二十四章二十四章 挑戦 明るくて、それでいて激しくない、心地良い日差しが当たる公園。 鳥のさえずりと木々の葉の唄う声が響く。 公園の中央にある時計の針が十時を示すのと同時。 一つの足音が、その公園に足を踏み入れた。 そして――― 「遅ぇよ、ショボン」 「時間はピッタリだよ。一秒の狂いもない」 「集合の五分前に来るってのが社会の常識でしょ」 「……ま、遅れなかったから良いさ。それよりも」 「あぁ」 「行こうお」 五人の足音が、公園から歩み出て行った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 鬱蒼とした森の中を、深緑のジープが走り抜ける。 最新型のジープは起伏の激しい地面や、道を遮ろうとする太い枝をものともせずにただ進んでいった。 木々が少し少なくなった辺りで、ジープはその動きを止める。 それからまもなく、五人の異能者―――ブーン達が、ジープから出てきた。 (´・ω・`)「襲撃がバレちゃうから、ここからは歩きで行こう」 ('A`)「……もうバレてるとは思うがな」 (´・ω・`)「まぁね。でも、そうだとしても、ジープからは降りておいた方が良い。 あっちのいきなりの襲撃があれば、五人まとめてあっというまに死体へ変身だ」 (,,゚Д゚)「確かにな」 会話もほどほどに、五人は足を進める。 周りに警戒しつつ、いつでも動けるように身体に力を込めながら。 やがて、五人の視界に雪のように白い建造物が浮かび上がってきた。 それを見て、ブーンの身体が戦慄したように震える。 (;゚ω゚)「ショ、ショボン。あれは……」 (´・ω・`)「そう。あれが、“管理人”達の住み処だよ」 ブーンは、生唾をごくりと飲み込んだ。 その建物は、ブーンが毎日のように見ていた夢の舞台と、同じだった。 まるで発光してるかのように錯覚するほどの、雪色の外壁。 高い位置に取りつけられた、曇りガラス。 (´・ω・`)「あの建物では違法の、タブーとされる研究が行われていてね。いつしかは異能者の研究も行われていた。 だけどある日、何かミスがあったんだろうね。己達が造り上げた最強生命体に、彼らは一人残らず命を刈り取られた。 その最強生命体―――いじくりまわされた異能者は、その後消息不明」 ブーンは、拳を握り込む。 あの夢に誘導されているような、そんな気がしたのだ。 (,,゚Д゚)「どうした、ブーン?」 (;゚ω゚)「あ、あの建物は……」 ('A`)「お前がいつも見ている悪夢の舞台、だな?」 こくりと、ブーンは頷く。 (,,゚Д゚)「あぁ、アレか。俺も話だけは聞いていたが……」 ( ゚∀゚)「実在するとは思わなかったね」 ('A`)「……一番そう思っていなかったのは。いや、実在して欲しくなかったのは、ブーンだろうけどな」 つぅっと、一筋の汗が、ブーンの頬を伝う。 彼の脳内では、ギコやジョルジュの想像を絶するあの悪夢が思い出されていた。 ('A`)「ブーン」 立ち止まったブーンに、ドクオが歩み寄る。 ('A`)「“管理人”ごと、お前の悪夢を終わらせに行こう。 きっとこれが終われば、全て終わる。平和ないつもに戻れるんだ」 ブーンの胸に、とん、と軽く拳を撃ち込んで、ドクオは言葉を続ける。 ('A`)「お前は、その為に来たんだろうが。 目的を思い出せ。ビビッて突っ立ってる暇はねぇぞ」 その言葉を最後に、ドクオはブーンに背を向けて、歩き出す。 ブーンを除く他の三人も歩き出した。 ブーンはまだ歩みを進めない。 だが、その身体の震えは、収まっていた。 ( ^ω^)「ドクオ」 ('A`)「あん?」 ( ^ω^)「ありがとうだお」 ('A`)「……はん」 そして、ブーンも歩き出した。 五人は再度、戦意を固め、目の前の雪色の建造物を睨みつけた。 (´・ω・`)「……ストップ」 やがてショボンが囁くように言って、五人は動きを止める。 ショボンは体勢を低くして、研究所前の鉄の門を見やった。 その鉄の門は柵状で、あちら側が見える。 かなりの高さと幅があり、更に頂点には鋭い針が付いていた。 登るなんて事は出来なそうだし、破壊するのも難しいだろう。 ブーンは他の侵入経路がないかと、辺りを見渡す。 そこで、その門の近くの木に焦げ跡があるのを見て、彼は眉を潜めた。 ( ^ω^)「あの研究所は爆発したはずだお」 (´・ω・`)「モララーが修復したんだ」 短く答えて、ショボンは今度はドクオを見やる。 (´・ω・`)「ドクオ君、ちょっと」 ('A`)「あぁ?」 (´・ω・`)「君の“力”を貸してくれ。君の耳には、何が聴こえる?」 門を一瞥した後に、ドクオは眼を瞑る。 そして一分ほど置いた後に、眼を開いた。 ('A`)「自然の音しかしない。少なくとも、研究所の外に、俺達以外の人間は存在しないな。 ただ、研究所の壁自体が防音機能付きなのか、研究所の中の音も何も聞こえない」 (´・ω・`)「ん。オーケー。ありがとう」 ゆっくりと、ショボンは再度歩き出す。 身を隠す必要などない、と判断したようだ。 巨大な鉄の門を目の前にして、ジョルジュが呟く。 ( ゚∀゚)「これ、どう越えんのさ?」 (,,゚Д゚)「破壊すんのか?」 ('A`)「んなわけねぇだろ。時間がかかり過ぎる」 (,,゚Д゚)「いや……そうでもないだろ」 (´・ω・`)「どちらにせよ、あまり無駄に力は使いたくない。 ……だから今度はブーン君の“力”を借りようか」 ( ^ω^)「お?」 (´・ω・`)「君の足は、二人を抱えて跳べるね?」 ( ^ω^)「運べって事かお」 (´・ω・`)「大正解」 ( ^ω^)「おk、把握」 異音を響かせ、すぐに異形へと足を変化させる。 そして、手始めにドクオとショボンの胴を抱えて――― ( ^ω^)「しっかり掴まってろお!」 地面が抉れるほどの勢いで、跳び上がった。 その身体は鉄の門を軽く飛び越え、その先へと二人を置いてくる。 そしてまた門の前に戻り、残る二人にも同じ事をしてのける。 ( ゚∀゚)「ひゅー。中々便利な“力”じゃねぇの」 (,,゚Д゚)「……ショボン。お前、一人で来てたらどうするつもりだったんだ?」 (´・ω・`)「それなりの得物を以ってして、門を破壊してたよ」 (;゚Д゚)「…………………」 (´・ω・`)「ま、それは良いさ」 ショボンは歩み出す。 他の四人も、同じくそうした。 巨大な鉄の門を越えた先には、広大な緑の敷地が広がっている。まるで庭のように。 そしてその緑を割るようにして、門から研究所の扉までの石畳が通っていた。 石畳を叩く五つの足音は、やがて辿り着いた白い扉の前で止められる。 (´・ω・`)「うーん」 ( ゚∀゚)「何で悩んでるのさ?」 (´・ω・`)「いや、どうやって入ろうかと思ってさ」 ( ^ω^)「お?」 扉を見やる。 観音開き式のそれは厚さはあまりなさそうだが、やはりそれも鉄製だ。 (,,゚Д゚)「何か問題でも?」 (´・ω・`)「普通に開けて入ったら、まぁ間違いなく迎撃でしょ? かと言って、裏口に回れば大丈夫だとは思えないし……」 ('A`)「何を今更。もう俺達がいるのはバレてんだろ?」 (´・ω・`)「十中八九ね」 ('A`)「じゃあ良いじゃねぇか」 何を思ったか、ドクオは左腕を解放。 両開きの扉の左側の前に立った。 ('A`)「ギコ」 (,,゚Д゚)「分かってる」 続いて、ギコも右腕を解放。 ドクオの隣。扉の右側の前に立つ。 そして――― ('A`)「せぇ……!」 (,,゚Д゚)「のっ……!!」 二人は同時に、異形の腕で扉を殴りつけた。 鉄の扉は抉れたような跡を残して、鍵を弾き飛ばして凄まじい勢いで開け放たれる。 そして、それと同時。 二人の視界の隅に、鈍く輝く幾多の立方体が飛来してくるのが映った。 高速で飛び来るそれを二人は危険と判断。しかしどうする事も出来ない。 だが。 ( ゚∀゚)「おっと危ない!」 右腕を巨大な盾に変化させたジョルジュが、二人の前に立ち塞がる。 二人に向けられた幾多の立方体は、ジョルジュの盾の前に敢え無く砕け散った。 ('A`)「……やってくれんじゃねぇか、ミンナ」 盾の横から、ドクオが眼を細めて言う。 その眼には、確かにミンナが映っていた。 そしてミンナの後ろには、プギャーとつー。 扉が開けられるのを虎視眈々と狙っていたようだ。 ( ゚д゚ )「殺すつもりでやったのだがな」 ('A`)「俺らを殺すには、それじゃあ甘かったようだな」 ゆっくりと、ジョルジュの前に歩み出る。 いつの間に握ったのか、その両手には対の存在の黒と銀の二挺拳銃だ。 対するミンナは、鉄製のサイコロを浮かび上がらせるも、放たない。 その代わりのように、ドクオの身体を見て言った。 ( ゚д゚ )「ほぅ。この前と比べて、随分とたくましくなったじゃないか」 ミンナが驚くのも無理はない。 ドクオ達の体は、見違えるほどに引き締まっていた。 それは、彼等が二日間の内に手にした物の一つだった。 ショボンとの過酷な運動によって、筋肉は損傷する。 だが異能者の細胞はすぐに筋肉を補修。損傷する前よりも頑丈な、強い筋肉をすぐさま構築する。 そしてそれを幾度となく繰り返した彼らの身体は、以前とは比べ物にならないほどにたくましくなっていた。 ('A`)「他人の身体をジロジロ見んな。セクハラで訴えるぞ」 その言葉を皮切りに、ドクオの握る二挺拳銃が連続で火を吹いた。 異速で空間を駆ける黒と銀は、しかしミンナを捉える前に鉄のサイコロに潰される。 ドクオとミンナは同時に舌打ち。 それと合図としたかのように、プギャーとつーがミンナの後ろから飛び出した。 ( ^Д^)「おおぉぉおぉっ!!」 (*゚∀゚)「ひゃっはははははは!!」 走り寄ったプギャーの鎌が。つーのナイフが、ドクオの命を狩ろうと振り下ろされる。 しかしドクオは動こうとも、銃を放とうともしない。その瞳に、剣呑な光を宿らせただけだ。 金属音が響き、ドクオへの二人の攻撃は停止する。 見れば、プギャーの鎌をブーンが、つーのナイフをジョルジュが受け止めていた。 ( ^ω^)「どけお!」 ( ゚∀゚)「おらぁっ!」 同時に叫んで、攻撃を弾く。 “管理人”の二人は、攻撃を続ける事なくミンナと同じ位置まで下がる。そして、笑って武器を構えた。 ( ^Д^)「またお前と戦り合う事になるとはな、ブーン!」 ( ^ω^)「最初からそんな気がしてたお」 (*゚∀゚)「ハロー、ジョルジュ。殺されに来たの?」 ( ゚∀゚)「モーニン、つー。殺しに来たよ」 その時。 「お前等。ちょっとだけ下がってろ」 後ろからの声に、ブーンとジョルジュは後ろに跳び退る。 それと入れ替わるかのようにギコが前に踏み出て――― (,,゚Д゚)「燃えとけよ!」 瓶を取り出すと、三人の“管理人”の頭上の天井に向けて投げた。 天井に激突した瓶は軽い破砕音を鳴らすと、中に入っていた透明の液体をぶちまける。 そして、その液体はまもなく火を纏った。 (,,゚Д゚)「炎のシャワーだ!!」 粒状の炎が、土砂降りの雨の様に三人に降りかかる。 しかし三人は、各々の得物で上手く防御しながら後ろへ退いた。 炎の雨は獲物を捉えられず、しかしそれでも何かを飲み込もうと、無数の炎の池へと姿を変えた。 ギコは舌打ち。 “管理人”の三人。そして、ブーン達五人は身体に力を込める。 完全な衝突が始まろうとしていた。 ―――だが。 背後から聞こえた凄まじいまでの破壊音に、まさに今飛び出そうとしていたブーンは停止した。 そしてその音に思わず振り返って、ブーンは驚愕に眼を見開いた。 やたら長身で筋肉質な男が、飛び越えてきたあの巨大な鉄の門を完膚なきまでに破壊していた。それも、素手で。 そしてその後ろには四人の異能者―――“削除人”。 “削除人”達もブーン達の事を見て驚いているのか、眼が大きく見開かれていた。 しかし、クーと巨大な男―――クックルだけは、無表情のままで“管理人”を睨んでいる。 川 ゚ -゚)「フサ、クックル」 ミ,,゚Д゚彡「分かっている」 ( ゚∋゚)「…………………」 凛としたクーの呼びかけに、フサとクックルが間髪入れずに動いた。 フサは茶色のコートと帽子を脱ぎ捨てる。 それと同時、異音。 まもなくフサの両足が、まるで魔獣のような足になった。 ミ,,゚Д゚彡「行くぞ、クックル!」 声をあげ、地面を蹴る。 一瞬、フサの姿が消え―――一瞬の後、彼はつーの眼の前に現れた。 魔獣のそれとなった右足を振り上げた状態で。 生物としての感覚が、つーの身体から冷や汗を噴き出させる。 しかし殺戮狂のつーは、その表情を笑みに変えただけだ。 (*゚∀゚)「ひゃははっ! 速い速い! 良いじゃん!!」 ミ,,゚Д゚彡「黙って死に逝け」 振り上げたフサ足が、槌のように振り下ろされる。 だが次の瞬間に弾けたのはつーの頭蓋ではなく、彼の足元の地面だ。 (*゚∀゚)「一瞬ありゃ十分なんだよっ! ひゃははっ!」 ナイフを握った笑い声は、バックステップで彼から距離を取っていた。 しかしフサは逃走を許さず、すぐに追撃を開始する。 ミ,,゚Д゚彡「おぉぉぁあっ!!」 咆哮。そして異音。 一瞬の内にフサの足の解放が解け、今度は両腕が魔獣のものへと変貌した。 そして、ラッシュ。 殴り、引き裂き、叩き潰そうと魔獣の腕はつーを狙う。 対するつーは、笑いを引きつらせながらも両手のナイフで応戦。 足は少しずつ後ろに下がって行っている。 (*゚∀゚)「……ひゃははっ! 本当にやるじゃん!」 ミ,,゚Д゚彡「死ね」 短く呟いて、右腕を引く。 足を大きく踏み出すと、腰の回転力を加えた渾身の拳を放った。 (*゚∀゚)「―――ッ!」 ナイフをクロスさせて拳を受ける。 いくらかの衝撃は吸収したが、ナイフは粉砕。 つーの身体は吹き飛び、壁に体を打ち付けて意識を失った。 川 ゚ -゚)「フサ!」 クーの声が響く。 川 ゚ -゚)「おまけレベルの雑魚にトドメを刺すのは後で良い! モララーを探索し、奴を殺す事を優先しろ!」 ミ,,゚Д゚彡「分かってるさ」 再度、“力”を両腕から両足に移す。 そして、駆け出そうと足に力を込めた所で――― 風を裂きながら、幾多もの金属サイコロが飛来した。 舌打ちしつつ、フサはサイコロを蹴り、粉砕する。 全てのサイコロが粉々になったところで、プギャーが鎌を振り上げて飛びかかって来た。 ( ^Д^)「行かせるかよ!」 ミ,,゚Д゚彡「ッチ……」 足を振り抜いた直後だ。かわせないな。 瞬間的に判断したフサは、痛みに備えて歯を食いしばった。 しかし。 「行け、フサ」 いつのまにか目の前に巨体が現われ、プギャーの鎌を抑え込んでいた。 鎌を握っている手からは血が噴き出すが、巨体―――クックルは表情をぴくりとも動かさない。 (;^Д^)「お前―――クックルか」 ( ゚∋゚)「……いかにも」 戦慄したように表情を強張らせたプギャーを、クックルは何事もなかったかのように投げ飛ばす。 その身体は凄まじいまでの勢いで壁に激突。 意識を失いはしなかったものの、動けるようになるまでにはかなりの時間がかかりそうだ。 ミ,,゚Д゚彡「サンキュ、クックル」 ( ゚∋゚)「行け」 短く言い放ち、クックルはミンナを見やる。 ミンナは駆け出したフサにサイコロを放つが、全てクックルに阻まれた。 (;゚д゚ )「クッ……!」 ( ゚∋゚)「邪魔をするな」 巨体に似合わないような速度でミンナに接近。 彼を護るかのように浮かび上がっていたサイコロを叩き落し、ミンナの腹に薙ぐような蹴りを捻じ込んだ。 (;゚д゚ )「かっ……は……!?」 腹で爆発した衝撃に、崩れるようにミンナはうつ伏せに倒れる。 彼の眼は、困惑に見開かれていた。 それもそのはず。 彼を沈めた巨体は、あまりにも速過ぎた。 反応を取る前に先頭不能にされてしまったのだから、それは相当のものだ。 ( ゚∋゚)「…………………」 眼に鈍い光を宿しながら、クックルはクーを見やる。 クーは研究所の中を見詰めると、指示を飛ばす。 川 ゚ -゚)「この中は入り組んでいるようだが、フサは己の判断の上で進んでいるはず。 クックル、お前もそうしろ。残る“管理人”は四人だが、何よりもモララーの抹殺を最大目標と置け」 ( ゚∋゚)「……把握」 頷いて、巨体は駆ける。 すぐにその身体は角を曲がり、見えなくなった。 川 ゚ -゚)「……さて」 クーは、困惑に硬直している四人に歩み寄ってくる。 ―――ショボンはいつのまにか姿を消していた。 しかしそれに気をかける余裕はない。 クーに続き、しぃとツンも歩み寄る。 四人は身体に力を込め、歩み来る三人を睨んだ。 ふっ、と。 四人の視界から、クーが姿を消す。 次に彼らの眼が彼女を捉えた時。 その時には、彼女の刀がブーンの首に突きつけられていた。 (;゚ω゚)「おっ……!?」 川 ゚ -゚)「……何故ここにいる?」 表情は涼しげだが、苦々しげに言葉は吐き出される。 来て欲しくなかった、と言いたげな口調だ。 ギコが眼を鋭くする。 (#゚Д゚)「おいてめぇ。ブーンの首から刀を離s」 川 ゚ -゚)「答えろ。こいつの首を飛ばすぞ」 刀を握る手に力が込められ、ブーンの首を、細くも紅い筋が伝う。 ブーンは小さく喘ぐ事しか出来ず、そんな自分に歯噛みした。 (#゚Д゚)「……グッ」 ('A`)「“管理人”を潰しに来たんだよ。何か文句あっか?」 川 ゚ -゚)「……ふん」 ( ゚∀゚)「何なら……この場で戦り合うかい?」 川 ゚ -゚)「こいつの命を散らしてもか?」 ('A`)「さぁ、それはどうかな」 言うドクオの右手は、いつのまにかクロを握っていた。 そしてそれは、クーの手元にポイントされていた。 ('A`)「お前がその刀を振り抜く前に、その手を粉砕してやんよ」 川 ゚ -゚)「そんな事」 ('A`)「試してみるか? 俺が引き金を引く方が早いか、お前が刀を振るう方が早いか。 ……勝ち目のない賭けは、やるもんじゃねぇぜ?」 川 ゚ -゚)「……救われたと思え」 それだけ言って、クーはブーンの首から刀を離す。 川 ゚ -゚)「……今日はお前達を相手にする時間がない。 今だけは許してやるが、次に会った時はその命、ないものと思え」 (;^ω^)「おっ……」 それからクー達は何か言葉をかける事もなく、研究所の奥へと進んでいった。 (;^ω^)「何なんだお……」 首を拭いながら、呟く。 ('A`)「……アイツらのお前の見る眼、おかしいな」 ( ^ω^)「お? どういう事だお?」 ('A`)「分からねぇが……何か、おかしい。違和感を感じる」 ( ^ω^)「おー……?」 ( ゚∀゚)「ねーねー」 (,,゚Д゚)「あ?」 ( ゚∀゚)「ショボンは?」 (;^ω^)「分からないお……いつのまに消えたんだお……」 (,,゚Д゚)「……とりあえずは先に進むしかないんじゃないか? 死んでなきゃ、いつか現われるだろ」 ('A`)「まぁ、そうだろうな。さっさと行こう」 ゆっくりと、四人は奥へと歩み出した。 とりあえず真っ直ぐ進むと、T字路にぶつかった。 右か左か、と思案を巡らす。 『そこは右だよ』 そんな時、頭に声が響いた。 (;^ω^)「お? お? 今のは何だお?」 ( ゚∀゚)「ん、んー……何だかおかしなアレだねぇ。何だろう」 (;゚Д゚)「頭の中に、声だと? どういう事だ?」 ('A`)「……多分ショボンだろ。あいつの“力”はテレパシーだ」 ( ^ω^)「おっ……なるほど、だお」 (,,゚Д゚)「そうと分かりゃ問題ねぇ。行くぞ」 再度足を進め、T字路を右に曲がる。 それからも道が分かれるたびに、脳内に声が響いて、道を教えてくれた。 ―――そして。 ( ^ω^)「ショボン!」 (´・ω・`)「しっ……静かにして」 ( ^ω^)「お……?」 何度めかの曲がり角の手前に、ショボンは立っていた。 その手には、内容は見えないが地図だと思わしき紙。 その地図らしき物をどうやって手に入れたのか、何故先に進んだのか。 そんな疑問をぶつけたかったが、どうやらそんな暇はなさそうだった。 ショボンは角から少し顔を出して、先の道を見る。 誰もいない事を確認して、ゆっくりと歩み出した。 (´・ω・`)「……おかしいんだ」 ( ゚∀゚)「何がー?」 (´・ω・`)「入り口にいた三人以外の“管理人”が、どこにもいない」 ('A`)「……へぇ」 (,,゚Д゚)「はん……何が来るのかね」 (´・ω・`)「警戒は、しておいた方が良い。残り四人の“管理人”は、いずれも半端じゃない戦闘能力を有してる。 ―――不意打ちされたら、すぐに全滅しかねない」 ( ^ω^)「残り四人……」 ('A`)「ハインに兄者に弟者、そんでモララーか」 (;゚∀゚)「げっ、弟者? 俺アイツ好きでないぞ」 (,,゚Д゚)「そうそうたるメンバーが、待ち伏せしてる可能性があるのか」 (´・ω・`)「あぁ。くれぐれも気を付けて。……何だかすごく、嫌な予感がするから」 ( ^ω^)「……ショボン……?」 (´・ω・`)「…………………」 沈黙が訪れ、五人はただ足を進める。 いくつか道が分かれたりしていたが、ショボンは行くべき道を分かりきっているかのような足取りで歩いた。 そして――― やがて、ある角を曲がった所で、開けた場所に出た。 そして、そこには三人の人影。 長身痩躯、病的なほど白い肌の双子、流石兄弟。 銀と黒の刃で構成されている巨大な鋏を握った、嬉々とした表情のハインだ。 从 ゚∀从「やーっと来やがったかよ。待ちくたびれたぜ」 遊び相手を待っていたような調子で吐き出された言葉。 それは、五人を戦慄させるのに十分過ぎた。 从 ゚∀从「さぁ、楽しませてくれよ?」 笑いを含んだその言葉。 それは何故か、この後の壮絶な戦闘を思い浮かべさせた。 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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