四十章四(*゚∀゚)「ほらほらほらほら、辿り着いちゃうよ!? 何とかしないと!!」 その声で我に返ると、三人は一斉に動き出した。 ハインを中心に、散開する。ジョルジュは右に、モナーは左に。 やはり囲むようにして戦うつもりだ。一対一では、やれる事は知れている。 それに対し、つーは一人をターゲットに定めた。 ジョルジュだ。一本のナイフを引き抜きながら、一直線に向かっていく。 (#゚∀゚)「上等だ!!」 向かってくるつーに対し、彼はブレードの右腕を正面から振り下ろした。 速い橙の斬撃は、しかし掲げられたナイフによって巧みに軌道を変えられ、床を噛む。 ジョルジュはすぐさま刃を跳ね上げようとしたが、そこでブレードに衝撃が来た。 つーが、伸ばした脚先でブレードを踏み付けていた。一瞬、右腕が遅れる。 その隙につーは接近の一歩を踏んだ。 (*゚∀゚)「辿り着いちゃいましたよ! どうしますかー!」 (#゚∀゚)「こうしてやるよ!!」 笑みを近付けるつーに、ジョルジュは左腕を振るった。 『尖鋭』の刃は砕けてしまっていたが、ナックルダスターの部位は残っている。 斬撃としての役目は失ってしまったが、殴打には十分に役立てる。 だがそれも、当たればの話だ。 頬目掛けて振るわれたジョルジュの拳は、しかし僅かに体勢を落とすことで容易に躱された。 (*゚∀゚)「はーずれ!」 そう声を弾ませると、つーは低い体勢から床を蹴った。 矮躯は跳び上がり、そこでジョルジュの胸を両足裏で蹴りつけ、そこを地として跳躍する。 そして吹き飛んだジョルジュを片目に据えつつ、中空で膝を折った。 (*゚∀゚)「こちらも、残念でしたー!」 声高く言う彼女の眼前、モナーがいる。 不意を打とうとしていたのだが、彼女の予想外な動きに硬直していた。 驚愕によって見開かれた眼に、狂気の笑みが映り込む。 (;´∀`)「くっ!」 慌てて対応しようとするが、遅い。 つーは中空で器用に身を捻ると、折った膝を高速で振るう。 それはモナーの肩口を捉え、ジョルジュと同様に吹き飛ばした。 (*゚∀゚)「おやおや! フォーメーション、一瞬で瓦解しちゃったねぇ!」 着地すると、微笑みを浮かべたまま視線を横に飛ばす。 そこには、今まさに床を蹴ったハインがいた。 从#゚∀从「関係ないね! あんたを止められりゃ何でも良いんだ!!」 咆哮と共に、大鋏を袈裟掛けに振り下ろす。 从#゚∀从「私一人で、あんたを止めてやる!」 つーはそれを身体を傾げて躱すと、流れる動作で巨大なナイフを引き抜き、振り上げた。 ハインは弾いたように思いきり身体を反らして、それを避ける。 それでも顎から頬にかけて、赤い線が生まれた。 (*゚∀゚)「はァん!? 止められないからあの二人と手ェ組んだんでしょー!? あんた一人じゃどうしようもないから、でしょ!? 何言ってるのさ、あんたはさ!」 膝が跳ね上がり、仰け反ったハインの腹部を抉る。 ハインの喉が濁った音を漏らし、しかし身を折る事はない。 その右腕が動いた。指を鉤爪のように折り曲げ、振り上げる。 つーは一瞬で後退し、ハインの右腕は虚しく上方へ抜けた。 だが僅かに爪先が掠ったようで、ごく細く小さな線が四本、つーの頬に生まれていた。 从#゚∀从「んな事ぁ言ってねぇ!!」 ハインは開けられた距離を一歩で詰めると、左腕に握った大鋏を叩き付ける。 つーはそれに対し、真っ向から巨大なナイフをぶつけた。 二つの重い刃がぶつかり、双方の手に痺れが走る。 从#゚∀从「確かに私一人じゃあんたを止めきる事は出来ないがな、こっちは三人だ! 私一人で止めきる必要はない―――私は数秒あんたを止めれば、隙を作れば良いんだよ! つまりな……!!」 そこでハインは、鉈ナイフを思い切り弾いた。 二人に同じだけ、小さくない隙が生まれ――― 从#゚∀从「こういうやり方もありだ、って事だよ!!」 その時、二つの足音がした。 視線を配れば、つーを挟むようにして、モナーとジョルジュが得物を構えて駆けてきている。 (*゚∀゚)「!!」 つーは一瞬、大きな瞳を更に大きく見開いた。 接近する二人に気付き、すぐには反応出来ない。隙が生まれてしまっている。 なるほど、と、つーは一人頷く。 ハインが一対一を仕掛けてきた目的は、私を倒す事じゃなかった。 崩れてしまった二人の体勢を直す為、そして次の三対一に持ち込む為の行動だったのだ。 (*゚∀゚)「……良いねぇ。遊び相手に認めたんだ、これくらいしなくちゃだよね……!!」 開かれた大きな瞳が細められ、鋭過ぎる笑みが深まった。 左手を腰にやる。金属の擦れる鋭い音と共に、その刃は抜かれた。 その全長はやはり他のナイフとは一線を画し、しかし右手に握る鉈のようなナイフとも明らかに違う。 右手のナイフが重厚なのに対し、引き抜いたそれは薄く細身だ。 故に、破格な刃渡りを持ちながらして、軽い。 普通のナイフを振るうのと大差ないようだ。 鋭く息を吐くと、彼女は両手のナイフを同時に振るった。 一瞬の後、鋭い金属音。 つーは右手の鉈ナイフでモナーを、左手の薄刃ナイフでジョルジュを受けていた。 (#´∀`)「片手で受けきれると思ってるもな!?」 言いつつ、モナーは薙刀を握る腕に力を込めた。 手応えは硬くない、押しきれる。そう確信した、その瞬間。 (*゚∀゚)「いーや、思ってないよ?」 声と同時に、感触が消失した。 有り余った力が行き場をなくし、体勢が崩れる。 上げた視線の中、自身と同じように体勢を崩したジョルジュと、得物を受け流した状態で微笑むつーが映った。 その矮躯がこちらを向く。モナーは慌てて、薙刀を縦に構えた。 直後、一瞬で幾つもの衝撃が薙刀を襲い来た。薙刀を握る指が血を噴く。 つーが両手の得物を超速で叩き付けてきていた。 (*゚∀゚)「ほらほらほらほらァ! どうしたのさ!?」 (;´∀`)「くッ……!!」 モナーは必死に薙刀で攻撃を受けながら、焦燥と共に感嘆を覚える。 この斬撃、速いだけではなく、考えられている、と。 まず右手の鉈ナイフを叩き付け、相手に大きな衝撃を与え、動きを止める。 そこで生まれた隙に、すかさず左手の薄刃を高速で振るう。 この繰り返し。単純なことだが、しかしその速さ・角度は計算しきっているそれだった。 鉈ナイフに気を取られていては薄刃に切り刻まれ、 それを警戒すれば、続けて叩き付けられる鉈ナイフの刃をもらってしまう。 そして一撃でも喰らえば、連続して刻まれるだろう。気が抜けない。 (#゚∀゚)「おいおい、こっちも居るんだぜ!! 無視してくれるなよ!?」 モナーにナイフを叩き付けるつーの背後、ジョルジュが右腕を振り上げた。 間髪置かず袈裟掛けに振り下ろし、しかし刃は虚しく空を切った。 一瞬、唖然。だが、その次の瞬間に脇腹を襲った痛みによって事態を呑み込んだ。 鋭く熱い痛みが脇腹を深く刻み、続いて、鈍器の如く重い衝撃が内臓を蹂躙する。 衝撃に浮いた視界の中、両手のナイフを振るった体勢で、つーが笑っていた。 (;゚∀゚)「げ、ェッ!?」 ジョルジュは軽く吹き飛び、床を転がる。 すぐさま立ち上がるが、内臓を駆け巡った厭な痛みに身体を揺らした。 脇腹に手をやると、そこには二つの切り傷。ぬるりと熱い液体が手を濡らした。 (*゚∀゚)「安心しなよ、一人残らず遊んであげるからさ。あんたも―――」 音は伸びて、旋回する。 そして振り返った先で、甲高い金属音を鳴らした。 大鋏を振り下ろす途中の体勢で固まったハインが、舌打ちを漏らす。 (*゚∀゚)「あんたも、さ」 身を捻り、回転の中で鉈ナイフを横薙ぎにする。 遠心力や重さを利用するような振り方をしているだけあって、威力は高い。 ハインはそれを後退しつつ鋏で受け、流した。 (*゚∀゚)「逃がさないよ!」 言うと、つーはハインの後退にぴったりくっつくような形で追尾する。 その中でもナイフを縦横無尽に振るい続けた。 ハインは後退の脚を止めぬまま、それを何とか捌き続ける。 だがいくら動き、捌いても、つーの追尾は終わりを見せなかった。 連撃は途切れず、速度だって遅れる様子がない。 どうしても振り切れない。 逃げ続けるのは得策ではないか。ならば。 (*゚∀゚)「ほらほらほらほら! 逃げてるだけで良いのォ!? そんなんじゃあなたの大好きなつーちゃん、助けらんないよォ!?」 鉈ナイフを跳ね上げた。ハインは身体を大きく仰け反らせて回避する。 同時に脚を止め、大鋏を振り上げた。これでもかと引き絞り、狙いを定め 从#゚∀从「うるっせぇんだよ!!」 そして、大鋏が振り下ろされた。 振り上げ、引いた分、刃に秘められた威力は高められている。 少なくとも、受けきれるようなものじゃあない。 つーはそれを、一歩の後退で回避した。 大鋏の刃は彼女の眼前を虚しく斬りつけて、床へと叩き付けられる。 彼女が嘲笑の笑い声をあげようとして――― 从#゚∀从「助けるってな、言っちまったんだよ! クソッタレが!!」 叩き付けられた大鋏が、軽い金属音を鳴らした。 次の一瞬にはそれが二本の歪剣へと分離し、その内の一本が踏み込みつつ跳ね上げられている。 (*゚∀゚)「!!」 大鋏から分離したことによって歪剣は軽さを得て、軽さは速さになる。 予想以上に速いその剣筋に、つーは反応しきれなかった。 後退しかけた妙な体勢のまま、上半身だけで何とか、左腕の薄手のナイフを振るう。 黒の歪剣とナイフが、正面から衝突した。 一瞬の拮抗の後、ナイフは唐突に、刃の向きを変える。 歪剣は僅かに軌道を変えられ、つーの肩と頬に線を刻んで抜けた。 从#゚∀从「約束は守る主義なんでね! お前には―――何としても、諦めてもらわなきゃならねぇ!!」 更に踏み込み、白銀の歪剣を振り上げる。 対してつーは、ようやく一歩を後退しきったところだった。 後退、及び回避の選択肢は失われている。 ならば、と彼女は右腕を引き絞った。 (*゚∀゚)「なら、何としても諦めてやんないことにしたよ!!」 身体を旋回させながら、振り上げた。 二つの刃が、再度衝突する。 自身の重量に遠心力と腕力を加えられた鉈ナイフは、振り下ろされた歪剣を容易に弾いた。 大きく一歩を飛び退り、しかしそこで脚を止める。 無理な体勢からの攻撃は、彼女の脚に少なからず負担をかけていた。 (#´∀`)「ここだもなッ!!」 脚の動きを止めたつーに、モナーが突撃した。 つーは一瞬驚いたような表情を浮かべるが、しかしすぐにまた笑みを浮かべる。 (*゚∀゚)「オーケィ! 遊んであげようじゃん!」 从#゚∀从「おいコラ、よそ見してんじゃねぇぞ!!」 前に視線を向ければ、二本の歪剣を接合させたハインが駆けてきていた。 大鋏を腰高に構え、僅かに引いている。振るう直前だ。 (*゚∀゚)「あんたも遊んでやるからさ、慌てるなって。ちょっと待ってなよ!」 だが、つーは彼女が大鋏を振るう前に、体勢を低くして一歩を飛び込んだ。 巧みに動いて、彼女の懐に潜り込む。 そして間髪置かず、目の前のハインの腹部に回し蹴りを捻じ込んだ。 ハインは息を詰まらせ、苦鳴を喉から漏らしながら吹き飛んだ。 (#´∀`)「もなぁぁぁあぁぁあぁぁあぁっ!!」 直後。横、すぐそこから声が響いた。 距離にして五メートル。得物の長さを含めると二歩ほどの位置だろう、と彼女は思考する。 視線を向ければ、まさにその位置で、モナーが薙刀による突撃体勢にあった。 (*゚∀゚)「よし、次はあんただ!」 モナーの突撃は、しかしつーの横への小さな動きで躱される。 勢いを付け過ぎたモナーの身体は急停止出来ず、つーの横を抜けた。 (*゚∀゚)「ははは! 何してんのさ!!」 つーは通り過ぎた彼の背に牙を突き立てようと振り返って――― (#´∀`)「こうするんだもな!!」 モナーはそこで、脚を床に突き立てて急停止。 腰を回転させて振り返ると、まるで大鎚を叩き付けるかのような動きで薙刀を振り下ろした。 遠心力、得物の重さ、腕力などが限界まで利用された、全力の一撃だ。 つーはそれに対し、咄嗟に二本の刃を交差させて掲げる。 耳どころか頭までもを痛ませるような、凄まじい金属音が鳴り響いた。 果たして、つーの左手の薄刃の刃は折れ、そしてモナーの薙刀は止められた。 信じられなかった。あの攻撃を、どうして受けきる事が出来たのか。 受ける瞬間にナイフを引いた事、最も威力の低い箇所を狙った事など、すぐに気付ける要因はあった。 だがモナーにそれは気付けなかった。全力を止められたという事実が、じわじわと厭な感触となって精神を蝕んでいく。 (*゚∀゚)「おやおや。こんな小さな子に止められちゃったねぇ」 にやりと、上目遣いにモナーを見ながら、つーは笑った。 モナーが冷静であったなら、その表情がやけに堅いこと、汗が浮かんでいることに気付けた筈であった。 彼女もまた、無事ではなかったのだ。 受けてしまったとんでもない衝撃は、彼女の身体を酷く軋ませた。 威力を出来る限り逃がしても、これだ。つーもまた、モナーに対して信じられない思いを抱いていた。 二人の精神へのショックは、ほぼ同程度だった。 しかしつーの方が一枚上手であったが故に、現状はつーの方に傾く。 つまりは、有効打への先手。ひいては、攻撃の流れを掴む権利だ。 (;´∀`)「くっ!!」 焦ってしまったモナーは、空いているつーの脇腹目掛けて脚を横薙ぎにする。 しかしつーはそれを容易に回避。 動きの流れの中で、振り下ろされたままの薙刀の柄を掴んだ。 (*゚∀゚)「ダメダメだね。蹴りってのは、こうやってやるんだよ」 掴んだ柄を引っ張りつつ、つーはモナーの顔面目掛けて回し蹴りを放つ。 モナーはそれを受けようと腕を縦に構えるが、しかしつーの脚は彼の腕の直前で軌道を急変更。 脇腹へと叩き込まれた。 (;´∀`)「がっ―――!」 (*゚∀゚)「ね?」 モナーは脇腹に手を当て、身を僅かに折る。が (#´∀`)「―――ぁぁぁぁあ!!」 次の一瞬。身を引き起こし、一歩を踏み出しながら、ベルトに仕込んでおいた小太刀を引き抜いた。 まるで居合いのような動きと速度だ。 が、しかしそれも上半身を大きく反り返らせることで回避される。 (*゚∀゚)「残念、見え見えだよ」 その体勢のまま、つーは笑みを含ませて言った。 モナーは更に脚を踏み出し、踏み込むのと同時に喉向けて小太刀を振り下ろした。 その体勢ならば躱せまい。 彼の思惑は、しかし次の瞬間に打ち砕かれる。 (*゚∀゚)「これもダメー。動きの先が見えちゃってるよ」 大きく身を反らした状態のまま、つーは右手の鉈ナイフを振り上げていた。 彼女自身は小太刀をまるで見ていないというのに、その刃は見事に小太刀を捉えている。 そして不自然な体勢にも関わらず、微動だにしていない。 次の一瞬、つーの左腕が跳ね上がった。 握られた拳はモナーの頬へと伸び、音高くそれを殴りつける。 そして返す裏拳で二撃、更に三・四撃と重ねた。 威力は弱い。明らかに、本気ではなかった。 そして彼女は、何とも可笑しそうに笑っている。 (#´∀`)(馬鹿にしているもなッ……!?) 歯を噛み縛り、鉈ナイフに押し当てていた小太刀を引いた。 そして再度振り下ろそうとしたその瞬間、 突如、反らされていたつーの上半身が勢い良く持ち上がる。 驚愕に、僅かだが身を引く。 その次の瞬間には、彼の頭蓋に回し蹴りが叩き込まれていた。 (;´∀`)「がっ!」 (*゚∀゚)「パンチに気が向いちゃってたでしょ。ダーメだって、冷静に戦わなきゃさ!」 彼女の言葉は、苦鳴を漏らして吹き飛ぶモナーにはおそらく届いていないだろう。 つーは手の中でくるくるとナイフを回すと、そのままモナーへと歩む。 トドメを刺すつもりだ。 その時。彼女の背後、ジョルジュが無音でショートブレードを振り上げた。 袈裟掛けに振り下ろす。だが (*゚∀゚)「あーあー、惜しいけどダメだね。音がなくても、殺気がビシバシ来るんだよ!」 体勢を低くして前へと踏み込んだ彼女を掠るようにして、橙の刃は抜けた。 彼女は踏み込んだ脚を方向転換。 それを軸脚に、身体を反転させてジョルジュへと床を蹴る。 そして左腕でベルトからナイフを引き抜きつつ、横薙ぎに振るった。 高く鋭い風切り音。尋常じゃなく、速い。 避けられる筈がない。つーは刃を振り下ろしながら確信する。 だがそのナイフは、ジョルジュの脇腹を僅かに抉っただけだった。 (*゚∀゚)「――――――!?」 (#゚∀゚)「相手を舐めてかかるのもダメなんじゃねぇの!!」 異音。右腕のショートブレードが、一瞬で巨大な鉤爪へと変わる。 手を開いて、思いきり振り下ろした。砕いた床の感触の中、しかし肉の感触はない。 ふと、右から鋭い風切り音。 思考するよりも速く、ジョルジュの上半身が左へと折れた。 不自然な体勢になった彼の右半身を撫でるように、ナイフが振るわれた。千切られた数本の茶髪が宙に散る。 ジョルジュは上半身を戻しながら、その動きに合わせて、鎌に変えた右腕を横薙ぎにした。 三日月の刃が首へと迫り、しかし間に差し込まれたナイフによって止められる。 つーの右手が翻った。鉈ナイフが、常人ではどうしようも出来ない速度と破壊力を以て薙ぎ払われる。 だが重厚な刃は抜けた。ジョルジュの首に触れようとしたその瞬間に、彼が消えたのだ。 (#゚∀゚)「危ねっ……!」 彼はしゃがみ込んで、それを回避していた。 異音。一瞬で、彼の鎌の右腕が突撃槍へと変わる。 ジョルジュはその体勢から跳ね上がるようにして、つーへと突撃した。 重い鉈ナイフを振り抜いて、つーにはどうしようもない隙が出来ていた。 避けるだけの余裕はない。 だが (*゚∀゚)「ひゅー、やるじゃん」 彼女の肉体に、槍が突き立つ事はなかった。 橙の突撃槍は、彼女の脇に挟まれていた。 彼女が動いたのは、僅か数センチだろう。 槍の先端には血も付着している。もう少し彼女の動きが遅ければ、その刃先は心臓を抉っていたかもしれない。 (;゚∀゚)「……マジ、かよ」 (*゚∀゚)「見ての通りだね!」 言いつつ、つーは槍を右腕で掴んで後方へ引いた。 唖然としていたジョルジュは、為す術もなく一歩を誘われてしまう。 それと代わるように踏み込んで、つーはジョルジュの首筋へと肘を叩き込んだ。 (;゚∀゚)「げ……ッ!!」 息が詰まり、全身から力が抜ける。 その隙につーは彼の懐へと潜り込むと、両腕で彼の右腕を握った。 次の一瞬、投げ飛ばす。彼の身体は、数メートル先で床に手を突いているモナーにぶち当たった。 (*゚∀゚)「さて、と」 呻きながら床を這う二人を見て、額から流れる汗を拭いつつ、安息の溜息を一つ。 直後。その身が後方へ旋回し、その流れの中で彼女は後ろ回し蹴りを放った。 風を鋭く斬りつけるその脚先は、今まさに飛びかかろうとしたハインの動きを一瞬、停止させる。 その一瞬で十分だった。 つーはハインの懐へ飛び込み、そのまま右肘を突き出す。 腹部を抉られたハインは、苦鳴と共に身を折った。 自動的に、つーの目の前に彼女の顔が来る。 (*゚∀゚)「おやおや、悪いね。わざわざ差し出して貰っちゃって」 突き出していた右肘を、そのまま突き上げた。 ハインの顎は衝撃にかち上げられ、彼女の身体は無防備にも持ち上がってしまう。 そしてそこに、左腕が正面から叩き込まれた。 从;゚∀从「がッ……!!」 声は液体の音を伴っていた。 血を吐きながらも、しかし彼女の表情は揺らがない。 どころか、牙を剥いて睨みつけた。つーが、わざとらしく身を震わせる。 (*゚∀゚)「おーおー。流石、頑丈だねぇ。殴ってるこっちが痛いよ。 ま、それくらいの方が楽しめるから良いんだけどさ!」 言いながら、左腕でアッパーカットを繰り出した。 それはまたもハインの顎へと伸びて、しかし上方へ抜けた。 (*゚∀゚)「!」 从#゚∀从「余りにも安易過ぎだってんだよ、タコが!」 ハインはつーの拳を、身を反らして回避していた。 彼女の瞳は、つーが僅かながらも驚愕している事を見抜き、 そして同時に、下方から腹に向けてもう一方の拳が伸ばされているのを捉えていた。 跳ね上げた脚で、その拳を蹴り弾く。 そのまま振り上げ、そして振り下ろした。踵がつーの頭蓋へと迫り――― (*゚∀゚)「…………ッ!!」 間一髪、掲げた右腕で受けた。 だが衝撃は小さくなかったようだ。 表情が苦々しく歪んでいる。 だがそれも一瞬。 次の瞬間には、彼女は踏み込みながらのフックを撃ち込んでいた。 防御が間に合わず、ハインは吹き飛ぶ。 (#゚∀゚)「おらおらおら! 次行くぞ次!!」 背後からの声で、つーは笑いながら振り返った。 (*゚∀゚)「……はん! 望むところだねぇ!!」 ジョルジュは駆け寄ると同時に、ブレードの右腕を振り抜いた。 つーはそれを最小限の動きで避けると、両手を叩いて手招きをする。 (*゚∀゚)「ほらほら、おいでよ! 根性見せてよ根性!! 『無性に気に入らない』んでしょ!? やってみせてよ!!」 (#゚∀゚)「言われずとも!!」 応じると、彼は右腕を槍へと変えた。 そして突撃する。 リーチの長い得物は彼女の喉へと向かい、しかしそこで空を貫いた。 (*゚∀゚)「甘いんだよ! 二度目の突撃なんか喰らうかって!!」 ほとんど這うような低姿勢で、彼女は床を滑った。 彼女の身はジョルジュの足元を抜け、ナイフを振るいながら、背後へ。 それに気付いたジョルジュは、必死で身を捩った。それでもナイフの刃先が脇腹を掠め、血煙が舞う。 (*゚∀゚)「本当に、よくこうまでも避けられるねぇ!? ちょこまかとさァ!!」 (;゚∀゚)「それはテメェにも言える事だろうが!」 背後を取られたジョルジュは、言いつつ全力で後退のステップを踏んだ。 それを追いながら、つーは鉈ナイフを引き抜き、横薙ぎにする。 ジョルジュは上半身を引き、更に首まで後方に傾けた。 鼻先をナイフが掠め、抜けていく。 気付かぬ内に壁に寄っていたらしく、鉈ナイフは横の壁にその牙を突き立てた。 壁には凄まじい傷痕が残り、なお恐ろしいのは、振り抜かれる鉈ナイフにほとんど停滞が生じなかったことだ。 どれほど重く、そして鋭いというのだろうか。 (*゚∀゚)「逃がさないよー!!」 つーはナイフの重みに任せて旋回し、前進したまま後ろ回し蹴りを放った。 その脚の動きに合わせるようにジョルジュも旋回し、回避する。 つーの脚は壁を捉え、そしてそれを蹴りつけた。 彼女の矮躯が跳び上がり、そしてジョルジュの真上で落下を始める。 つーは器用に身を捻って上下を逆転し、鉈ナイフを床に向けた。 体重と速度とを乗せたその刃を、ジョルジュは避けられない。 (;゚∀゚)「―――クソが!」 咄嗟に、右腕を盾にして上に構えた。 直後、耳に痛い金属音が上から響き、重い衝撃が身体に走る。 (#゚∀゚)「邪魔なんだよ!!」 彼女を振り落とそうと、右腕を振るった。 だが直前、彼女は自分から盾を蹴り、距離を取って着地する。 不意に重さを失ったジョルジュは踏鞴を踏んだ。 (*゚∀゚)「良いね! よっしゃ、どんどん行くよー!!」 (#゚∀゚)「……本当に、どこまでもイラつかせてくれる野郎だ。 来いよ! ぶっ潰してやる!!」 再度、腕をブレードに変えて、ジョルジュは彼女に対峙した。 (;´∀`)「……おかしいもな」 二人の戦闘を遠目に見て、モナーはそう漏らす。 ハインとの戦闘で感じたものと同種の違和感を、彼は感じていた。 即ち、この戦闘差を以てして、何故淘汰出来ない? と。 つーは強い。 何といっても彼女の“力”は、戦闘に最適の人格を創る“力”だ。 それに異能者の肉体が備われば、確かに尋常でない強さはあるだろう。 だが、この三人が居て、どうしようも出来ないほどに圧倒的な“力”だろうか? 両腕の“力”を備え、“管理人”でもトップクラスの戦闘力を持つハイン。 それに、天性の反射神経と型無しの“力”を持つジョルジュと、自分だ。 自分の力を信仰している訳ではないが、果たして自分達の全力は彼女に届かないのだろうか? 現にこうして、一対一でもそれなりの戦闘は繰り広げているではないか。 例えそれが、彼女が多少の手加減をしているとしても、だ。 ならば何故、三対一のこの状況で、自分達は圧倒されている? ハインの時はどう応じた? この状況では――― (;´∀`)「ぐッ……!!」 その時、酷い頭痛が彼を襲った。一瞬、目の前にモザイクがかかる。 歯を噛んで、頭を振る。全身の痛みと疲れで、頭の回転が鈍い。 身体も重かった。人間の身体で、異能者とこんなにも長くやりあっていては、疲れても当然だろう。 ( ´∀`)「……人間の、身体?」 ふと、そこで思考が何かに辿り着いた。 目の先で跳ね回る、つーの身体を観察した。 やはり速い―――が、よく見てみれば、戦闘の初期よりも格段にスピードは落ちている。 力もだ。あの、馬鹿のように重厚なナイフを振るうのが遅くなっている。 そこで再思考する。彼女の“力”は何だ、と。 戦闘に最適な人格を創る異能。 これはつまり、身体に作用するのではなく、脳に作用する“力”ではないだろうか? ハイン達のような“力”は肉体作用型。或いは肉体強化型だ。 “力”は四肢から全身に作用し、戦闘に向いている肉体を作り上げる。 ただし脳にはあまり変化がない。五感がすぐれ、生存に関する思考が多少速まるくらいだろう。 だが、つーは? 見る限り、肉体に見た目の顕著な変化はない。 クックルのような全身強化、という事もないだろう。 ならば彼女の“力”は、モララーのような脳作用型。或いは念動強化型だ。 それならば、肉体の強化はほとんど為されていない筈。 せいぜい全身の筋力が多少上昇しているくらいだろう。 つまり、彼女の運動能力は異能者と人間の中間ほどという事だ。 それに、彼女の肉体はかなり小柄な少女の物ときた。 如何に戦闘に特化した存在でも、それならば。 ( ´∀`)「その“力”と身体なら、ダメージは蓄積する……。 跳ね飛び、受け、駆ける内に、疲れだって蓄積するもな。 その状況で、彼女が僕達に対応するには」 从 ゚∀从「私みたいに一対一に持ち込むしかない、ってか」 (;´∀`)「!?」 いつのまにか、すぐ後ろにハインが立っていた。 顎から血が滴り落ちている。 彼女の眼はモナーではなく、つー達の戦闘を―――否、更にその奥の何かを見ていた。 从 ゚∀从「二対一、三対一の状況でも、上手く立ち回って一対一にしてる。 そりゃ圧倒される訳だわ。……だろ?」 ( ´∀`)「その通りだもな」 从 ゚∀从「ったく、何で私は気付かなかったかね。 あいつは私と同じ戦り方をしてたっつーのに」 不敵な笑みを浮かべ、軽く言いながらも、その表情は幾分か苦い。 責任を感じているのだ。 ( ´∀`)「自分自身じゃ気付けないものだもな」 慰める気があるわけでもないが、気付けばそう呟いていた。 どこか近い臭いのする彼女を、放っておけなかったのだろうか。 从 ゚∀从「はん、そうかい。にしても、あんたやっぱ鋭い。良いねぇ。 ……今回ばかりは、あんたが味方で良かった。 私一人じゃ、気付けなかった」 ( ´∀`)「認めたくないけど、同感、だもな。 君が味方じゃなかったら、気付けてもどうしようもなかったもな」 从 ゚∀从「そうかい。初めて意見が合ったな」 言うと、ハインはモナーの背を軽く蹴りつけた。 从 ゚∀从「おら、立てや人間。―――あの化け物、何とかしに行くぞ」 (*゚∀゚)「ほらぁ! どうしたどうしたー!?」 (#゚∀゚)「ッチィ!」 つーが横薙ぎにした鉈ナイフを、左腕に残るプロテクターで受けた。 左腕から全身に、壮絶な衝撃が抜ける。噛み締めた歯が軋んだ。 脚で床を踏み締めて耐える。気を抜けば、すぐにでも吹き飛ばされそうだった。 息を吐く間もなく、逆側からもナイフが迫る。 ジョルジュはそれを直前で回避すると、後ろに床を蹴った。 距離を取る。あまりにも接近されると危険だ。 (;゚∀゚)「……どうしたもんかね、こりゃ」 小さく漏らす。 圧倒的だった。攻撃が全くと言って良いほど届かないのだ。 こちらも何とか致命傷は避けているが、それも長くは持たないだろう。 彼女の刃は確実に、迫りつつあった。 (*゚∀゚)「おやおや、引いちゃうんだ。腰抜けめ」 ナイフを握った両手を軽く広げて、そう言った。 (*゚∀゚)「おいでよ。私がイラつくんでしょ? どうにかしたいんでしょ? 言ったことには責任持ちなよ。吐いた唾は呑めぬ、ってね」 (;゚∀゚)「…………………」 (*゚∀゚)「何なら、私から行こうか?」 笑って、一歩を踏み出す。 ジョルジュはそれを見て、顔を顰めた。 (;゚∀゚)「くっ……!」 やるしかない。そう確信した彼は、その身を僅かに沈めた。 脚に力を込め、床を蹴りつける。 从 ゚∀从「待て、ジョルジュ!」 だが、直後に背後からかかったその声に、動きをぴたりと止めた。 ( ゚∀゚)「……どうした」 从 ゚∀从「戦り方を変えるぞ。ちょっとこっち来い」 掌を上に向け、人差し指で呼び寄せるジェスチャーを取る。 (*゚∀゚)「何々、作戦会議? させると思う?」 从 ゚∀从「安心しろよ、一瞬で済む。 良いだろ? お前には、余裕、あるんだから。 そうしたら、お前をもっと楽しませてやるよ。必死にならざるを得ないくらいに、な」 言って、口を三日月にした。 その笑みに、つーは不快そうに口を噤む。 虫が、何を笑っている。 ふざけるな。虫は虫らしく、床を這っていれば良いのだ。 そして絶望しろ。その表情こそが、一番見たいものなのだ。 ……ここで余裕を与えず、一方的に叩き潰すのも良いが、しかし物足りない。 奴らに一握の希望を与えてやっても良い。その方が、現実を見せた時の絶望が大きいというものだ。 そうだ、それが良い。ここで動いて、怯えたとでも判断されるのも癪だ。 (*゚∀゚)「ま、良いよ。どうせ何も変わらないさ」 从 ゚∀从「は、ありがとうよクソ虫様」 そう返すと、ハインは歩み寄ってきたジョルジュに数言を耳打ちする。 ジョルジュは最初、複雑な顔をしていたが、説明を聞く内に表情を明るくした。 ( ゚∀゚)「はーん、なるほど。難しいことじゃなかったんだな」 从 ゚∀从「そういうこった。よっしゃ、位置に着け」 ( ゚∀゚)「あいよ」 頷くと、彼はハインの横に距離を取って並ぶ。 丁度、ハインを中心にして三人が等間隔に並ぶ形だ。 (*゚∀゚)「終わったの?」 从 ゚∀从「あぁ。じゃあ、行かせてもらうぜ!」 声と同時、三人が一斉に駆け出した。 つーはそれを見ると、高らかに笑い声を上げる。 (*゚∀゚)「三人で囲むって? 何にも変わってないんじゃないの!?」 鉈ナイフを振り上げた。目の前、大鋏を受ける。 同時、背後にスローナイフを飛ばした。 そこにモナーが動いた事は把握している。 大鋏を弾き飛ばしつつ、背後へと向いた。 モナーは薙刀でナイフを弾き飛ばすだろう。 その隙を突いて攻撃するつもりだった。それだけで、この陣は崩れる。 だが、彼女の読みは外れた。 投げたナイフは弾き飛ばされる―――が、薙刀にではない。 横合いから伸ばされた、橙の網のような物によってだ。 ( ゚∀゚)「残念でした!」 それが伸ばされたジョルジュの右腕であることは明確だった。 つーは、思わず舌打ちを漏らす。 (#´∀`)「もなぁぁぁあぁぁあぁぁあぁ!!」 (*゚∀゚)「っ!」 踏み込みからの、薙刀での唐竹割り。 受けられる威力じゃない。咄嗟に、横に動いて躱した。 即座、隙の出来たモナーにナイフを見舞おうと、右腕を振るう。 从#゚∀从「させるかよ!!」 だがすぐ背後から声が聞こえ、続いて風切り音が聞こえた。 この速度じゃあ避けられない。仕方なしに、鉈ナイフの軌道を変更する。 金属音。鉈ナイフは間一髪のところで、大鋏を受け止める。 (*゚∀゚)「はいそこっ!!」 そこでつーは唐突に、左腕を折りつつ背後に思いきり引いた。 振られた肘は、そこに迫っていたジョルジュへと迫り (#´∀`)「お見通しだもな!」 ジョルジュの前に滑り込んだモナーの、縦に構えた薙刀の柄によって止められる。 つーに生まれる僅かな隙。 そこにジョルジュは、モナーの後ろから槍と化した右腕を伸ばした。 (*゚∀゚)「チィッ!」 つーはそれを、ナイフで横に往なす。 だが、そこで槍がぐにゃりと変形した。 まるでロープか蛇のように腕に巻き付き、そしてそこに力が加えられる。 (*゚∀゚)「!?」 しまった、と思った時には、身体が横に引っ張られていた。 投げ飛ばされたのだ。 堪える事も出来ず、脚が床から離れる。 そのチャンスを見逃さんと、すかさずハインが駆け寄ってきた。 つーは素早くナイフを数本抜くと、空中でハインに投擲する。 だが、彼女は構わず大鋏を振るった。避けようとも、受けようともしない。 身体にナイフが突き立つ。表情を歪めるが、剣筋は遅れない。 つーは必死に、空中で身を捩った。それでも脇腹を刃先が掠り、血煙が舞う。 从#゚∀从「浅かったか!」 踏み込み、再度大鋏を振り上げた。 だがそれを振り下ろす直前に、つーが床に着地する。 そして即座に跳ね上げられた鉈ナイフによって、大鋏は弾かれた。 (*゚∀゚)「欲張ると痛い目を見るよ!」 ハインに生まれた隙に、つーは回し蹴りを放つ。 彼女の脚先は鋭く肩を捉え、その衝撃にハインは体勢を崩した。 (*゚∀゚)「はい、早々に一人脱落ゥー!」 声高らかに叫んで、つーは腰高にナイフを構える。 だが、そこで見た。 不安定に傾いた体勢でこちらを見るハインの口元が、僅かに笑っている。 不審さを感じ、瞳を上げ―――大きなその瞳が、更に見開かれる。 (#´∀`)「それは、お前だもな!!」 彼女の身の影から現れたモナーが、薙刀を振りかぶっていた。ハインは囮だったのか? 鋭く光を返す片刃。さきほどの薙刀の一撃の威力が、脳裏をよぎる。 危険だ、と判断。だが避ける時間はない。咄嗟に、鉈ナイフを振り上げた。 壮絶な反動を予期していた。が、それは裏切られる。 薙刀はあっさりと止められた。 彼女の眉根が怪訝そうに詰められ、そして次の一瞬、焦燥に眼が細められた。 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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