…君と一緒にいる時は…こういう抽象的な言葉は…好きではないが… 『幸せ』だったんだろうな…」 川;´-`)「そして…最後に…君に言いたい事があるんだ…思えば…こんなこと… 言った事無かったな……こういう時は…便利な…言葉だ…」 (; )「もういいんだ!!クー!!ク~~~ッ!!!」 川;´-`)「…いままで…そばに居て…くれて……… ありがとう…」 川;´-`)「……そして 107 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:48:10.15 ID:YgJwQrnO0 ……君が……『好き』だよ」 (; )「ク~~~~~~~~~ッ!!! うあああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああ!!」 108 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:48:50.98 ID:YgJwQrnO0 そして最後に残ったのは、彼の、悲痛な、慟哭だけであった。 僕は、力なく崩れる、彼の背中を直視することはできなかった。 (´・ω・`)「…これで、彼の物語は終わりだ。 …湿っぽい話をしてしまって、すまなかった」 (;^ω^)「………」 そして気が付けば、僕はまた、酒場のカウンターに座っていた。 109 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:49:31.13 ID:YgJwQrnO0 ( ^ω^)「…因みに、その彼は…どうなったんですかお?」 (´・ω・`)「…聞きたいかい?」 僕は、返事に困ってしまったが、しばらくして、ゆっくりと、首を縦に振った。 (´・ω・`)「…彼は、彼女の死を忘れようとして、家に篭って本を読んだんだ。 悲しみを忘れるためにはどうすればいいかってね」 (´・ω・`)「…しかし、どの科学者の本にも、どの心理学者の本にも、 その方法は記されていなかった」 (´・ω・`)「そして、彼は会社を辞め、自分の家から出ることはなかったんだ。 ついには、精神は異常をきたし、彼は廃人同然になってしまう」 110 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:50:29.01 ID:YgJwQrnO0 ( ^ω^)「…で…彼は…どうしたんですか?」 僕は、恐る恐る聞いた。目の前の彼は無言で、食器を布で磨いているようだった。 その左手の薬指にはキラリ、と光るものが見えたような気がした。 (´・ω・`)「……さあ?」 (;^ω^)「さあって?知ってるんじゃないんですか?」 (´・ω・`)「いや、まだ、分からないよ」 また、本当の意味での答えは返ってこなかった。でも、なぜかそれが仕方ないように思えた。 111 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:51:14.17 ID:YgJwQrnO0 (;^ω^)「…じゃあ、どうして僕にこんな話を?」 (´・ω・`)「…何でかな?偶々来たから。といえばそうなんだけど、 なぜか君に話しておかなきゃいけないと思ってね」 (;^ω^)「…なんとなく…ですかお?」 (´・ω・`)「…ああ、『なんとなく』だろうね」 そう言うや否や、再び酒場の中は柱時計の、ボーン、ボーン、という音で満たされる。 (´・ω・`)「おや?もう12時だ。閉店の時間だね」 その音は心なしか歪んだような、まるで音痴なものに聞こえた。 112 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:51:54.35 ID:YgJwQrnO0 (´・ω・`)「……いや、今度は、この店を終えなきゃいけないみたいだ ……やっぱり思っていた通りだね」 その言葉と同時に、再びブーンは前に感じた不穏な空気を感じる。 いきなり柱時計の文字盤が、ぴきっ、と音を立てて崩れる。 時計だけではない。棚に並ぶどの色の瓶も、亀裂を生じ始める。 ふと、後ろを振り返ると、 ガラスのテーブルや、グランドピアノも音を立てて崩れ始めていた。 それ破片は、一つの点を中心に渦巻き始めていた。 113 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:52:31.76 ID:YgJwQrnO0 彼のほうを見てみると彼の姿は、瓶の破片と混ざり合っているように見える。 その表情は何処か寂しそうに微笑んでいるようだった。 そして、それを含む全てのものは、そのまま溶けてしまい、ついには僕の背後の渦へと吸い込まれていった。 最後に、あの青年がこう言った気がした。 114 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/21(木) 21:52:57.43 ID:YgJwQrnO0 「君は僕とは違う。僕と同じ過ちを繰り返さないで欲しい」 そして残ったのは一つの儚い小さな光。それはまた、僕の胸に飛び込んできた。 気がつけば、また、僕は最初の白い部屋に居た。 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