( ^ω^)ブーンが砂浜に流れついたようです (第一話後半)
23 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:17:48.03 ID:DI9t9WsyO 人じゃない その言葉はブーンに突き刺さった 空気を吸い 呼吸をし 地上を両足で踏み締め 両手で自分を抱き締めることもできる 自分は存在しているのに 自分の考え感情を表に出す事が許されない 人とは違う力を得たために 人として存在が認められない 人としての禁忌を犯したために ブーンの頬を涙がつたった 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 02:27:03.34 ID:DI9t9WsyO ( ,,゚Д゚)「ブーンっおいブーンっ!」 (;^ω^)「はっ、なんだおギコ」 ( ,,゚Д゚)「お前…任務移動中に寝るとはどんな神経してんだよ」 ここはDQN村に向かうヘリの中である (#^ω^)「ねてないおっ、ちょっと目を瞑って考えごとをしてただけだおッ」 ( ,,゚Д゚)「ほんとかゴルァ」 ( ^ω^)「第一人を殺しに行くのに寝れるわけないおっ」 ( ,,゚Д゚)「人殺し?ちがうな」 ブーンはギコを見やる ギコはつづける 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 02:34:41.13 ID:DI9t9WsyO ( ,,゚Д゚)「俺たちは研究材料をだな取りに行くんだよ」 (#^ω^)「ギコまでそんなこというのかお…?この任務を正当化するのかおっ!」 ( ,;゚Д゚)「なんでそんなに怒るんだよ?」 ( ^ω^)「なんでって…僕らも人だったお」 ブーンは言葉を詰まらせる ギコは不思議そうにブーンをみつめる ( ,,゚Д゚)「俺たちが人だったってのは過去の話だろ?それに過去の記憶だって消されてるしよ」 26 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:42:23.17 ID:DI9t9WsyO ブーンは俯く 確かにそうだ ブーンの記憶はここに来てからのものしかない ( ,,゚Д゚)「だからそんなに深く考えることは無いって、今や俺たちは兵器だし」 ( ^ω^)「兵器…」 ( ,,゚Д゚)「お前やさしすぎんだよ、向いて無いんじゃね?」 ははっ とギコは笑いながら言った ( ^ω^)「―そうだお」 すくっとブーンは立ち上がる ( ,,゚Д゚)「あ?」 ( ^ω^)「僕は向いて無いんだおっ人殺しなんて出来ないおっ!!!」 ( ,,゚Д゚)「何を今更―…」 27 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:43:05.85 ID:DI9t9WsyO ブーンは俯く 確かにそうだ ブーンの記憶はここに来てからのものしかない ( ,,゚Д゚)「だからそんなに深く考えることは無いって、今や俺たちは兵器だし」 ( ^ω^)「兵器…」 ( ,,゚Д゚)「お前やさしすぎんだよ、向いて無いんじゃね?」 ははっ とギコは笑いながら言った ( ^ω^)「―そうだお」 すくっとブーンは立ち上がる ( ,,゚Д゚)「あ?」 ( ^ω^)「僕は向いて無いんだおっ人殺しなんて出来ないおっ!!!」 ( ,,゚Д゚)「何を今更―…」 28 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:46:59.75 ID:DI9t9WsyO と フッと ブーンの姿が消える あわててギコが振り向くとブーンは走り出していた ( ,;゚Д゚)「おっおい! ブーンっ空の上だぞっブーン!!!」 ブーンはそんな叫びも気にも止めずただ 出口扉を目指す もうすぐ と言う時にドクオが目の前に立ちはだかった 29 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:54:04.31 ID:DI9t9WsyO ('A`)「何をやっている早く自分の場所へ戻れ」 ( ^ω^)「…そこを退くおドクオ」 ('A`)「ヘリから脱出するつもりか…馬鹿だな」 ( ^ω^)「馬鹿で結構だお、人を殺すぐらいなら海に落ちて死んだほうがましだお」 ブーンがそう言うとドクオは フッと笑った ('A`)「いや、それくらいでお前は死なねえよ」 ( ^ω^)「!!」 ('A`)「傷さえ負わないだろうな…なんせ人じゃないからな」 ( ;ω;)「…っ黙るおーっ!!」 30 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 02:59:08.05 ID:DI9t9WsyO ブーンは拳をドクオにふりかざした ドクオはそれを軽々と避ける ( ;ω;)「だまるおっだまるおおっ!!」 ブーンは叫び がむしゃらに拳をはなつ しかしそれはどれも空をきるばかりであった そして出口扉前に来た時 ドクオは 顔に飛んで来たブーンの足を 腕で受け止めた 31 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:08:07.57 ID:DI9t9WsyO ('A`)「いい加減にしろブーン」 ドクオが静かに口を開く ('A`)「ここを出て一体何処へ行く?」 ブーンは足を下ろす ('A`)「無いんだよ帰る場所は、ここしかないんだ」 ブーンは拳を強く握った しばらく俯いていたがやがて キッと顔を上げて言い放った ( ^ω^)「それでもいくお」 ('A`)「何を馬鹿な」 ( ^ω^)「記憶も何もない、力を手に入れ人でも無くなったお、でも 僕は人の心は捨てたくないんだお」 ゴウンッ とブーンは出口の扉を蹴破る ('A`)「おまっ…馬鹿!!」 ドクオはブーンに手を伸ばしたが ブーンは既に身をなげていた ('A`)「馬鹿な奴だ…」 海に落ちてゆくブーンを見つめながら ドクオは大きなため息をついた 43 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:28:45.49 ID:DI9t9WsyO チュンチュンチュン… ( ^ω^)「おっ…朝かお…」 鳥のさえずりと共に ブーンは目を覚ました 布団から起き上がり思い切り伸びをする ( ^ω^)「よくねたおーっ」 部屋の窓は開けられており 海が近いせいか 磯野香が風に乗って運ばれて来る ブーンは立ち上がり 窓から外を眺めた (*^ω^)「海だお…きれいだお…」 ξ゚△゚)ξ「海に行きたい?」 くすっと ツンが微笑みながらブーンに問い掛けた 44 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:33:37.63 ID:DI9t9WsyO ( ^ω^)「行きたいおっ!あ…でも今はいいおっまた夜とか…後日いきたいお」 すぐ行きたい という気持ちはあったが 軍から抜け出した事を考えると 明るいうちに行動するのはよくないだろう 昨日の今日であるから 油断はしない方がいい もっとも 一兵員でしかないブーンに追手がくるかは疑問だが 用心に超したことはない 45 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:37:19.24 ID:DI9t9WsyO ξ゚△゚)ξ「そっか?でも…そうね、夜の海も綺麗よ、静かで月の光が神秘的よ」 (*^ω^)「そうなのかお?是非見たいおっ!」 ξ*゚△゚)ξ「見るべきね、見る価値はあるわ!」 二人は顔を見合わせニッコリと笑った ツンの機嫌が良いようなので ブーンは少し嬉しくなった 46 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:41:28.96 ID:DI9t9WsyO ξ゚△゚)ξ「あっそうそう、これ洗っといたから」 ツンが渡したのはブーンが着ていた軍の上下黒の服だった 幸い服には軍のマークが入っていなかったため 軍の人間だったとはバレていないようだ( ^ω^)「ありがとうだお」 ξ゚△゚)ξ「あっ朝食出来てるから食べに来なさいね」 ( ^ω^)「ありがとうだおっすぐいくおっ」 49 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:47:10.68 ID:DI9t9WsyO ブーンが食卓へ行くと美味しそうな和食が置かれていた ξ゚△゚)ξ「早く座って、冷めちゃうわ」 ( ^ω^)「あっはいだお」 ブーンは急いで座り 箸を持って食べようとした すると ドタドタと階段を降りる音が聞こえた ( ゚∀゚)「あーねむい…」 ξ#゚△゚)ξ「ジョルジュ遅いじゃないっ冷めちゃうわよっ」 (;゚∀゚)「あっ悪い悪い…」 そう言うとジョルジュはコップに水を汲み 口に含んだ そのとき 51 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:51:47.25 ID:DI9t9WsyO (;^ω^)「ふっ…二人は同棲してるのかおっ!?」 ( ゚∀゚)「ぶっ!?」 ジョルジュは勢い良く水を吹き出した ツンは箸を持ったまま固まっている (;゚∀゚)「な…なっはあ??」 (;^ω^)「だってここはツンの家だお?なんでジョルジュがいるんだお?」 (;゚∀゚)「確かに、ここはツンの家だけどよ…」 52 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 03:56:57.20 ID:DI9t9WsyO ξ゚△゚)ξ「今ねちょうど大学の夏休みで私達いま里帰り中なんだけど」 こほん とツンは咳払いをしつづける ξ゚△゚)ξ「なのにね、この人は実家追い出されちゃってね~」 ( ゚∀゚)「そうだぜ、弟が今年受験でさ、うるさいって言われて追い出されちゃってよ…ひどくね?」 ξ゚△゚)ξ「うちだって酷いわよ、かわいい娘が帰って来たのに家族は長期旅行に行くとか言って居ないし」 53 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 04:01:59.76 ID:DI9t9WsyO ( ゚∀゚)「まっそんなわけで、ツンの家で世話になってるわけ」 と ジョルジュは腰を下ろしながら言い、いただきます と手を合わせて食べ始める 食事中 ジョルジュが調子の良い事を言うと ピシャッとツンが咎める。 普通の会話 平凡な生活… 自分も人だったころは こんな生活を送っていたのだろうか。 ブーンは ボーッと二人を見つめていた。 55 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 04:07:28.17 ID:DI9t9WsyO ( ゚∀゚)「ん?どうした、なんか付いてるか?」 ジョルジュが顔を上げる ( ゚∀゚)「ツンの顔に」 ξ#゚△゚)ξ「私についてる訳ないでしょっ!!」 再び口論を始めようとした二人にブーンは割り込む (;^ω^)「あっあのっ」 ( ゚∀゚)「んっ?」 ( ^ω^)「僕はいつまで居ていいのかお?」 ξ゚△゚)ξ「そうねぇ…私達がここに居る間はいていいわよ、一か月くらいね」 56 : ◆FuRRIqgrB2 :2006/06/16(金) 04:14:43.42 ID:DI9t9WsyO (;^ω^)「そんなにいて…いいのかお?」 ( ゚∀゚)「だってお前行くとこなさそうだし、大人数のほうが何かとたのしそうじゃん?」 (;^ω^)「でっでも…」 良いのだろうか 自分がこんな普通の人の中の空間にいて ξ゚△゚)ξ「何か問題あるかしら?」 (;^ω^)「ないおっ全然ないおっ!!」 ブーンは立ち上がると 頭を下げた ( ^ω^)「ありがとうだおっ本当にありがとうだお!!」 自分のすべてを知ったら 二人はもう普通に接してくれないだろう。 でも今 少しの時間だけでも人の温もりを感じていたい 小さいけど暖かい ブーンは自分の居場所を見つけられたような気がした。