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LOYAL STRAIT FLASH ♪

LOYAL STRAIT FLASH ♪

第十四章

6 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:07:53.54 ID:8GeQtqWk0


     第14章 夕暮れ


(;*゚∀゚)『ヤバイ…こりゃ本格的に遅刻しそうだよ!!』

蝉の鳴き声が少なくなり、そろそろ新米が出回る季節だね…的会話を代わりに耳にする機会が増えた頃。

…わたしは大寝坊していた。

今は朝の商店街を全力疾走中。
何度もスカートの裾が気になってミニスカートで家を出た事を多大に後悔した。
いつもなら愛しのドッ君の自転車後部荷台がわたしの特等席なのだが、今日は久々に自分の部屋に戻ったのが失敗。。

(;*゚∀゚)『…なんで…こんな日に限って…目覚まし止まってるかね!!
ドッ君も…おはようコールとか…してくれてもいいじゃない!!』

世の中の大多数の人間が経験した事があると思うけど、
呪いの言葉を吐きながら全力疾走するのは意外と体力を消費するものなのだ。
だったら黙ってろと言われるかもしれないが

『あんたは口から産まれた子供みたいだよ』

と散々言われ続けてきたわたしが黙ったらそれこそ命に関わる。
それに、これはわたしのポリシーの問題。
表面じゃニコニコしてるクセに影に回ると平気で陰口を叩くタイプってどこにも存在する。
わたしの場合は『ウザイ』とか『黙れ』とかそんな感じ。
そんな低レベルな連中に気を使ったり、仲良くするなんてまっぴらゴメン。
だったらわたしは自分が好きな生き方を選ぶ。

9 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:11:36.04 ID:8GeQtqWk0
 (;*゚∀゚)『それにしても…口から産まれたって…わたしゃどっかの大魔王かいっ!!』

突っ込みを自分に入れつつスタッフルームの裏口を開く。
誰かに聞かれたらワケ分からないんだろうなぁ。

(;*゚∀゚)『セフセフ…ってナニコレ?』

そこにいたのはブーちゃんとツンの二人。
パイプ椅子に腰を下ろしたブーちゃんはスカーフで目隠しされ、
その背後でツンがゆうゆうと着替えている。

(;*゚∀゚)『えと…今北産業』

ξ゚△゚)ξ『着
      替
      中』

(;*゚∀゚)『把握した』

なるほど。
どうやら、着替えを見られたくない乙女心による行動らしい。

(*゚∀゚)『だったら…トイレとかカーテンの陰とかあるじゃないかっ!!』

わたしは誰も掃除しないせいで埃まみれのロッカーにバッグを詰めこみながら言った。

ξ゚△゚)ξ『前から思うんだけどさ。トイレって着替える場所じゃないわよね。
     あのカーテンの奥ってゴキブリとか出そうだしさ』

12 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:18:46.51 ID:8GeQtqWk0
なんて自分勝手な…こりゃお仕置きが必要ね。
 (*゚∀゚)『ブーちゃん、もうツンは着替え終わってるよ!!』

わたしはブーちゃんに歩み寄るとこっそり耳元に囁いた。

( ^ω^)『…なんだおwwwそれならそうと早く言って欲し』

ξ;゚△゚)ξ『え…ちょ…待』

ξ;゚△゚)ξ (^ω^ )『……』

ξ;////)ξ (^ω^* )『……』
 
説明しよう。今ブーちゃんの目の前にいるツンは上下下着のみの姿なのだ!!(ナレーション風)

これでこの子もちょっとは意識を改善…

『ツン…黒い大人下着が全然似合わないおwww』

あ、殴られた。

ξ#゚△゚)ξ『君が! 謝るまで! 殴るのを止めないっ!!』

響きわたる人体から発せられているとは想像もつかない破壊音。

(;*゚∀゚)(…ブーちゃんゴメンね。でも君も乙女心を少し理解しないとねっ!!)

下着姿でブーちゃんにマウントを取り連打を浴びせる妹をよそに、
わたしは着替えを持ってトイレに向かった。


15 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:25:40.68 ID:8GeQtqWk0
ξ#゚△゚)ξ『アリアリアリアリアリアリアリアリアリ…!!』

(#)ω゚)『フギャッ!! オゥッ!! モケケッ!!』

着替えを終えてスタッフルームに戻ったわたしの目に入ったのは
ブーちゃんに馬乗りになり正確にガードをくぐって急所に打撃を加える妹の姿だった。

(*゚∀゚)『…触らぬ神に祟りなしってね』

確かに事の発端はわたしかもしれない。
でも、問題を大きくしたのはブーちゃんだ。
うん、そうだ。
そうに違いない。
暗黒の破壊神を刺激しないようこっそりと荷物を置き、厨房に向かう。

(*゚∀゚)『ドッ君、おはよー!!』

('A`)『おう。遅かったじゃねーか…って内藤はどうした?』

(;*゚∀゚)『…ツンといちゃついてる』


18 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:34:46.60 ID:8GeQtqWk0
…んじゃないかな…
とまで言いたかったんだけど、そこまで言い終える前にドッ君は行動に移っていた。
ボリボリと後頭部を掻きながらスタッフルームに足を向ける。

('A`)『…ったく。しょーがねーな。もうすぐ業者が納品に来るんだぜ。注意してくるわ』

(;*゚∀゚)『あ…ちょ…』



静寂。

扉を開く音。

静寂。

静寂。

     キャーーーーーーーーーーーー!!!!!! 変態!!!!!

悲鳴とも怒号とも判断できる叫び声。

そしてまた静寂。

(*゚∀゚)『さてと…仕事始めようかなぁ』

わたしは厨房に1つしかない窓から空を見上げる。外は良い天気だ。
今日も一日頑張ろう。

…結局3人はオープン時間になるまでやってこなかった。

20 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:38:46.28 ID:8GeQtqWk0
(メ)A`)『…何食っても血の味しか感じねぇ』

(#)ω゚)『…視界が極端に狭い気がするお』

そんな事を言いあっている二人をよそにわたしは青果業者のモナーさんの対応をする。
ん?
原因はお前だろうって?
細かい事気にするんじゃないよっ!!
男だろっ!!そんなんじゃ大物になれないよっ!!
第一わたしは美容と健康の為に自分に都合が悪い事は忘れる事に決めてるんだっ!!

( ´∀`) 『しし唐…3pk。空芯菜…2束。剥き栗…1kg。
      …って何をブツブツ言ってるモナ?』

(*゚∀゚)『なんでもないよっ!!
     それより、このインゲン色悪くないかい!?』

( ´∀`) 『バカ言っちゃいけないモナ。
      天候の影響で見かけはちょっと良くないけど、味は抜群モナ!!』

(*゚∀゚)『…まぁ、そこまで言うなら使ってみるけど』

この1年でわたしは自分なりにモナーさんとの信頼関係を掴んだつもり。
以前は『女だからって舐められてたまるかっ!!』的考えがあったせいで逆に舐められてしまっていた。
今では一人の料理人と青果業者としての付き合い方が出来ていると思う。
わたしはチラと厨房に目を向けた。
そこにいるのは半死半生のドッ君とブーちゃん…。

(;*゚∀゚)(…あの2人だけじゃランチタイム乗り切れるか不安でしょーがないよ…)

23 名前:・・・ ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:43:30.90 ID:8GeQtqWk0
 (=゚ω゚)ノ『なんなんですかー?』

昨夜携帯を忘れたと言ってひょっこり顔を出したのが運の尽き。
わたしはベテランバイトのイヨゥ君の捕獲に成功した。
厨房に挨拶に来た彼をそのまま問答無用でスタッフルームに引きずりこむ。

(=゚ω゚)ノ『ここどこですか、何でボク連れてこられたんですか、何で、かか鍵を閉めるんですか?
     いったい何を、』

(*゚∀゚)『黙りなさい』

【困った時のイヨゥ君】
それが彼の一番の高評価ポイントだ。
急な病気や怪我でシフトに穴が空いてしまった時。
彼に連絡すれば、例え講義中であろうとバックれて働きに来てくれる。

(*゚∀゚)『厨房見たよね!? お姉さんが何を言いたいか分かるんじゃないかなぁ!?』

(=゚ω゚)ノ『きょ、今日だけは勘弁だよぅ!!』

珍しく首を縦に振らないイヨゥ君。

(=゚ω゚)ノ『今日はハルヒの新刊読まなくちゃいけないんだよぅ!! 絶対無理だよぅ!!』

(*゚∀゚)『…どしても?』

(=゚ω゚)ノ『どしても勘弁だよぅ!!』

(*゚∀゚)『…あっ、そう…』


26 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:47:49.68 ID:8GeQtqWk0
わたしは必死に抵抗するイヨゥ君に歩み寄るとその腕に胸を押し付けた。
まだまだ成長を続けているしぃの胸程大きくないし、
マニア好みって点ではツンにも負けるけど総合的なバランスには自信がある。
そのまま小声でイヨゥ君の耳に囁きかける。

(*゚∀゚)『…わかる? わたし仕事中は下着つけてないんだ…』

その一言でイヨゥ君は赤面する。よし、これは落ちた…と思いきや

(=゚ω゚)ノ『駄目だよぅ!! 長門がボクを待ってるんだよぅ!!』

ちっ。なんて無駄な精神力してるのかしらね、この子は!!
色仕掛けが通用しないとなれば…

(*゚∀゚)『それだけじゃないよ。通勤時は一応下着つけてるんだ。ココに来て外す様にしてるの』

(=゚ω゚)ノ『そそそそそそれが何か?』

(*゚∀゚)『先月ね、仕事終わったら無くなってたんだぁ…お気に入りのピンクのレースのヤツ』

(= ω )ノ『………!!!!!』

(*゚∀゚)『…犯人見つけて通報しようと思ってるんだけd』

(= ω )ノ『ツーさん』

(*゚∀゚)『なんだい!?』

(= ω )ノ『…ボクなんだか無性に仕事したい気分だよぅ。だから犯人探しなんかしないほうが良いと思うよぅ』


35 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 00:56:44.63 ID:8GeQtqWk0
最終兵器・脅迫。

これでイヨゥ君は完全に陥落した。
コックコートに着替えトボトボと厨房に向かう後姿はリストラされたサラリーマンのようにもの寂しい。
ちなみに下着を着けてないってのはウソ。
ジョルジュさんがすれ違いざまにホックを外したり、
ワイヤーがこすれて痛くなったりするのでスポーツタイプの物に変えているだけ。

(=゚ω゚)ノ『ところで、せめて働いた分の給料だけは払って欲しいよぅ』

(*゚∀゚)『あのブラ、セットで20,000円したんだ』

(= ω )ノ『…給料なんかいらないよぅ』

それにしても女物の下着なんか持っててどうするんだろうね!?
別に見るだけなら許してあげるけど。
一応、見られる事を意識して買った下着だしさ。

着用する?

頭に被る?

それとももっと別の楽しみ方が…

そんな事を考えてたらなんかムカムカしてきたので、思考を別の事に切り替えることにする。
…3歩歩いたわたしは今までのそんな考えを全部忘れていた。


47 名前:川 ◆uPhA0ssuTA [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:02:24.92 ID:8GeQtqWk0
(;*゚∀゚)『ヤバイ…こりゃ本格的に殺されそうだよ!!』

現在時刻深夜2時。
所謂草木も眠る丑三つ時ちょっと前。
あたしは約16時間ぶりの全力疾走を強いられていた。
理由は今日の仕事終了直後にさかのぼる…。

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ξ゚△゚)ξ『お姉ちゃん、今日あたしの部屋に来て。 大 事 な 話があるの』

不機嫌な表情を隠そうともせず、それだけわたしに告げるとツンはさっさと帰っていった。

(;*゚∀゚)(…ついに来たか)

愛しのダーリンとブーちゃんを命ある肉片に変えた妹。
当然わたしにも何らかの制裁がくだる覚悟はしていた。
瞬時にツンの部屋を思い浮かべる。

合羽橋で購入した鉄鍋。
修学旅行のお土産で買ってきた木刀。
天狗舞大吟醸の一升瓶。

それらは十分にわたしの命を奪い去る凶器となりえる。
いや。彼女の手にかかれば例え一枚のビスケットですら凶器となるのだ。

(;*゚∀゚)(…こりゃ、一分一秒でも早く行かないとね…ツンが大好きなイチゴ大福でも買っていくか…)

わたしはそう考えた。
にも関わらず、今走っているのにはワケがある。


66 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:17:16.06 ID:8GeQtqWk0
 誰がなんと言おうと。
わたしのダーリンは世界一の美男子だ。
そりゃ猫背だし、ひょろひょろだし、無口だし、どことなく草食昆虫を思わせる顔つきだけど、
わたしにとっては最高の人だ。
その彼が

('A`)『いてて…全く今日は散々な目に会ったぜ』

とか言ってれば心配で家まで一緒に行きたくなるってのが女心。
で、家まで一緒に行けば

(*゚∀゚)『ちょっとだけ休んでいこうかな』

ってのが普通の流れだし、
1つの部屋に好きあってる年頃の男女が閉じこもれば当然の如く

('A`)『ぎしぎし』

(*゚∀゚)『あんあん(はぁと』

って事になる。
疲れた体で『Oh Yeah come on』すれば行為終了後、
寝入ってしまうのが人間の本能であって…。
まぁ、兎に角そんな事があってわたしは今本気ダッシュをしなければ自分の命が危うい。
そんな状況に追い込まれてしまったわけだ。

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74 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:21:57.65 ID:8GeQtqWk0
(;*゚∀゚)『ただいま帰りましたよ…と』

わたしは出来るだけ音を立てないようにドアを開き、
爪先立ちで廊下を進む。
今最も好ましい状況はツンが待ち疲れて寝てしまっている事だ。
ツンの性格的に怒りを翌日まで持ち越すことはあまり考えられない。

(*゚∀゚)(唯一神又吉イエス様…どうか哀れな子羊に御加護を…)

口の中で神に祈りつつ階段を登る。
…がいとも簡単にわたしの願いは却下されてしまった。
私の目に入ったのは、開け放たれたツンの部屋の扉。
明かりを消した部屋で、ツンは床に直接座り込みこちらに背を向けてテレビを見ている。
水玉模様のパジャマを着たツンの背中越しに、
お馴染みのテーマソングをBGMに白馬にまたがり砂浜を駆ける将軍様の姿がブラウン管に映っていた。

ξ  )ξ『…お姉ちゃんお帰り。待ってたよ』

テレビ画面から顔を背けずツンが言う。

(*゚∀゚)『…寝てても良かったんだけどね』

言いながらツンのベッドに腰を下ろす。
こうなれば後は流れに身を任せるしかなさそう。

ツンの右手に握られた一升瓶がテレビの明かりで怪しく光っていた。


78 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:26:08.89 ID:8GeQtqWk0
時代劇ってのは普段見る機会が少ないけど、いざ見始めると悪くないもんだ。
シンプルな勤善懲悪ストーリーは展開が丸分かりで心踊る事はないけど、
だからこそ『待ってました!!』的爽快感がある。
結局1つのストーリーがお約束のハッピーエンドを迎えるまでツンは終始無言で、
わたしもテレビに見入ってしまう。
エンディングテーマが流れ出す頃にはわたしも次の話が楽しみにまでなっていたのだが…。

ξ゚‐゚)ξ『で、お姉ちゃん。大事な話があるんだけどさ…』

その言葉で現実に引き戻された。

(;*゚∀゚)『あ、いや、朝の件はちょっとしたジョークって言うか…』

ξ゚‐゚)ξ『ううん。その事じゃないの』

(;*゚∀゚)『違うの?』

じゃあなんだろう。
ツンが大事に飲んでる大吟醸を勝手に飲んで料理酒を代わりに入れておいた事?
出会い系サイトにツンの名前を冗談で登録したらいたずらメールが殺到した事?
VIPの顔晒しスレにツンの顔を晒した事?
それとも、それとも…。

ξ#゚△゚)ξ『…犯人は全部お姉ちゃんだったのね』

(*゚∀゚)『…あはは』

ξ゚△゚)ξ『その話は今度ゆっくり聞くわ。あたしが聞きたいのはね…』

         どうしてお姉ちゃんはドクオが好きなの?

80 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:27:24.16 ID:8GeQtqWk0
(*゚∀゚)『は…?』

わたしは最初、ツンが何を言ってるのか。
全く理解できなかった。
『好き』に理由なんかあるもんか。
例え理由があったとしても所詮それは後付け設定。
それを全て否定されようとも変わらないからこそ『好き』と言う感情は大切なんだと思う。

ξ゚△゚)ξ『だってさ、お姉ちゃんって昔っから超ミーハーじゃない?』

確かにそれは否定できない。
わたしの部屋の壁には、韓流スター・ポ=ヨンジュウやブタコム(人気アイドル豚村コムヤ)
のポスターが所狭しと貼り付けてあるのだ。

ξ゚△゚)ξ『それに比べてドクオってば正反対のタイプでしょ?
     どちらかと言えば人間より昆虫とか宇宙人に好かれそうなフェロモン全開じゃない』

その言葉にわたしはカチンとくる。

(#*゚∀゚)『ちょっとお待ち!! そりゃちょっと言い過ぎってもんだ!!
     確かにドッ君は普通にしててもムンクの叫びな顔つきだし、
     服装だってわたしと付き合うまではシュールレアリズム一直線の秋葉系だったし、
     むっつりスケベで、早漏で短小でついでに皮も被ってて、
     幼女をジッと視姦しててもおかしくないタイプさ!!
     でも、厨房に立ってる時のドッ君は…ドッ君は…』

わたしはそこまで一気に口を回転させてゼェゼェと肩で息をする。
ツンが差し出したコーラを一息に飲み干した。

84 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:30:13.96 ID:8GeQtqWk0
 ξ゚‐゚)ξ『お姉ちゃんが何を言いたいか、分かると思う』

そう言ってツンは一呼吸おいた。
言葉を選ぶように口を再度開く。

ξ゚‐゚)ξ『お姉ちゃんは…あたしが好きなタイプ知ってるよね?
     侍…って言うか、古風な人が好き。
     言葉少なめで、意志が固くて、鋭い目をした人。
     …あいつは…そんなタイプじゃない
     でも…でも…』

『あいつ』が誰なのか? それを尋ねるほどわたしもヤボじゃない。
ツンの気持ちはずっと気付いてたさ。
気付かないのは、当の両人だけ。
確かに『あいつ』はいつもヘラヘラしてるし、侍ってタイプじゃないねぇ。

ξ;△;)ξ『でも…なんでだろう…?
     あいつの事を考えると苦しいのよ!!
     あいつがそばにいないと寂しいのよ!!
     あいつじゃないと…ダメなのよ!!』

ツンはそこまで言うと堰を切ったように泣き出した。
きっと自分の感情を整理しきれていないんだろう。
この子はこういう子だ。
太陽の如く暴君でありながら、夕暮れのようなセンチメンタルさを兼ね揃えている。
わたしはいつかのお返しとばかりに妹を抱きしめた。

(*゚∀゚)『いいかい? ツン、よく聞くんだよ?』


85 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:32:25.06 ID:8GeQtqWk0
(*゚∀゚)『恋ってのはね。think. don`t feel さ!!』

ξ;△;)ξ『え…? 何それ?』

(*゚∀゚)『知らないのかい!? ブルース・リーさ!!
     感じろ。考えるな…本当の恋ってそんなもんだよ!!』

ツンはそれを聞いて暫く呆然としていたが、やがて破顔したかのように笑い出した。

ξ゚△゚)ξ『ば、バカね!! これだからゆとりは嫌なのよ!!
     それを言うならfeel. don`t think でしょ!!
     お姉ちゃんが言ってるのは【考えろ。感じるな】じゃないの!!』

(*゚∀゚)『…細かい事気にするんじゃないよ』

ひとしきり笑い終えたツンは思いっきり大きな深呼吸をして口を開いた。

ξ゚△゚)ξ『…そうね、ウジウジ悩んでるなんてあたしらしくなかったわ。
     感じるままに行動する。それでいいのよね、お姉ちゃん』

そう。それでこそわたしの妹。
つか、わたしにマジメな話振らないで。マジメな回答が出ると思う方がおかしい。

ξ゚△゚)ξ『…ところで、朝の件も含めて色々話を聞きたいんだけど』

(*゚∀゚)(あちゃ~、覚えてたか…)

せっかく綺麗にまとまったと思ったんだけどなぁ。
わたしは必死に脳みそをフル回転させ釈明の言葉を作りあげる。
2人きりの家族会議は結局朝の太陽が顔を出すまで続いた。

89 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:34:19.45 ID:8GeQtqWk0
翌日。
仕事終わりのバースペースでは、今日もブーちゃんとクーさんが
見る人によっては恋人とも思われかねない世界を作り上げていた。

( ^ω^)『で、スクール水着のクーさんが納豆に飛び込んだ所で目が覚めたんだおwww』

川 ゚ -゚)『そうか。わたしの夢を見てくれるなんて…愛だな』

それをわたしとドッ君は冷ややかに見つめる。
人生には何度かモテ期があるって言うけど…。
ブーちゃん、君このままだと数少ないモテ期を無駄にしちゃうかもよ。

('A`)『ま、異性に免疫がない童貞なんかこんなもんだろ』

ドッ君が空っぽのグラスをいじりながら言う。
それには同意せざるを得ないけど…。

と、そこに本日の主役が登場した。
見つめあう2人など視界に入っていないかのようにゆっくりとストールに腰を下ろす。

ξ゚△゚)ξ『随分と楽しそうね。クーさん、あたしにも一杯くれないかしら?』



93 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:37:26.65 ID:8GeQtqWk0
川 ゚ -゚)『む…せっかく盛り上がっていると言うのに。
     では、また【ストロベリー・ボール】でも飲むか?』

【貧乳】を意味するカクテルを勧めるクーさん。
うわぁ。いきなりケンカ売る気満々だわ…。

ξ゚△゚)ξ『うん。お願いするわ。たまにはクーさんとも乾杯したいし。
     クーさんには【 オ ー ル ド キャッスル】とか、 
     【オ ー ル ド ファッションド】なんか似合いそうよね』

川#゚ -゚)『…やけにオールドを強調して聞こえたのは気のせいか?』

ξ゚△゚)ξ『…もう後がないって意味の【x.y.z】なんかもいいんじゃないかしら?』

川#゚ -゚) ビキビキ

睨みあう2人と、それを呆然と眺めるブーちゃん。
見てる分には十分に楽しめる光景だ。

川#゚ -゚)『…それはわたしにケンカを売っているのかな?』

ツンは『やれやれ』といった感じに肩をすくめ答える。

ξ゚△゚)ξ『あら? そう聞こえちゃったかしら? でも誤解だわ』

一拍はさんで続ける。



ξ゚△゚)ξ『…こないだの宣戦布告の返答ってトコかしら』

94 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/25(木) 01:38:27.91 ID:8GeQtqWk0
その言葉を聞いたクーさんはしばらく絶対零度の瞳でツンを睨みつけていたけど、

川 ゚ -゚)『…ふぅ』

とため息を1つして表情を和らげた。

川 ゚ -゚)『いつかこうなるとは思っていたが…少し遅かったんじゃないか?』

それに合わせてツンもにっこりと笑いかける。

ξ゚△゚)ξ『悪かったわね。これでも急いだつもりなのよ』

( ;^ω^)『おっ、おっ、おっ、2人とも落ち着くお』

軽くスルーされるブーちゃん。
かわいそうだけど、ちょっと黙ってて。

川 ゚ -゚)『そうか…勝負はフェアにいきたいからな。
     宣言しよう。わたしはクリスマスに再度別の言葉で気持ちを伝えるつもりだ』

ξ゚△゚)ξ『クリスマスね。分かったわ。あたしもその日までに今の気持ちを言葉にしてみせるわ』

決戦はクリスマス。
『内藤、帰るわよ』
そう言って腰を上げ、いつもの様に一人歩き出すツン。

ブーちゃんもやっぱりいつものように不思議そうな顔をしながら
我が妹のあとを追った。


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