GUINGAのそのユニークで豊穣な音楽に出会ったのは、1999年だった。岡山「ディスクトランス」の店主でありミュージシャンのN村さんに強く推薦されたからだ。
今までのブラジル音楽のどの作曲家にもあてはまらない、ユニークな楽曲、一聴分かりにくいんだけど何故か心に響いてくる少し変わったメロディー、ギターのテクニックに次第に惹かれていった。
それから数年経ち、去年EGEAのHPでクラリネットのGABRIELE MIRABASSIとのDUOによるGUINGA集がリリースされるのを知ってすぐにサニーサイドレコードへ注文したのだ。
EGEAレーベルの印象はエスニック風味の少し強い、地中海の潮風の香りがする海と空と太陽といったイメージをもっているのだけど、そのイメージがブラジルの都市から少し離れた郊外の家々で夜毎につま弾かれるヴィオランの響きといったイメージに見事にコンバインされて、サウンド的にミラバッシとギンガはまるで何十年の旧知の仲の様に調和のとれたデュエットを繰りひろげる。
秋にこのCDを手に入れてちょうど落ち葉の季節にカベルネソービニオンを飲みながら聴いたものだが、桜咲く今の季節に聴くのも良いかもしれない。
桜のピンク、暮れなずむ時間帯のオレンジと群青の中、金木犀のなまめかしい香りを嗅ぎつつ過ごすのにこの作品はうってつけかもしれない。
豊穣と平穏、拡散と収束、月と太陽、オレンジとブルー、ギンガのギターとミラバッシのクラリネットはそんな言葉遊びを連想させる一卵性双生児のような息のあった演奏を展開。
目を閉じて一度この二人の会話を聴いてみてほしい。
録音は2003年9月29,30日 10月1日 PERUGIA