専門家。例えば、医者。弁護士。靴屋。野球選手。大学教授。学校教師。通訳人。格闘家。音楽家。デザイナー。警備員。プログラマー。新聞記者。警察官。自衛隊員。パイロット。タクシー運転手。窓拭き掃除夫。エレベーターガール。ウグイス嬢。ある特定の、決められた範囲の仕事をこなす人は、ある意味全て専門家だ。
総合家(聞きなれない言葉だけど)。社長。総理大臣。大統領。監督。
人はこだわれば専門家になるし、人を巻き込む大きなビジョンがあれば総合家になるだろう。どちらの仕事もそれなりに魅力があるし、夢もある。
ただ、考えてみればその求められる資質がまるで違う。
例えば清原は、性格は悪くてもホームランを打てばいい。逆に言えば、清原は性格がよくてもホームランを打たなければ、専門家としての役を果たしていない。
例えば通訳家は、極端に言えば性格は悪くても正確な通訳を手際よくできればいい。逆に言えば、性格はいくても外国語の話せない通訳家は、専門家としての役を果たしていない。
でも堀内監督はそうはいかない。人がついていきたくなるような人間としての魅力、選手時代の実績や力量、頭の良さや心配り、業界でのネットワークの広さなどなど、総合的な力が求められるだろう。
小泉総理もそうはいかない。
意志と夢、断固とした決意、人間の器の広さ、説得力、人のよさ、理解力、計画性、言葉遣い、バランス感覚などなどが求められるだろう。
総合家は夢を持って、専門家の知識を集めて利用して、まとめて力にしていく。一対一ではたった一人の専門家にもかなわない総合家が、多くの専門家の上に立って、専門家の束がかなわない力を自在に操る。
他にも面白い違いがある。
専門家の求人はあるけど、総合家の求人は(あまり)ない。
専門家の資格試験はあるけど、総合家の資格試験はない。
専門家になるためのテキストは売ってるけど、総合家になるためのテキストは少ない。仮にあったとしても(「思考は現実化する」などがそうだ)、一部の人だけ大絶賛する。
自分も、小さな組織ながら、その違いを毎日感じている。例えば俺は絵を書くことやデザインは大好きだけど、今取り掛かってるある作業について、デザイナーを雇っている。なぜなら、それを自分でやっててはスピードが遅くなるから。他にも自分の得意分野を人に任せていく毎日のなかで、総合家の究極の仕事は夢を追うことだと、改めてふと思った。