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LOYAL STRAIT FLASH ♪

LOYAL STRAIT FLASH ♪

十八章四

51 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:44:59.10 ID:tcZ/ocS80


(*゚∀゚)「本当だ……皆殺しってわけじゃ、ないみたい」

从 ゚∀从「むしろクーなんかはもろにドクオを護ったな」

(*゚∀゚)「……何でだろう」

从 ゚∀从「異能者を殺す為だけであれば、護ったりせずにどちらも関係なく殺しにかかってたよな。
      あの四人を護りに来たって事は、“削除人”だ。まずないだろうな」

(*゚∀゚)「うん、そうだよね」

从 ゚∀从「ってー事はつまり……“削除人”は人間を護る為に来たってのか?」

言って、ハインは後ろを振り向く。

その視線の先にいるのは茶色のコートと帽子を被った長身の男。
少し開いた口の端からは、八重歯が覗いていた。

从 ゚∀从「なぁ、フサ?」

ミ,,゚Д゚彡「大方その通りだ」

(;*゚∀゚)「!? い、いつのまに!?」

从 ゚∀从「……いつから?」

ミ,,゚Д゚彡「あの三人姉妹と、ほぼ同時刻」



52 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:47:31.65 ID:tcZ/ocS80

从 ゚∀从「やっぱりか。いつ襲って来るかとわくわくしてたのに」

ミ,,゚Д゚彡「っは。正々堂々でない戦いなど」

从 ゚∀从「へぇー、あんたも中々面白い性格してるじゃん。なぁ、『お兄さん』」

ミ,,゚Д゚彡「……何故知っている?」

从 ゚∀从「あたしは全知全能だ。知らない事なんかあるかよ」

ミ,,゚Д゚彡「……相変わらず、食えない野郎だ」

从 ゚∀从「あたしは野郎じゃねぇ。ハイン様だ。
      さて、フサ。今日は何のご用事で?」

ミ,,゚Д゚彡「“管理人”ハイン、つーを削除しに来た」

从 ゚∀从「へぇ……望んでいた展開だね」

(*゚∀゚)「……戦うの?」

从 ゚∀从「お前は下がってな、つー。
      あんたの中のあいつが出てきたら、あたしは二人を相手にしなきゃいけなくなる」

心底楽しそうな笑顔のまま、ハインはフサを指差す。

その手―――両手は、橙色の異形。


53 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:49:47.14 ID:tcZ/ocS80

从 ゚∀从「あんたなんざ、あたし一人で十分だ。かかってこいよ、ブラコン獣人が」

ミ,,゚Д゚彡「一人で十分? 舐められた物だ」

コートを脱ぎ捨て、帽子も捨てる。
黒のズボンとシャツだけの動きやすい格好になって、彼は首を鳴らした。

ミ,,゚Д゚彡「……試させてもらおうか」

言葉と同時、フサの“力”が解放された。

両腕が硬く太い茶色の毛で覆われ、魔獣のような異形へと変わる。
それに伴って、犬歯が少しだけ伸びて鋭くなり、眼が赤色を帯びた。

从 ゚∀从「お前もまた便利で面白い“力”を持ってるんだよな。獣人化、ねぇ」

ミ,,゚Д゚彡「御託は良い。さっさと始めるぞ」

从 ゚∀从「ははっ! 言われなくとも!」

互いに走り出す。
片方は殺意を抱いて。もう片方は笑顔を浮かべて。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


54 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:52:16.32 ID:tcZ/ocS80


( ´_ゝ`)「“削除人”のお出ましか」

暴風を纏って撃ち放たれた羽を避けつつ、兄者は呟いた。
その表情は余裕。二人の仲間を見やるほどだ。

( ´_ゝ`)「どうやら弟者とミンナの方にも“削除人”が現われているようだな」

ξ゚△゚)ξ「そんな事言ってる暇ないんじゃないの?」

大きく翼をはためかせ、豪速で羽根を撃ち放つ。

( ´_ゝ`)「おっと、危ない危ない」

横薙ぎに足を振るい、羽根を破砕。
そのまま軽い足取りでバックステップ。

そこで、兄者は誰かにぶつかった。

( ゚д゚ )「む?」

(´<_` )「おっと」




55 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:54:24.27 ID:tcZ/ocS80

( ´_ゝ`)「……弟者に、ミンナか。二人とも、今の状況を教えてくれ」

(´<_` )「捕獲しようとした所で、“削除人”しぃに止められた」

( ゚д゚ )「同じく。もう少し、という所で“削除人”クーに止められた」

( ´_ゝ`)「把握。という事は―――」

兄者、弟者、ミンナが一斉に前を向く。
その先には―――


川 ゚ -゚)「中々暴れてくれたようじゃないか」

鋭い輝きを放つ刀を手に、冷たく言う“削除人”リーダー、クー。

(#゚ー゚)「あなた達みたいな異能者のせいで、私達は……!」

異形の左腕を黄金色に輝かせつつ、歯を剥き出しにして怒りを表す”削除人”しぃ。

ξ゚-゚)ξ「……やっぱり、異能者はみんな“削除”すべきなんだね」

草色の翼をはためかせ、苦痛の上に無理に作った無表情で呟く“削除人”ツン。



56 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:56:24.69 ID:tcZ/ocS80

“削除人”の三人は、それぞれの標的に少しずつ歩み寄って行く。

クーはミンナに。
しぃは弟者に。
ツンは兄者に。

それぞれ、己の持つ“力”と殺意を向けて。

(´<_` )「どうする、兄者」

( ゚д゚ )「この場で戦闘するか?」

( ´_ゝ`)「……三対三、そしてなおかつこの状況でこの相手。やれない事もない、が……。
      あの四人の少年達がいつ戦線復帰するかも分からないしな」

( ゚д゚ )「つまり?」

( ´_ゝ`)「今日は、退こうか。結果的に言えば、大量殺戮の方は遂行出来たわけだからな」

(´<_` )「直接的に手を加えてない死者も数えれば、なるほど。百五十前後の人間を殺せたわけだな」




57 : とき(樺太):2007/04/13(金) 23:57:17.11 ID:vThqXROfO
欧米人形って何だ?
そういう人形があるのか?


58 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:59:21.41 ID:tcZ/ocS80

川 ゚ -゚)「何を話している?」

( ´_ゝ`)「む、いや、今回の所は退かせてもらおうかt」
川 ゚ -゚)「退かせると思うか?」

( ´_ゝ`)「……む」

川 ゚ -゚)「私達は“削除人”だぞ?」

刀を持ち上げ、三人の“管理人”を差す。
周囲を囲う混沌から生まれた一陣の風が、彼女の蒼混じりの黒髪をなびいた。

川 ゚ -゚)「異能者を殺す為だけに生を燃やす異能者。それが、私達“削除人”だ。
     そんな私達が……お前達を逃がすと思うか?」

( ´_ゝ`)「何か勘違いをしているようだな」

川 ゚ -゚)「何?」


( ´_ゝ`)「逃がしてもらうんじゃない。逃げるんだよ」


思いきり足を横薙ぎに振るう。
その足からは巨大なカマイタチが発生。異速で三人の“削除人”に襲いかかった。


59 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:02:27.31 ID:qoXcMeva0

ξ゚△゚)ξ「二人とも、私にくっついて!!」

叫んで、その翼で己を含む三人を包み込む。
カマイタチはその翼に傷を付ける事もなく、音もなく破砕。

( ´_ゝ`)「ミンナ!」

( ゚д゚ )「任せろ」

手を軽く上げる。
すると、無数のガラス片が宙に浮き上がった。

( ´_ゝ`)「おぉぉおぉっ!!」

両手を振り回す。
すると暴風が吹き荒れ、ミンナが浮き上げたガラス片が踊り始めた。

( ´_ゝ`)「よし。ミンナ、弟者。二人は先に行っていてくれ。後は私だけでどうにかなる」

(´<_` )「把握した」

( ゚д゚ )「良いのか?」

( ´_ゝ`)「私は両足に“力”がある。追いつかれるわけがない」

( ゚д゚ )「なるほど。分かった。私達は先に行っている」

( ´_ゝ`)「そうしてくれ。すぐに追いつく」


60 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:05:20.75 ID:qoXcMeva0

それからまもなく、ミンナと弟者はその場から退場する。
クー達はそれを知りながらも止められない事に悔しがった。

( ´_ゝ`)「さぁ、どうした? “削除人”のみなさん? 逃がさないんじゃなかったのか?」

ξ;゚△゚)ξ「くっ……!」

羽根を飛ばす。
だが、翼をはためかせられない状況で、勢いを付けずに放った羽根はただ暴風に飲み込まれるのみ。

彼女は自分達を護っている翼の中で、二人の姉に尋ねた。

ξ゚△゚)ξ「……姉さん、どうする?」

(*゚ー゚)「残念ながら、私の“力”はここじゃあ役に立たないね……」

川 ゚ -゚)「ツン。お前は今、誰の“力”を翼に反映させている?」

ξ゚△゚)ξ「あの兄者って奴の“力”だけど……」

川 ゚ -゚)「であれば、お前もその“力”を使え。
     一瞬で良い。あいつの操る風を、お前の操る風で相殺しろ」

ξ゚△゚)ξ「……やってみる」

そこで一つ、深呼吸。


61 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:07:59.16 ID:qoXcMeva0

ξ゚△゚)ξ「姉さん達は伏せてて!」

言って、翼を広げる。
無数のガラス片が彼女の肌に傷を付けるが、ツンは動じない。

( ´_ゝ`)「何を……?」

ξ゚△゚)ξ「はぁっ!!」

翼を、大きくはためかせる。
するとその翼からも暴風が発生した。

(;´_ゝ`)「なっ……!?」

暴風と暴風が真っ向からぶつかって―――

やがて、風が、止んだ。

ξ゚△゚)ξ「姉さんっ!」

川 ゚ -゚)「でかした、ツン」

その声が終わらぬ内に、クーは飛び出していた。
右手を蒼の異形へと変化させて。その右腕に、刀を握り締めて。


62 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:10:13.18 ID:qoXcMeva0

(;´_ゝ`)「――――――ッ!!」

川 ゚ -゚)「ずぁあぁっ!!」

刀を、全力で振り抜く。
だがその刃は、ちょうど兄者と触れた辺りから歪に折れてしまった。

兄者は、刀をその足で防御したのだ。

(;´_ゝ`)「ふぅ、危なかった」

川 ゚ -゚)「息をついてる暇なぞあるのか?」

刀を捨て、右手でラッシュをかける。

だが兄者はクーとまともに相対せずに、大きくバックステップ。

( ´_ゝ`)「ここで意味のない戦闘をする気はないのでね。では、さようならだ」

そう言い終える頃には、更に一歩、大きく後ろに下がっていた。
クーが追いつけないほどに。

(*゚ー゚)「させない」

左腕に光を収束、レーザーとして撃ち放つ。
八本の光線が兄者を撃ち貫かんと飛び行ったが、全て兄者は避けてみせた。


63 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:13:00.73 ID:qoXcMeva0

( ´_ゝ`)「では、またいつか」

言って、兄者は走り出した。
両足が変化している為、その速度は半端じゃなく速い。

兄者の姿は、すぐに見えなくなった。


川 ゚ -゚)「……逃げ足の速い」

(*゚ー゚)「ツン、大丈夫?」

ξメ゚△゚)ξ「大丈夫。気にしないで。それよりも……」

ツンは振り返る。そこには―――

(;゚ω゚)「……見付かったお」

まだ苦しそうに唸るギコに肩を貸して、逃げようとしていたブーン。

(メメ;゚∀`)「マジか……」

まさに満身創痍のジョルジュ。

('A`)「まぁ、仕方のない展開じゃね?」

聴覚は回復したが、未だ額から流れる血で片目が塞がれているドクオ。


64 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:15:25.23 ID:qoXcMeva0

(;゚ω゚)「やっぱり、やるしかないのかお……」

苦々しく、ブーンは呟く。

戦ったって勝てるわけはない。
こちらは全員満身創痍。満足に戦える者なぞいない。

それでも、戦う以外に道は開けない。

ブーンは、その両足に“力”を込めた。

川 ゚ -゚)「……君がブーンか」

( ゚ω゚)「そうだお」

一歩前に出たクーが、ブーンを観察する。
その眼は敵を見る眼ではない。もっと近くにいる者を見る眼だ。

そう―――例えるならば、肉親を見るような。

川 ゚ -゚)「……ふむ。良い眼をしている。汚れていない、だが汚れやすい眼だ」

( ゚ω゚)「?」



65 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:18:37.83 ID:qoXcMeva0

川 ゚ -゚)「私はクーという者だ。君に一つ質問がある」

( ゚ω゚)「……何だお?」

川 ゚ -゚)「君は何故この場に現われた?」

( ゚ω゚)「大量殺戮から人々を護る為だお」

川 ゚ -゚)「何故護ろうと思った?」

( ゚ω゚)「……?」

川 ゚ -゚)「人間は私達を恐れ、憎んでいるのだぞ。殺してしまうほどにな。
      そんな人間達を、何故護ろうとした?」

(;゚ω゚)「そ、それは」

川 ゚ -゚)「答えてくれ」

( ゚ω゚)「……それが、正しい事だからだお」

川 ゚ -゚)「む?」




66 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:21:09.69 ID:qoXcMeva0

( ゚ω゚)「殺されそうな人がいれば助ける、なんてのは人間として当たり前の事だお。
      それが当たり前の事で、正しい事。だから僕はここに来たんだお。難しい理屈じゃないお」

川 ゚ -゚)「殺されるかもしれないのに? 
     己の生活を壊されるかもしれないのに?」

( ゚ω゚)「来なければ、きっと僕は一生後悔していたお。
      そんなの、殺されるよりも御免だお。やらずに後悔するよりも、やってそれからどうするかだお」

川 ゚ -゚)「――――――ッ」

そこで、ブーンは気付いた。
彼女の瞳が、潤んでいる事に。

その眼は哀しそうな―――懐かしそうな、そんな眼。

川 ゚ -゚)「……ファーザー……」

( ゚ω゚)「ファーザー?」

川 ゚ -゚)「……いや、何でもない」

眼をぎゅっと閉じて、頭を軽く振るう。
再び眼が開けば、そこにあるのは潤んでいない普通のダークブルーの瞳。

川 ゚ -゚)「……なるほど、な」




67 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:24:13.59 ID:qoXcMeva0

耳障りな音が響く。
見れば、クーの右手が、人間の手に戻っていた。

川 ゚ -゚)「さて、ここで君に良いニュースを一つ」

( ゚ω゚)「お?」

川 ゚ -゚)「君のその心意気、死にやすい心意気だが……悪くない。
     ……君に免じて、今回だけ、君達を見逃してやろう」

(;゚ω゚)「な、何を……?」

ξ゚△゚)ξ「鈍いわね」

(;゚ω゚)「ツ、ツン?」

ξ゚△゚)ξ「自分を犠牲にしてまで人間を助けようとした、その心意気を賞賛して助けてあげるって言ってんの」

( ^ω^)「……良いのかお?」

ξ゚-゚)ξ「死にたいってんなら殺してあげるけど?」

(;^ω^)「そりゃ御免だお」

言って、ブーンはその場から離れようとする。

だが、ドクオはその場から動こうとしなかった。


68 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:26:23.07 ID:qoXcMeva0

( ^ω^)「……ドクオ?」

('A`)「ちょっと質問良いかい? “削除人”の方々」

川 ゚ -゚)「何だ?」

('A`)「あんた達は何をしにきたんだ?」

川 ゚ -゚)「“管理人”の削除。そして、市民の救助だ」

('A`)「何故人間を助けに来た?」

川 ゚ -゚)「……何故、とは?」

('A`)「あんたらは少なからず人間を憎んでいるはずだ。そんな人間を何故助ける?」

「というよりも」とドクオは続ける。

('A`)「あんた達は何がしたいんだ? 
   異能者のくせに、異能者を根絶やしにしようとしているってどういう事だ?
   まだ“管理人”のように人間をどうにかしようっていうのなら分かるが、あんた達の考えはまったく分からない」

川 ゚ -゚)「…………………」




69 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:29:32.70 ID:qoXcMeva0

('A`)「あの男は『“削除人”は、異能者さえいなければ世界は平和なんだ、という意志の元に行動する』つってたが。
   あんたらの口から聞きたい。何故異能者を殺す? 何故人間の平和を望む?」

見れば、いつのまにかドクオの両目が開いていた。
深すぎる漆黒の瞳が、鋭く“削除人”達を貫いていた。

川 ゚ -゚)「……それしか、方法はなかったんだ」

('A`)「あん?」

川 ゚ -゚)「私達三人は、総じて親がいなくてな……正確には、生まれた直後に捨てられたのだが。
     そんな私達を拾ってくれた人。ファーザーがいたんだ」

('A`)「……父?」

川 ゚ -゚)「そう呼べとされていた。本名は知らない」

('A`)「はぁん。まぁ良いや。で、そのファーザーがどうしたって?」

川 ゚ -゚)「ファーザーは、人間と異能者をどうにか共存させようとしていた。
     『平和に勝る幸福などない』と、な。優しい人間だった」

('A`)「…………………」




70 : パート(東京都):2007/04/14(土) 00:32:34.83 ID:qoXcMeva0

川 ゚ -゚)「ある日、ファーザーは殺された。“管理人”リーダー、モララーにな」

('A`)「その復讐から、ってか?」

川 ゚ -゚)「違う」

('A`)「お?」

川 ゚ -゚)「ファーザーの意志を、私達は継ごうとしたさ。異能者と人間を、どうにか共存させようとした。
     だが……出来ないんだ。異能者の存在がある限り、必ず闘争が生まれ、憎しみが生まれた」

クーの表情は、変わらない。
だが、その内側からは熱い何かが滲み出ていた。

川 ゚ -゚)「異能者がいる限り、『平和』は訪れない。
     ……だから。だから、私達は……」

('A`)「なるほど、な」

川 ゚ -゚)「…………………」

('A`)「今回は『平和』をもたらす為に、人間を助けて、“管理人”を殺しに来たわけだな」

川 ゚ -゚)「……その通りだ」

('A`)「把握した。話させて悪かったな」

そこで軽く頭を下げて、ドクオはブーンを見やる。


73 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:06:51.76 ID:qoXcMeva0

('A`)「さて、じゃあ、行こうか」

( ^ω^)「おっ! そうするお!」

(メメ;゚∀`)「っは……ようやく、身体を休められるのか」

('A`)「お前本当にボロボロだな」

その時、ブーンの肩に支えられていたギコが呻き声をあげた。

(;゚Д゚)「ぐっ……」

(;^ω^)「だ、大丈夫かお、ギコ?」

(;゚Д゚)「大丈夫だ。……お前だって疲れてんだろ。放せ」

( ^ω^)「僕は大丈夫だお」

(;゚Д゚)「良いから」

(;^ω^)「おっ……」

放す。
ギコは頼りなくよろめきながらも、己の足で立ってみせた。




74 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:09:30.67 ID:qoXcMeva0

(;゚Д゚)「……さぁ、帰ろう。いや、違うな。とりあえずは、誰も来ない、安全な所へ」

( ^ω^)「お」

('A`)「問題はこれからだからな」

(メメ;゚∀`)「めんどくせぇなぁ……」

川 ゚ -゚)「ツン、しぃ。私達も帰ろう」

(*゚ー゚)「そうだね」

ξ゚-゚)ξ「じゃあ、二人とも私に掴まって」

翼を広げて、ツンは言う。
クーとしいはすぐにツンの腕に掴まった。

ξ゚△゚)ξ「行くよっ! しっかり掴まってて!」

翼を強くはためかせ、急上昇する。
すぐにその身体は見えなくなった。

四人の前には、舞い落ちてくる柔らかな羽根。




75 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:12:17.04 ID:qoXcMeva0

四人はとりあえず来た方向へと足を進ませる。

だが―――

( ><)「お前達、止まるんです!!」

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

警官らしき二人の人間が、四人に停止を求めた。

(;゚Д゚)「っち……来たか」

('A`)「突破するか? するんだったら手を貸すが」

ベルトに捻じ込んだクロとギンに手を伸ばしつつ言うドクオ。

対する警官は、周りをきょろきょろと見渡す。
彼の周囲は、未だパニック。彼は何かを納得したかのように頷いた。

( ><)「お前達、ちょっとついて来いなんです!!」

(,,゚Д゚)「あぁ? あんた何を言ってる―――」

そこで、警官はいきなり小声になった。
ちょうど四人にしか聞こえないような、そんな声の小ささ。



78 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:16:04.13 ID:qoXcMeva0

( ><)「……もうすぐ、君達を捕まえようと『本隊』が動き出すんです。
      僕は、君達を助けてあげるんです。だから、ついてきてほしいんです」

('A`)「あん?」

(*‘ω‘ *)「君達はこのままじゃすぐに『本隊』に掴まるっぽ。
       掴まりたくないなら、私達について来て欲しいっぽ」

(;^ω^)「ちょ、何を?」

( ><)「説明している時間はないんです。一刻を争うんです。
      助かりたいんですか? 助かりたくないんですか? 助かりたいなら、ついて来て欲しいんです」

そこで、警官は再度声を張り上げる。
まるで周りに聞かせるかのように。

( ><)「さぁ! 無駄な抵抗はやめて、私についてくるんです!!」

その眼は、必死だった。

( ^ω^)「……分かったお、ついて行くお」

(メメ;゚∀`)「ブ、ブーン? 良いのか?」

( ^ω^)「それしか方法はないんだお」




79 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:17:20.30 ID:qoXcMeva0

('A`)「……まぁ確かに、この状況下、俺もそうするのが最善だと思うが」

(,,゚Д゚)「だ、大丈夫なのか?」

('A`)「だったらここで警官を殺して、次々に来る警官も全部殺して逃げるのか?」

(;゚Д゚)「ぐっ……」

( ><)「じゃあ、四人とも、あのパトカーに乗って欲しいんです。
       狭いかもしれないけど、我慢して欲しいんです」

( ^ω^)「把握したお」

それから四人は、掴まった振りをしつつ、パトカーに乗り込む。
心の片隅に疑問を残しながらも、パトカーは進んでいった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




80 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:20:59.02 ID:qoXcMeva0


从 ゚∀从「いぃいぃやっほおおおぉぉぅ!!」

飛び上がり、眼に止まらない速度で、腕を振り下ろす。
対するフサは大きく後ろに跳び下がり、それを回避。

ミ ゚Д゚彡「フゥー……フゥー……」

戦闘開始時よりも更に伸びた犬歯を剥き出しにし、ハインを睨む。

その両足は両腕と同じく、硬い茶色の毛が生えた異形。
眼は更に紅くなり―――『獣』らしくなっていた。

从 ゚∀从「は。流石に両腕両足を解放したらそれなりに面白いな。
      精神的にも、かなり魔獣化してるしな」

ミ ゚Д゚彡「うるさい。削除してやる」

うなり声をあげながら、飛びかかる。その速度は異常。

从 ゚∀从「っらぁ!」

突き出された右腕を、左腕を突き出して真っ向から正対。
今度は左腕が突き出され、それも右腕を突き出して正対。




81 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:23:58.51 ID:qoXcMeva0

从 ゚∀从「力比べと行くかぁっ!!」

笑いつつ、両腕に全力を込める。
対するフサも、同じく。

从#゚∀从「うぉおぉおぉらぁぁあぁっ!!」

ミ#゚Д゚彡「オォオォオォォオォォォオォッ!!」

その力は、まったく同じ。
互いにまったく押せないほどに、同じ。

ミ#゚Д゚彡「ガァアァッ!!」

叫んで、無理矢理距離を取る。

从;゚∀从「ヒュゥ。良いねぇ良いねぇ。……いや、本物だ、これはw」

ミ ゚Д゚彡「まだ殺せないか……」

从 ゚∀从「あたしは超絶天才のハイン様だぞ。てめぇなんぞに負けるか」

ミ ゚Д゚彡「……ならば、更に」

フサはそこで咆哮。
それはまるで、魔獣のように。


82 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:26:50.65 ID:qoXcMeva0

ミ#゚Д゚彡「ガァアアァァアァアアァァッ!!」

異音が響く。
フサの更なる解放が、始まった。

両腕の変化が肩まで伸び、両足の変化は付け根まで伸び。
毛は更に硬く太くなり、その量と茶色さを増す。
犬歯は更に伸び、鋭く。眼も鋭く、紅く。

从 ゚∀从「……っは。本気かよ」

「やべぇかもな」と言いそうになって、無理矢理に笑みで消した。

ミ#゚Д゚彡「グルルルルル……!!」

変化の音が止み、彼は唸る。

そして、ハインに飛びかかろうと足に力をこめて―――

「フサ! 今日の所は一旦終了だ! 戻るぞ!!」

二人の遥か上空から声が響いた。

見上げれば、そこには天使に掴まる二人の少女。
ツンとしぃ、そしてクーだった。



84 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:29:18.21 ID:qoXcMeva0

ミ#゚Д゚彡「グ、グルル……。ク、クーか。把握した」

再度、異音。
フサの変化が、どんどんと収まっていった。

獣から、人へ。

まもなく、彼の身体は人間のそれになっていた。

从 ゚∀从「は? 何やってんのお前」

ミ,,゚Д゚彡「どうやら、今回はこれまでのようだ」

コートと帽子を回収しつつ、フサは答える。

从 ゚∀从「あん? ここで終わりだと? なめてんの?」

ミ,,゚Д゚彡「俺に言わないで欲しい」

从 ゚∀从「ここで終わらせるとでも?」

ミ,,゚Д゚彡「その通りだ」

从 ゚∀从「逃がすわけがないだろうが」

ミ,,゚Д゚彡「であれば、俺を止めてみろ」




85 : パート(東京都):2007/04/14(土) 01:31:56.99 ID:qoXcMeva0

異音が響く。
フサが、両足だけを解放した。

ミ,,゚Д゚彡「貴様の足で、この足には追いつけないさ。いくら天才でもな」

从 ゚∀从「……っち」

ミ,,゚Д゚彡「では、アディオス」

言って、フサは廃ビルの屋上から、隣のビルの屋上まで飛び移る。
それを繰り返している内、彼の姿は見えなくなった。

从# ∀从「…………………」

(*゚∀゚)「ハ……ハイン?」

从#゚∀从「あーっ!! ちくしょーっ!!」

(;*゚∀゚)「はぅっ!?」

从#゚∀从「やーっと本当に面白ぇ奴と会ったのによぉ!! お預けかよっ!? おいフサァアァァアァッ!!」

(;*゚∀゚)「ちょ、ハイン! 落ち着いて! 落ち着いて!!」

从#゚∀从「フーッ! フーッ!」



88 : パート(東京都):2007/04/14(土) 02:05:24.03 ID:qoXcMeva0

(;*゚∀゚)「…………………」

『こいつ、あたしよか戦闘狂なんじゃね?』

从#゚∀从「うるせぇっ! ぶっ殺すぞ!!」

『はぁ!? いや、何で内側の声に反応出来るんだよ!?』

(;*゚∀゚)「は、ハイン? 何で“彼女”の声が聞こえたの?」

从#゚∀从「あー、勘?」

『ねぇよ』

从#゚∀从「あぁ!?」

『いやマジかよ!』

(;*゚∀゚)「ちょっとハイン、落ち付いて? ね?」

从 ゚∀从「……ふぅ。オーケー、つー。もう大丈夫。後でプギャーで解消するから」

(*゚∀゚)「それもダメ!」




89 : パート(東京都):2007/04/14(土) 02:11:17.88 ID:qoXcMeva0

从 ゚∀从「じゃあミンナ……いや、もうむしろモララーで」

(*゚∀゚)「それはただ事じゃ済まなくなっちゃうでしょ!」

从 ゚∀从「じゃあお前の中の殺人狂d」

『だが断る。殺せない相手は嫌いだ』

从 ゚∀从「ッチ……」

(*゚∀゚)「さ! ハイン、どうしよっか」

从 ゚∀从「あー、戻るしかないんじゃね?」

(*゚∀゚)「うん! じゃ、戻ろうか!」

从 ゚∀从「おう」

それから二人は“管理人”の基地へと向かう。

“削除人”が消え、四人も消え、“管理人”も消えた後のラウンジスクランブル交差点には、
   人々の死体と未だ火を上げる車の残骸、そして悲しみと怒りだけが残った。




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