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異能者@ お知らせ 問題の方はどうなりましたでしょうか
☆こうさま@ Re[1]:お知らせ(12/05) ご意見有難うございます。 よくよく考え…
異能者@ Re:お知らせ(12/05) いつもまとめてくださり、本当にありがと…
☆こうさま@ Re:メリークリヌマス(12/25) よく考えたら昨日この記事を書いておけば…
*DELAY*@ メリークリヌマス クリスマスは終わってしまったので 来年…

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☆こうさま

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Mar 9, 2007
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カテゴリ:カテゴリ未分類
18 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/17(土) 11:44:06.01 ID:KaUUj71H0
( ゚∀゚)「……おおう?」

奇異な声が至近距離から聞こえてきたので顔を上げてみる。
そこに、だらしなくスーツを着こなしている中年親父の典型みたいな男が立って、こちらをのぞきこんでいた。
息がやたらと酒臭い。

( ゚∀゚)「なんだお前……ホームレスか何かか?
     いや、それにしちゃあ知的な顔してるよな」

驚くほど馴れ馴れしい口調で話しかけてくる男。
一つ訂正したい。私の顔は知的でなく、病的の方が正しい。
どうやら五十過ぎらしい中年男は私に興味を持ったらしく、更に言葉を続けた。

( ゚∀゚)「俺はジュルジュってんだが、お前は?」

( ・∀・)「……モララー」

何も考えずに答えてから、しまったと心の内で呟いた。
ここは二十年後の世界である。
もしかしたらこの男は私のことを知ってしまっているかもしれない。
あまつさえ、知り合いである可能性すら存在するのだ。

20 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/17(土) 11:44:50.20 ID:KaUUj71H0
だが、男は私の身分に気づいた様子もなく、ただ知らねえな、と呟いただけだった。
私にも彼に見覚えはない。
安堵している私に、しつこい男の質問は続いた。

( ゚∀゚)「行く場所、ねえのか?」

( ・∀・)「……特に、どこにも」

( ゚∀゚)「ホームレスなのか?」

( ・∀・)「住むべき家はおそらくありません」

あまりのしつこさに立ち去ってやろうかと思う。
しかし体が地面に粘着し、なかなか離れない。
のしかかる疲労の中、だんだん男の言葉が曖昧に聞こえてきた。
だから私も曖昧に返事をし続けた。どうせ、大したことのない問答だと思いこんでいたのだ。
しかし、次の瞬間男は私の腕を引き強引に立ち上がらせた。

( ゚∀゚)「じゃ、行くか」

( ・∀・)「……どこに?」

( ゚∀゚)「言っただろう?
     バーボンハウスだ、すぐそこにある」

22 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/17(土) 11:45:06.62 ID:KaUUj71H0
いつの間にか、どこかへ行く案配になっていたらしい。
この歳になって誰かに手を引かれるというのもなかなか味わえないものである。
かといって、決して味わいたくないが。

歩くこと五分。
三階建ての小さなビルのような建造物が目に入った。
一階部分に「バーボンハウス」と英語で記された看板が輝いている。
その前で男は立ち止まった。どうやら、ここが目的地らしい。

鈴の音が扉の上部から響き渡った。
カウンターに立つ若い男が軽くお辞儀をした。

(´・ω・`)「……いらっしゃい」

( ゚∀゚)「おう、しょぼん。五日ぶりぐらいだな」

23 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/17(土) 11:45:37.75 ID:KaUUj71H0
それほど広くない店内にはカウンターに椅子が六つ。
そしてテーブルが二つとそれぞれに椅子が四つ。
内装は喫茶店のようで、だが若い従業員の背にある棚はバーのようで。
カフェバーというやつだろうか。
クラシック音楽が流れ、非常に落ち着いた雰囲気が漂っている。

従業員は彼一人なのだろうか。だとすれば、彼が店主か。
私と同程度の若さだということに、少々驚きを覚える。

促されるままカウンター席に座り頬杖をつく。
隣で行われる会話はほとんど耳に入らなかった。
しかし、男が従業員に一方的に話していることはなんとなく感じ取れた。
だが一部分、そこだけ妙に大音量で耳を刺したような気がした。

( ゚∀゚)「ついにこの前の日曜日、家内に逃げられちまったよ。しかも子供たちまで連れてな
     ……いや、そりゃ俺も悪いとは思うぜ?
     毎日毎日飲んだくれてよ、でもそいつは性分だから仕方ねえよな。それに金はちゃんと家に入れてるってんだ。
     ……ったく、家事なんて俺、生まれてこの方やったことねえんだ。これからどう生きろって言うのかね」

24 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/17(土) 11:45:55.98 ID:KaUUj71H0
直後、従業員が私の顔を観察していることに気づいた。
気取られただろうか。

以後も会話は続き、私は暇を持てあましていた。
ここにきて眠気が襲ってくる。
そして睡眠の中に落ち込みそうになったとき、男が席を立つ音が聞こえた。

( ゚∀゚)「帰るわ」

閉まる木製の扉。鈴が鳴る。静かな店内に二人取り残された。
店主は私を見やりながら片付けを始めた。
……なんなのだろう、この状況は。


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Last updated  Mar 9, 2007 10:20:28 PM
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