三十二章中“削除人”のホテル、一階。そこにあるミーティングルーム。 クーの放送から約十分後、そこに全ての人間が集まった。 川 ゚ -゚)「うむ……全員集まったな」 ミ,,゚Д゚彡「あぁ」 ( ^ω^)「会議、って何を話すんだお?」 川 ゚ -゚)「そう慌てるな。今から話す」 言うと、クーは立ち上がる。 蒼混じりの長髪が、光を反射して艶やかに輝いた。 川 ゚ -゚)「まず話したい事。それは、“これから”についてだ」 ( ゚∀゚)「ん。これからってーのは、つまりこの後どう動くかーって事だよね?」 川 ゚ -゚)「あぁ。ではまず、こちらの要望を単刀直入に言わせてもらうぞ」 そこで、彼女は全員の顔を見渡す。 そしてブーン達が頷いたのを確認すると、一呼吸おいて口を開いた。 「私達“削除人”は、これからしばらく―――“管理人”を滅するまで、君達四人と手を結びたい」 (;゚Д゚)「……え?」 (;^ω^)「…………………」 ( ゚∀゚)「へぇ……?」 クーの言葉に、ギコは驚愕の表情を。 ジョルジュはどこか楽しそうな笑みを、そしてブーンは、何かを考えるような表情を浮かべた。 ただ一人、ドクオだけが表情を変化させずにいた。 ('A`)「ふむ。なるほど、な。クー」 川 ゚ -゚)「む?」 ('A`)「ギコの為に、詳しい説明を頼む」 ( ゚∀゚)「ギコの為に?」 (,,゚Д゚)「? 何でだ? ('A`)「この中で『意味が分からない』ってーのはお前だけだからだよ。 反応を見る限りブーンは既に話を聞いてたみたいだし、ジョルジュだって“削除人”側が言いたい事は分かるだろ?」 ( ゚∀゚)「ま、大雑把にだけどね」 ('A`)「っつーわけだ。頼んだ」 視線と共に向けられた言葉に、クーは静かに頷く。 そしてゆっくりと、しかし力強く言葉を紡いだ。 川 ゚ -゚)「私達“削除人”は、”管理人”との戦いでクックルを失った。大き過ぎる、辛過ぎる損失だ。 しかし私達は止まれない。最後の異能者を滅するまで―――モララーを倒し、人々に平和をもたらすまで止まれない。 だがこのままでは、私達は止められてしまう。モララーの“力”は、やはり強過ぎた」 クーの言葉に、震えや揺らぎはない。 しかし言葉の内側には、様々な感情が渦巻いているに違いない。 リーダーとして。姉として、周囲を不安にさせるわけにはいかなかったのだ。 川 ゚ -゚)「……そこで、君達だ。ブーンから聞けば、超短期間とは言え、あのショボンから強化特訓を受けていたそうじゃないか。 ならば君達は十分に戦える。しかも君達も、モララーと戦う理由を持っている。奴を潰さねばならない理由がある。 望む事もかなり近い上に、同じ敵を持つ。そして互いに、大切な者を奪われた……手を組む理由としては、悪くないだろう?」 (,,゚Д゚)「……ようやく理解出来た。んじゃ、一応聞いとく。“管理人”を倒したその後は?」 川 ゚ -゚)「また敵同士だ。私達は君達の命を狙い、君達はそれに抗う」 (,,゚Д゚)「っは。サッパリしてて良い事だわな」 皮肉げに吐き捨てて、ギコはブーン達三人を見やる。 (,,゚Д゚)「さて、三人とも。答えは?」 ('A`)「無論、だろ。ノウだったら何もせずに座ってるはずがない」 ( ゚∀゚)「こっち側としてもメリットしかないしね。良い契約だと思うよ」 ( ^ω^)「……お。僕も、そんな感じだお」 (,,゚Д゚)「オーケー」 頷いて、ギコはクーに向き直した。 (,,゚Д゚)「っつーわけだ。反対はナシ。こちらは全員、お前達側の要望を受け入れる」 川 ゚ -゚)「それは良かった」 ('A`)「……そっち側は話し合わなくて良いのか?」 ミ,,゚Д゚彡「リーダーの決定だ。逆らう必要性はない」 (;^ω^)「そんなんで良いのかお? 他人任せと言うか何と言うか……」 (*゚ー゚)「それはつまり、姉さんにはみんなが完全に任せられるだけの信用があるって事だよ?」 (;^ω^)「お……なるほど」 川 ゚ -゚)「……さて、ではそろそろ次の話へと進もう」 発せられたクーの呟きに、少し騒がしくなっていたミーティングルームが瞬時に静まった。 ( ゚∀゚)「次の話?」 川 ゚ -゚)「今回の“管理人”との戦闘について、だ」 一呼吸置いて、彼女は続ける。 川 ゚ -゚)「反省、と言えば分かりやすいな。次の戦闘―――最終決戦に向けて、反省しよう」 (;゚Д゚)「最終決戦!?」 川 ゚ -゚)「む、そういえばそちらから話しておくべきだったな」 ('A`)「……どういう事だ? 説明してくれ」 川 ゚ -゚)「私達“削除人”は、次の戦闘を最終決戦にしようと思う。 本来は今回の戦闘で終わらせるつもりだったのだが……上手くいかなかった。 クックルを失ってしまった今、“削除人”に長期戦は苦しい。玉砕覚悟で最終決戦に臨むしかない」 ( ゚∀゚)「なるほどねー」 ( ^ω^)「それで少しでも勝てる可能性を上げる為に、反省かお」 ブーンの言葉に頷いて、クーは口を開く。 川 ゚ -゚)「私達はモララーと戦闘を始めた時、油断していた。最初から、全てが上手くいき過ぎていたからだ。 そんな心情のまま奴と戦い始めてしまった。以前よりも、確実に強くなっていた奴と、だ」 ('A`)「以前よりも強くなっていた?」 川 ゚ -゚)「あぁ」 ミ,,゚Д゚彡「……ついこの前の“管理人”との戦闘では、奴は俺とまともに相対出来なかった筈なんだ。 奴は“力”をフルに使わなければ、俺と戦う事すら出来なかった。 だが今回は違った。奴は“力”を使う事なく、俺を何度か圧倒した。……“力”を解放した俺を、だ」 川 ゚ -゚)「フサはクックルと並んで、“削除人”では戦闘能力が抜きん出ている。 そのフサですら、奴を潰せなかった。……これはつまり、奴が凄まじく強くなっている、という事だ。 そんな奴に、私達は少なからず油断を持ったままかかった。その結果が、これだ」 (,,゚Д゚)「でもそれだったら途中で立て直せたんじゃないか?」 川 ゚ -゚)「あぁ。だから奴は、体勢を立て直す前に私達を取り乱せにかかった。 クックルを殺す、という方法を持ってな」 (* - )「…………ッ」 ギリッ、としぃが歯を噛み締める音が響いた。 ツンは顔を俯かせ、下唇を噛み締めている。 川 ゚ -゚)「あの悪魔の事だ。ショボンを殺されて取り乱していたお前達を見て、考えついたのだろう。 私達はそれに嵌ってしまった」 (,,゚Д゚)「……なぁ。一つ聞かせてもらっても良いか?」 川 ゚ -゚)「何だ?」 応えたクーを一瞥して、ギコは一つ息を吐いた。 まるで、自分を落ち着かせようとするかのように。 (,,゚Д゚)「あんた達……本当に取り乱してたのか? あの時、どう見てもあんた達が動揺してるとは思えなかったんだが」 川 ゚ -゚)「む?」 (,,゚Д゚)「現に今、あんた達はやけに冷静だ。 ……本当に取り乱していたのか? 本当に悲しんでいたのか? 何で今、あんた達はこうも冷静なんだ?」 川 ゚ -゚)「……私達は、いくつもの死を見てきた。 クックルだけでなく、今までに散っていった仲間達の死、全てを。 それに、この時期だ。一人の仲間の死で、そんなシトシトと悲しむ事は出来ない」 (,,゚Д゚)「何だそれ」 音を経てて、ギコは立ち上がる。 その拳は握られており―――あまりの怒りの為か、動かぬはずの右腕が解放を始めていた。 (#゚Д゚)「今までいっぱい死んでったから、一人の為に悲しめない? この時期だから、悲しんでいる暇がない? 何だよそれ。ふざけてんのか? そんな理由だとか理屈ばっか並べてりゃ、悲しまないで居られるってのか!? お前達は仲間だろ!? 仲間が死んだんだぞ!! 何でそんな冷静で居られんだよ!! 悲しくねぇのかよ!?」 八重歯を剥き出しにし、怒りを真正面からぶつけたギコ。 そんな彼に対して、クーは静かに立ち上がる。 そしてゆっくりとギコに歩み寄りながら、彼女は不気味なほど静かに口を開いた。 川 ゚ -゚)「……クックルは、常に死を覚悟して戦って来た仲間だ。 常に“削除人”の思想の為に動いてくれた、かけがえのない、仲間だ。 奴は最期、私達の為に死んだ。私達の歩みを進ませる為に死んだ。私達の為に、死んだんだ。 そんな奴が、シトシトと悲しんでいる私達を見て喜ぶと思うか? そんな事を、奴が望んでいると思うか?」 やがてギコの目の前まで来た彼女は、突然、凄まじい勢いで彼の胸倉を掴み上げた。 驚愕する彼の瞳を睨みつける彼女の瞳は、冷酷。胸倉を掴む彼女の右腕は、解放されていた。 川#゚ -゚)「クックルが死んで―――仲間が死んで、悲しくないわけがないだろう!! だがな、いくら悲しくたって私達は冷静でいなきゃいけないんだ! 悲しんでいちゃいけないんだ!! 奴が望んでいるのは、私達が勝利する事だ! 勝つ為には、悲しんでちゃいけないんだよ!! 何故それが分からない!?」 叫んで、彼女はギコを壁に押し飛ばす。 それから一つ溜め息を吐くと、右腕の解放を静めた。 川 ゚ -゚)「むしろ私には、お前達の方が理解不能だ。 ショボンが死んだというのに―――今まで戦いというものすら知らなかったのに、今こうして冷静でいられる。 普通は嘆き悲しみ、しばらくの間は何も出来なくなる筈だがな」 (,,゚Д゚)「あ――――――」 思い出したかのように、声を漏らすギコ。 彼を横目に、ドクオが口を開いた。 ('A`)「冷静。ふん、冷静、ねぇ……。 なぁ、クー。今俺達は、冷静に見えるのか?」 川 ゚ -゚)「? あぁ」 ('A`)「物事を呑み込みきれず、頭の中の整理がつかないような状態を『冷静』というのか?」 川 ゚ -゚)「……何が言いたい」 ('A`)「ブーンとギコは、まだ頭の中の整理が付いてないんだよ。ショボンが死んだと、深い意味で認識出来てないんだ。 元は生きる世界も違うような奴。しかも、知り合ってから数日しか経ってない。 そんなのが死んでも―――例えば目の前でズタズタにされても、『死んだ』なんて認識出来ないもんだろ」 川 ゚ -゚)「なるほどな。では……お前は『ブーンとギコは』と言ったが、お前とジョルジュはどうなんだ?」 ('A`)「俺は……何つーんだろ。ふっきれてる。ふっきれつつある」 _, ,_ 川 ゚ -゚)「…………………?」 ('A`)「ショボンはお前達の言う、クックルと同じで。最初から死ぬ覚悟だったわけで。しかもあいつは俺を護って死んだわけで。 そうしたら今俺がすべき事は悲しんでうじうじしてる事じゃなく、もっと強くなって完膚なきまでに“管理人”を叩き潰すって事だ。 そんな答えが、たった今俺の頭の中に浮かんだわけだ。お前達と同じさ」 川 ゚ -゚)「……ジョルジュは?」 (;゚∀゚)「へ? いや、俺っちはまだ混乱してるよー?」 ('A`)「嘘を吐くな」 (;゚∀゚)「嘘じゃないよー?w」 ('A`)「……ま、良いけどよ」 言って、ドクオはクーに向き直す。 ('A`)「まだ混乱してるそうだぜ」 川 ゚ -゚)「……お前は意味が分からない」 呟いて、彼女は溜め息を一つ。 表情には今まで隠していたのであろう、疲労が表れていた。 川 ゚ -゚)「……まぁ、良い。それよりも、お互いに持っている情報を交換しよう」 (,,゚Д゚)「情報の交換ったって……どうやって?」 川 ゚ -゚)「順番に、相手に対して質問していこう。 私達は君達に知りたい事を問い、君達は私達に知りたい事を聞く。 勿論、知っている情報であれば教える事」 ('A`)「分かりやすくて良いんじゃね? どんな馬鹿でも理解出来るだろ。なぁ、ギコ?」 (#゚Д゚)「ぶち殺すぞ」 ('A`)「まだお前とは言ってなくね?」 (#゚Д゚) ビキビキ ( ^ω^)「……質問はどちらからだお?」 川 ゚ -゚)「そちらからで構わない」 ( ^ω^)「じゃあまず一つ。君達の“力”がどんなんかを教えてほしいお」 川 ゚ -゚)「……知らなかったのか? まぁ良い。 私の“力”は右腕にある。能力としては、一定の水分操作を可能とする」 (,,゚Д゚)「一定の水分操作?」 川 ゚ -゚)「一定量・一定範囲の水分だったら操作出来るという事だ。 手を触れずに水を動かしたり、水を氷や水蒸気にする事も出来る。 私の“力”に関して、他に質問はあるか?」 (,,゚Д゚)「んー……ない、と思う」 (*゚ー゚)「じゃあ次は私の能力を教えるよ。 私の“力”は左腕。能力は光の一定量・一定範囲の操作。私の能力は知ってるよね?」 ('A`)「あぁ。次頼む」 ξ゚△゚)ξ「私、ね。 私の“力”は翼。能力は付近の異能者の“力”を翼にコピー。質問は?」 ( ^ω^)「……イマイチよく分からないお。詳しく頼むお」 ξ゚△゚)ξ「来ると思った。じゃあ、説明するわよ。一度しか言わないから。 ―――例えば私がクー姉さんの“力”をコピーしたとするわよ。 そうすると私の翼、及び羽根は姉さんの“力”と同じものを使えるの」 ( ゚∀゚)「……飛ばした羽根を氷にしたり水にしたり、って事?」 ξ゚△゚)ξ「あら、理解が早いじゃない。まぁつまりそんなところよ」 ('A`)「俺とかブーン、フサなんかの“力”をコピーするとどうなんだ?」 ξ゚△゚)ξ「ブーンの“力”をコピーすれば、羽根の一本一本が高速になって攻撃力が高まる。 あんたの“力”をコピーするとなるとちょっと特殊で、私自身の視覚聴覚が鋭くなるわ。 フサさんの“力”のコピーは、ほとんどブーンの“力”のコピーと変わりないわ」 ('A`)「なるほどな。把握」 ξ゚△゚)ξ「質問はもう?」 ( ^ω^)「お、ないお」 ξ゚△゚)ξ「じゃぁ……」 ミ,,゚Д゚彡「俺の番だな。俺の“力”は全身の内の『どこか』。 能力は解放した箇所の魔獣化だ」 (;゚Д゚)「……へ? 詳しく頼む」 ミ,,゚Д゚彡「俺は解放する個所を選べるんだよ。四肢のどこかでも良いし、四肢全てでも良い。 しかし解放する箇所の広さに比例して、脳も魔獣化する」 (;゚∀゚)「って事は、もし解放する箇所を広げすぎたら……」 ミ,,゚Д゚彡「あぁ。俺は完全な『魔獣』になる。 自我だの人間としての意識だのなんて完全に崩壊するだろうな」 (;゚∀゚)「何だよそりゃ……“力”が宿主を食い殺すってか? おかしいだろ、そんなん」 ミ,,゚Д゚彡「強力な“力”ってのは、そんなもんなんだよ。 強い分、リスクも高い。安定感もないしな」 川 ゚ -゚)「―――さて。こちらの回答は終わった。今度はこちらが質問する番だな?」 ( ^ω^)「おkだお」 川 ゚ -゚)「ショボンの事について、教えてくれ」 ('A`)「ショボンの事について、だと? もうちょっと具体的に頼む」 川 ゚ -゚)「ショボンはどうやって君達の前に現れたのか。何故君達に力を貸したのか。 ショボンはどんな人間であったのか。彼が何故“管理人”に牙を剥いたのか」 ( ^ω^)「ショボンは、プギャーに襲われてた僕を助けてくれたんだお。 それから僕はショボンに異能者について教えられて……」 (,,゚Д゚)「その翌日、俺達もショボンから話を聞いた。 その後にショボンから“管理人”と“削除人”を潰さないかっていう誘いを受けた。 一人で行くのは流石に無理な話だろうから、力を貸してほしい、ってな」 その言葉と、同時。 “削除人”の方から、驚愕のうめきが漏れた。 ξ;゚△゚)ξ「なっ……!」 (;゚ー゚)「えっ……!?」 反応が大きく出たのは、ツンとしぃ。 ツンは眼を見開き、しぃに至っては半ば立ち上がってしまっている。 (,,゚Д゚)「……お? どうかしたか?」 川 ゚ -゚)「何でもない。続けてくれ」 そう言って、彼女はツンとしぃを手で制した。 その手ですら、少し揺らいでいる。 ('A`)「何でもない筈がないだろ。何だよ」 川 ゚ -゚)「……後で話す。今は、ショボンについての話を続けてくれ」 (,,゚Д゚)「あいよ。 誘いを受けた俺達は、最初はその誘いを断る気でいた。 わざわざ危ない世界に自分から首を突っ込む事もない、ってな」 ( ゚∀゚)「でもそんな時、“管理人”の大量殺戮があったわけだね。 ほら、“削除人”に助けてもらったあの時だよ。 その事件で俺達は“管理人”の酷さを知って、戦う事を決めたわけだね」 川 ゚ -゚)「なるほど、な。 では、何故彼は私達と“管理人”を潰そうとしたのか分かるか?」 ( ^ω^)「『あの組織は人を大量に殺しているから』 『あの組織があると生きづらくて仕方がない』とか言ってたお」 川 ゚ -゚)「……ふむ。では、最後に。 ショボンは、どんな人間だった?」 ( ^ω^)「……優しかったお。良い感じのおじちゃん、て感じだお」 ( ゚∀゚)「でも一番感じたのは、不思議な感じ……っつーか『よく分からない奴だな』っていう感覚? 性格も感情も年齢も、全部よく分かんないの。掴み所ってのがなかったね」 川 ゚ -゚)「……よし、よし。よく分かった。ありがとう」 ('A`)「なぁ。質問は一つずつじゃねぇの?」 川 ゚ -゚)「一つじゃないか。『ショボンについて教えろ』とな」 ('A`)「ずるくね?」 川 ゚ -゚)「気のせいだ」 ('A`)「何だそr」 (,,゚Д゚)「まぁそんな事ぁ良い。それよりも、さっきのお前達の動揺の理由を教えろ」 川 ゚ -゚)「……良いのか?」 ( ^ω^)「……何がだお?」 川 ゚ -゚)「もしかしたら知りたくなかったと後悔するかもしれない。 それでも、知りたいのか? イエスかノウで答えろ」 (;^ω^)「うっ……で、でm」 ('A`)「イエスだ」 (;^ω^)「なっ……!? ド、ドクオッ!?」 ('A`)「どうせお前は考えた末にイエスって答えるだろ。 ノウと答えるべき点はないんだからよ。考えてる時間が無駄だ」 それだけ言うと、ドクオはクーに向き直す。 ('A`)「さぁ。話してくれ」 川 ゚ -゚)「……良いだろう。話してやる。奴は……ショボンはな―――」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ( ・∀・)「……何をしに来た」 “管理人”が使用している研究所から少し離れた位置。 そこには森林に囲まれた、美しい湖があった。 人の手にほとんど触れていない、もはや希少とも言える清らかな湖。 その横で、モララーは一本の大木に寄りかかっていた。 「流石。バレてないと思ったのだけどね」 ( ・∀・)「質問に答えろ。何をしに来た」 「いや。ちょっと様子見をね。それにしても、酷い傷だね」 ( ・∀・)「五月蠅い。誰のせいでこうなったと思っている」 「私のせいだとでも思ってるのかな? それは少し酷いんじゃないかな」 ( ・∀・)「黙れ。裏切り者め」 「酷いなぁ」 何の感情も込めずに、モララーに応する声。 声の主の姿は見えない。無数の樹木が立ち並ぶ中で、その姿を隠す事は容易だった。 モララーの身体は、半分以上が包帯で覆われていた。 中には血が滲むものも見える。 本来、異能者の負傷に包帯などは必要ない。 傷の大きさに応じて発揮される自己治癒力が、すぐに怪我を回復させる為だ。 しかし今のモララーは例外―――自己治癒力が、格段に落ちていた。 今回の戦闘で、“力”を使い過ぎてしまったのだ。 限界から更にひねり出すようにして“力”を使ったので、治癒にあてるだけの“力”が蓄えられていないのだ。 「ここに来たのは、身体を休めて“力”を取り戻す為かい?」 ( ・∀・)「黙れと言っている。殺すぞ」 「その身体で出来るのかい?」 言葉と同時。 草を踏む音と共に、一人の男が一本の大木の後ろから姿を現した。 何の光も宿さない、感情のない虚ろな瞳。 まるで人形のような彼は―――ビコーズだった。 数年前、VIPに所属していたモナーの先輩。 テレポートの“力”を扱う異能者。 ……モララーに殺されたはずの、消えた死体。 ( ∵)「いや、出来ない事はないだろうね。君が更に“力”を捻り出すというのなら。 ただしそうするのならば私も“力”を使う。君も無傷ではいられない」 ( ・∀・)「……チッ。傀儡風情が」 ( ∵)「まぁ、ここで争っても何の意味もないさ。 争ったところで、君は傷付くだけ。私は、『こちら』が死んでも問題はない」 ( ・∀・)「……用件は何だ」 ( ∵)「話したい事があるだろうな、と思ってね。 前回の電話は適当に扱ってしまったから、ここで話をしようと思っていたのだよ」 ( ・∀・)「なるほどな。では、聞こうか。 お前は、何故“管理人”を抜けた?」 ( ∵)「それには答えた筈。つまらないから、さ。 『異能者を見下してきた人類を粛清する』―――そんな事、その気になれば三人もいれば出来る。 簡単過ぎるんだよ。つまらない。私は、楽しい事がしたいのだよ」 ( ・∀・)「となれば……」 ( ∵)「あぁ。戻る気なんてない」 ( ・∀・)「そりゃあそうだろうな。戻る気があれば、あんな道化を演じる必要なんて無い筈だからな。 完全に敵になる為―――そう、全てを敵に回す為に、お前は道化になったのだろう? より強い敵と戦う為。より楽しい殺し合いをする為。死ねる場所を探す為。狂っているな」 ( ∵)「人生は楽しむ為にあるものだろう? そして人生は一度きり。存分に、楽しまねば」 ( ・∀・)「結局“管理人”も、お前が楽しむ為の玩具にしかならなかったわけだ」 ( ∵)「お気に入りの玩具、だね」 ( ・∀・)「“管理人”も“削除人”も“彼ら”でさえも、お前の玩具か。 お前の思考回路―――それを助長するお前の“力”には、本当に反吐が出るな」 ( ∵)「酷いなぁ。 さて、他に質問は?」 ( ・∀・)「……この前のあれは、『影』だな? そしてこれは『傀儡』。 他に、命のストックはいくつだ?」 ( ∵)「もうないさ。『傀儡』を除けば、後は『本体』だけだよ」 ( ・∀・)「ほぅ……? 何故だ?」 ( ∵)「ストックが多すぎちゃつまらないじゃないか。楽しむ為のストックがこの流れをつまらなくしちゃ、本末転倒だよ。 それに生きるか死ぬかってのがやっぱり一番楽しいし、私が死ねるとしたら今度の最終決戦が最後のチャンスだろうしね。 よって、残るは『本体』のみ。この『傀儡』も、もういらないや」 その言葉が、終わるや否や。 空を裂いて、彼の喉に銀のナイフが突き刺さった。 そのナイフは、モララーの手から放たれたものだ。 彼は予備動作もなしで、ナイフを正確に投げたのだ。 ぐらりと揺らぐビコーズ。 その口元が歪んだかと思うと、液体を含んだ不明瞭な声で言葉が紡がれた。 「楽しもう。殺し合いを。狂いに狂った歯車達が紡ぎ出す、人生という壮絶な物語を」 鈍い音を経てて、ビコーズの身体が草の上に倒れる。 モララーはゆっくりと立ち上がると、ビコーズに歩み寄り――― その頭蓋に足を乗せ、 全体重をかけて頭蓋を踏み砕いた。 その表情には凄絶な笑みを浮かべ、 眼には暗く、しかし強く輝く光を宿らせて。 まるで、『悪魔』のように。 ( ・∀・)「良いだろう。楽しんでやるよ。私は私の道を歩いてみせる。邪魔なんぞさせない。 お前が相手になるのならば、それも良いだろう。踏み潰してやる」 呟いて、彼はビコーズの砕けた頭蓋から足を抜いた。 そして、歩み出す。 彼の、居場所へ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (;^ω^)「そ、そんな……」 (;゚Д゚)「ショボンが……本当に、か……?」 川 ゚ -゚)「あぁ。奴は元“管理人”。それが現実だ。 だから私達は驚いた。元“管理人”が、『“管理人”を潰そう』とけしかけていたのだからな」 (;゚∀゚)「でも、あいつそんな事は一言も言ってなかったよ?」 川 ゚ -゚)「言えばお前達が協力しなくなるとでも思ったのだろう。 それか……いや、何でもない」 ('A`)「何だよ」 川 ゚ -゚)「いや、本当に何でもない。聞かなかった事にしてくれ」 ('A`)「良いから言えっつーの」 川 ゚ -゚)「私の馬鹿げた考えを口走ろうとしただけだ。忘れてくれ」 ('A`)「何でも良いから教えろっつーの」 川 ゚ -゚)「……悪戯にお前達を悲しませる必要などないだろう。 それに今更私の考えを言ってどうなる? ……ショボンはもういない」 ('A`)「……てめッ……!」 川 ゚ -゚)「……話がズレたな。すまない。本題に戻そう」 ( ゚∀゚)「今度はそっちの質問からだよ」 川 ゚ -゚)「む、そうか。だが、こちらは聞きたい事は聞いた。後はそちらの質問で良い」 ( ^ω^)「次を最終決戦にするって言ったおね? って事はそれまでに強くなってなきゃいけないおね?」 川 ゚ -゚)「あぁ」 ( ^ω^)「じゃあ、それまでの戦闘訓練ってどうするんだお?」 川 ゚ -゚)「む……各々で訓練すれば良いのではないか?」 ミ,,゚Д゚彡「いや、ダメだな。それだと実際の戦闘では何の意味も為さない」 川 ゚ -゚)「では?」 ミ,,゚Д゚彡「“削除人”とこの四人。合同で模擬戦闘をするべきだ、と思う」 (;゚ー゚)「へ?」 ミ,,゚Д゚彡「共同戦線を組む、と決まったんだ。共に強くなっていかないでどうする」 ξ;゚△゚)ξ「いや、まぁそりゃそうなんだけど……」 ミ,,゚Д゚彡「という事だ。他に質問はあるか?」 ( ^ω^)「特にはないお。思いついたらその時に質問するお」 川 ゚ -゚)「うむ。では、個別に何かを伝えたい者はいるか?」 すっ、と一本の手が挙がる。 包帯まみれのそれは、モナーのものだ。 川 ゚ -゚)「む、何だ? モナー」 ( ´∀`)「もなもな。ブーン君達四人に、伝えたい事があるもな」 ( ^ω^)「お? 何だお?」 ( ´∀`)「共同戦線を張るに当たって、君達の武器を僕に作らせてほしいもな。 “力”を解放している箇所だけで戦うよりも、武器もあった方がきっと強いもな」 (,,゚Д゚)「……武器、ねぇ。必要あるのか? そんなもん」 ( ´∀`)「例えばギコ君。君が何かしらの障害によって右腕が使えなくなった時、君は生身の部位で戦えるもな? 異能者相手に生身でかかるというのは、もはや自殺行為だもな。 万が一隙を突いて攻撃出来たとしても、生身からの攻撃であればそれはよっぽどの事がない限り致命傷に至らないもな」 (,,゚Д゚)「ふむ」 ( ´∀`)「それに右腕で相手の解放部位を押さえて、左腕で武器で攻撃するって事も出来るようになるもな」 (;゚Д゚)「だがそいつぁ卑怯じゃねぇか?」 ( ´∀`)「卑怯だとか言ってる余裕はないもな。勝たなきゃいけないもな」 ミ,,゚Д゚彡「それに、だ。ショボンとの訓練を経験したとは言え、お前らはやはりそれだけの異能者。 それに対して奴らは無数の戦闘を経験してきているんだ。その差を埋めるのは、武器があっても困難なんだぞ」 ('A`)「……ミンナだのプギャーだのには俺達は圧勝出来たぞ」 ミ,,゚Д゚彡「圧勝? はっ、笑わせてくれるな」 ('A`)「……あ?」 ミ,,゚Д゚彡「大虐殺の時に、お前はミンナに敗けただろうが。忘れたのか?」 (;'A`)「だが“管理人”の基地に突入した時は……ッ!」 ミ,,゚Д゚彡「あれだって、しっかりと勝利を納めたわけではあるまい。最終的には、俺達が片付けただけだ」 (;'A`)「ぐ……」 ( ^ω^)「ミンナの事については分かったお。でも、プギャーは? 僕達は完膚なきまでにプギャーを叩きのめしたお」 ミ,,゚Д゚彡「らしいな。……だがそれでも、プギャーを甘く見る事は出来ない」 ( ^ω^)「何でだお?」 ミ,,゚Д゚彡「奴はおそらく、まだ目覚めきっていない異能者だ。半覚醒状態、といったところか」 (,,゚Д゚)「どういう事だ?」 ミ,,゚Д゚彡「考えてみろ。本来、異能者にあんな形状の者はいないはずだろう。 変化するのは左腕だけで、他に何か特殊能力があるわけでもない」 ( ゚∀゚)「流石兄弟みたいな特殊な異能者なんじゃないのー?」 ミ,,゚Д゚彡「その可能性もなくはないが、限りなくゼロに近い可能性でしかない。 最も高い可能性はこうだ。 『初期段階の覚醒では目覚める事のなかった強大な“力”が、奴の中に今も潜んでいる』」 ('A`)「……そんな事が、あり得るのか?」 ミ,,゚Д゚彡「あぁ。今眠っている“力”が、それだけ強力ならばな。 覚醒した当時のプギャーの身体を崩壊させかねない程の“力”だったなら、 プギャーの身体はその“力”を眠らせたままにしておくだろう」 (;^ω^)「それだけ強い“力”だって事かお……」 ミ,,゚Д゚彡「あぁ。おそらく、な。そして奴の“力”は、ふとした拍子に突然目覚めるかもしれない。 ……いや、次の戦闘までには間違いなく目覚めているだろう。 モララーが、目覚めさせてしまうはずだ」 「だから」と続けて、フサは眼を細める。 ミ,,゚Д゚彡「訓練して、強くならねばならない。武器という力を手に入れなくてはならない。 『大丈夫だろう』なんて事は考えるな。その結果が、今回の俺達の敗北だ。 敗ける要素なんて無数に転がっているんだ。卑怯だ何だって事を考える余裕なんてない」 川 ゚ -゚)「……フサ」 ミ,,゚Д゚彡「俺達がしているのは―――お前達がしているのは、戦いなんだ。ゲームじゃない。 勝利か敗北か。勝てなければ敗けで、敗けは死だ。敗けてしまえば、何もかもが終わりなんだ。 平和な日常も、友との約束も、倒したかった憎き敵も、変えたかった世界も、全てが消えるんだぞ」 (;゚∀゚)「……そんなの」 ミ,,゚Д゚彡「……そんなのは、いやだろう? 生きて、帰りたいだろう? 友と楽しく笑い合える日常に、戻りたいだろう? その為には、強くならねば―――勝たねばならないんだ」 (,,゚Д゚)「…………………」 ( ^ω^)「……分かったお。強くなるお」 ( ´∀`)「さてと。じゃあ、武器の話に戻っても良いかもな?」 (;^ω^)「あ、すまんかったお。頼むお」 ( ´∀`)「もな。武器は、君達の“力”の特性なんかを見て造っていきたいと思うもな。 そんで出来上がり次第、君達に渡す。そんな感じで良いもな?」 四つの返事。 それに満足そうに頷いて、モナーはクーに「僕の話は終わりだもな」と伝えた。 川 ゚ -゚)「む。では他に、話す事がある者は?」 訪れるは沈黙。手も上がらない。 それに「ふむ」と頷いて、彼女は言葉を続ける。 川 ゚ -゚)「では、まとまった会議はここで終ろう。何かあれば、個人的にでも聞いてくれ。 訓練などは明日から行おう。ダメージが取れていても、疲れは取れていないだろうからな。 各自、明日からの戦闘準備に向けて十分な休養を取れ。以上。なお、“削除人”メンバーは残ってくれ」 ( ^ω^)「お? 僕達はどうするお?」 川 ゚ -゚)「あぁ、解散だ。君達は君達だけで話したい事もあるだろうし、好きにして良い。 部屋は、自分が起きた部屋をメインに使ってくれ」 ('A`)「明日の予定は?」 川 ゚ -゚)「おっと、忘れていた。明日は午前六時までに朝食を済ませておく事。 十階のレストランやカフェで好きに食べてくれ。その後の予定は放送で連絡する」 ('A`)「把握。じゃあな」 短い呟きと共にドクオは立ち上がり、そして部屋を後にした。 それにジョルジュ、ギコと続き、ブーンが最後に部屋を後にしてドアは閉じられた。 後に残されたのは“削除人”達と沈黙だけ。 川 ゚ -゚)「……さて。何か、あるか?」 沈黙を破ったのは、クーだった。 ミ,,゚Д゚彡「何か、とは?」 川 ゚ -゚)「質問。意見。批判。反論。私の決断に対して、何かあるか?」 ( ´∀`)「ないもな」 川;゚ -゚)「即答だな」 ( ´∀`)「ない物はないもな」 川 ゚ -゚)「……遠慮はしなくて良いのだぞ。 これだけ大きな決断を、私の独断で下したんだ」 ミ,,゚Д゚彡「特に問題ない。決断する為に会議を開く時間もなかった」 (*゚ー゚)「それに、姉さんの決断はいつも間違ってなんかないからね。 姉さんの決断が、最終的でかつ最善な決断になるんだよ」 川 ゚ -゚)「……しかし……」 ξ゚△゚)ξ「しかし、じゃないの。自信を持って。揺らがないでよ。 姉さんが揺らぐと、みんな揺らいじゃうんだから」 川 ゚ -゚)「……想うんだ。私の決断が間違っていたから、クックルが死ななければならなくなったんじゃないかと。 クックルだけじゃない。私の決断のせいで、無数の仲間が散り、ここまで戦いが長引いてしまったのではないかと。 私は所詮、ただの異能者だ。私ごときが、皆の命を握るなんt」 ミ,,゚Д゚彡「今更何言ってんだ? 釣りか?」 溜息と共に吐き出された言葉。 それと同時に、フサの手から何かが撃ち放たれた。 その何かはかなりの勢いでクーの額へと飛び行き――― 川;゚ -゚)「痛ッ!」 額で『ペチン』という音を経てて、跳ね返った。 驚きを抑えないままに跳ね返った何かを見やれば、それは輪ゴムだった。 川;゚ -゚)「な、何を……」 ミ,,゚Д゚彡「ごちゃごちゃ考えてんじゃねぇよ。お前は俺達の『リーダー』だぞ」 ( ´∀`)「そうだもな。君が僕達のリーダーだもな。君の決断は、みんなの決断だもな。 だから君の責任はみんなの責任。君が全てを背負い込む事はないもな」 (*゚ー゚)「姉さんがリーダーだったから、私達は生き残れた。これだけの人数が生き残れた。 姉さんがリーダーだったから、私達はまだ戦えるんだよ」 ξ゚△゚)ξ「姉さんは、ファーザーに認められたんだよ? 私としぃのお姉さんだって。 姉さんは、みんなに認められたんだよ? みんなのリーダーだって。 命を託すに足る人物だって。最高の信用を置ける人物だって」 ミ,,゚Д゚彡「お前がそんな事言ってたらよ、今まで散っていった奴に失礼だろ。 誇りと自信を持て。後ろを振り向くな。足を止めようとするな。 お前がくだしてきた決断の答えは、まだ一つも出ていない。全てが終わった時に答えは出る。 その答えがどうなるかは、お前次第だ。正解か、間違いか」 言って、彼はおもむろに煙草を咥える。 慣れた手つきで先端に火を付けると、美味そうに煙を一吸い。 そして身体の向きを変え、ドアへと歩き出した。 背中に刺さるは、感じ慣れた彼女の冷たい視線。 その視線に応じるかのように、煙を吐き出す。 それと共に、言葉も。 「お前が頑張れば、答えは正解になるさ。 頑張れ、リーダー。俺が……いや、俺達が支えてやっから」 川 - )「ッ――――――」 歯を噛み締めて、声を殺した。 気合いを抜いていたら、涙が出そうだったから。 そうだ。 決断の答えは、まだ出ていない。 これからの私次第なんだ。 今までの仲間がたった一つの命を捨てて作ってくれた道に、私は立っているんだ。 そんな道を作って歩んで、今更辞退する事なんて許されるはずがない。 やってやろうじゃないか。 リーダーとして、姉として。そしてクーとして、今までの決断が全て正しかったようにしてやる。 散っていった命は、無駄にしない。そしてこれ以上の命は、散らせない。 今までの仲間と共に。 そして、今私を支えてくれるこの仲間達と共に、誇りを持って歩み行こう。 すぅっ、と息を吸い込む。 その空気は、何だか冷たく澄みきっているような気がした。 まるで、今の自分のように。 川 ゚ー゚)「……どうやら私は、馬鹿な事を考えていたようだな。 ありがとう、みんな。元気が出たよ」 呟いた言葉にも、力があった。 自分の言葉に、みんなが微笑んでくれた。 「それでこそ」とでも言いそうな表情だ。 川 ゚ー゚)「……っふ」 (*゚ー゚)「何笑ってんのさw」 川 ゚ー゚)「仲間とは良い物だな、とな」 呟く彼女に、もはや弱さはない。 冷たい表情に浮かんだ暖かなものは、彼女の素顔だ。 冷たい仮面を破って現れたその表情は、実に力強く爽やかだ。 彼女らしく、そして彼らのリーダーらしい表情だった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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