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2004/09/26
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2日間もさぼってしまいましてごめんなさい。
最初は、「レインボームーンストーンって
ラブラドライトの一種だったのか~。
んじゃ、ちょっとそのあたりを調べてみよう」
くらいの気持ちだったのですが、
みごとに返り討ちにされてしまいました。

ラブラドライトの和名は曹灰長石(そうかいちょうせき)。
大きいくくりでみれば「長石(フェルドスパー)」の仲間です。
そのほか、おなじみの石では、
アマゾナイトも、ムーンストーンも、サンストーンも長石の仲間。
ちょっと耳慣れない名前ですが、カットされることもある石では、
サニディン、オーソクレース、オリゴクレースなども含まれます。
ずいぶんいろいろな石が含まれていると思ってしまいますが、
それも道理、長石グループの鉱物はさまざまな岩石に含まれている、
最も主要な造岩鉱物なのだそうです。

このように、とても大きなグループである長石というものに行き着いてしまったので、
何をどうまとめてよいやら……。
頭を突っ込めば突っ込むほど、訳がわからなくなりそうなので、
普段よく目にする石を中心に頭を整理してみました。

まず、長石なのですが、
主にアルミニウム、珪素、酸素が主成分で、
そのほかにカリウム、ナトリウム、カルシウムのいずれかを含みます。
どれをどのくらい含んでいるかによって、
カリウムかナトリウム、またはその両方を含んでいるアルカリ長石類と、
ナトリウムかカルシウム、またはその両方を含んでいる斜長石類の
ふたつに大きく分けることができます。

さらに、アルカリ長石類と斜長石類の中でも、
成分の割合によって細かく分かれていくのですが、
言葉で説明するとこんがらかってしまいます。
ちょうどよい図があったのでそれを利用させていただくことにしました
ただし、図を無断で借用することはできませんし、
図に出てくる用語も難しく、いちいち頭で「翻訳」しなければならなかったので、
自分なりにアレンジして、回りに対応する石を並べてみました。

長石2

なるべくわかりやすくと言うか、
自分の頭にはいるようにまとめてみたのですが……

右上の図を順番に説明していくと、
正長石(オーソクレース)が、カリウムを成分とする長石、
曹長石(アルバイト)がナトリウム、灰長石がカルシウムを成分とする長石です。
そして、カリウムとナトリウムの両方を含む長石はアルカリ長石、
ナトリウムとカルシウムを含む長石は斜長石と呼ばれます。

正長石(オーソクレース)は褐色から透明の石で、
マダガスカルからは、透明で黄色い美しい石が出ます。

このオーソクレースの変種となるのが、
アデュラリアン・ムーンストーンで知られるアデュラリアとサニディンです。
アデュラリアは、スイスのアデュラー山脈にちなむそうです。
漢字で書けば氷長石。サニディンは玻璃長石です。
この二つの違いは、アデュラリアが低温で結晶したのに対し、
サニディンが高温条件で結晶したということにあります。

ここで、ムーンストーン(月長石)はどうなるの?
アデュラリアン・ムーンストーンと普通のムーンストーンの違いは?
……と思われた方もいらっしゃると思います。
私も思いました。
ところが、さすが大きな長石グループ、
なかなか複雑でよくわかりません。
うーんうーんとうなりながら、整理してみると……

まず、ムーンストーンの神秘的な輝きの秘密は
その結晶の構造にあります。

正長石は、カリウムを含む長石ですが、
わずかにナトリウムを含んでいるものがあります。
この場合、高温下では一つの結晶なのですが、
温度が下がっていくと、別の安定な2つの鉱物
つまり、カリウムを含む正長石(オーソクレース)と
ナトリウムを含む曹長石(アルバイト)に分離してしまいます。
(これを離溶(りよう)といいます)
その結果、正長石の中に成分の違う曹長石の薄い層ができ、
2種類の長石の薄い層が何枚も重なる構造になります。
(このような薄い2種類の鉱物からできた構造をラメラといいます)
この層状構造に光が反射して、ムーンストーンの輝きが生まれます。
ちなみに層状構造で、曹長石のほうが薄いと青みをまし、厚いと白みが増すそうです。

つまり、(私が理解したところによると)
ムーンストーン(月長石)というのは、
アデュラリア(氷長石)のような、
特定の鉱物につけられた名前ではなく
正長石の中で層状構造による輝きを持つ物につけられた名前なのです。
(アデュラリアでもムーンストーンではない石もありますし、
サニディンでもムーンストーンのような効果を持つ石があります)

この、層状の構造によって石に浮かび上がり、
石を動かすとそれにつれて大きくゆっくり移動して見える光の現象を
アデュラレッセンス(またはシラー、シーン)といいます。

ここで、ちょっと話がずれるのですが、
シーンやシラー、アデュラレッセンスなどの用語についてメモしておきたいと思います。
ムーンストーンについて調べていて困ったことのひとつがこの用語です。

ある資料では、ムーンストーンの光の効果をアデュラレッセンスと言い、
アデュラレッセンスはシーンやシラーとも呼ばれるようですが、
違うところではイリデッセンスはシーンやシラーと同義であると説明されています。
かと思うと、ムーンストーンはオパレッセンスを示す長石であるとする資料も出てきます。

ひとつの効果を表すのに、こんなにたくさん言葉があるなんて変です。
そこで、推測と独断を交えつつまとめてみました。

まずわかったのはオパレッセンスです。
ちょっと見るとオパールの虹色を表す言葉かと思ってしまいますが、
オパールの虹色のことは、「遊色効果(プレイ・オブ・カラー)」と言います。
オパレッセンスは、結晶中の微細なインクルージョンによる光の散乱(ミー散乱)効果で、
メキシコオパールの一部やミルキークォーツの一種であるジラソルに見られるように、
石全体を包むような柔らかな白い輝きを指します。
※資料によるとジラソル(ジラゾール)はオパレッセンスの同義語だと言うことです。

※ジラソルのことをオパールの輝きを持つ水晶とする説明がありますが、
 これは、オパレッセンスを示す水晶であるという意味でしょうか?

次にアデュラレッセンスです。
これは、ムーンストーンで観察される特殊効果であると説明されています。
オーソクレースとアルバイトからなる層状構造によっておこる光の散乱で、
層が薄ければ青い光となり(レイリー散乱)、厚い場合は白い光となります(ミー散乱)。
宝石業界では、青い光を放つ方が良質とされるそうです。

お次。ややっこしいのがシーン(sheen)とシラー(schiller)、そしてイリデッセンスです。
シーンは英語、シラーはドイツ語だと言うことなのですが、
ムーンストーンの白・青の光をシラー(シーン)と表現している例が
たくさん見られる一方、複数の宝石用語のサイトで
シーン(シラー)をイリデッセンスと同義の言葉であると説明していました。

では、イリデッセンスがどういう意味かというと、
結晶の内部構造によって光の干渉が起こった結果現れる、
虹のような遊色効果……ということになります。
石の種類で言えば、ファイヤーアゲートやアイリスクォーツなどです。
アイリスクォーツというのは、水晶の内部にカコクセンナイトなどの鉱物が
薄い膜状に結晶し、虹色の効果を見せるものです。
アンモナイトの化石の一部で見られる真珠貝のような虹色もイデリッセンスだそうです。

ここで疑問です。

ちょっと話が先に飛んでしまうのですが、
この雑記の一番最初でも書いたように、
「レインボームーンストーンはラブラドライトの一種」なのです。
実は成分も違うのですが、見分け方は
『白か青以外の光が見えればレインボーラブラドライト』です。
……ということは、ムーンストーンの光の効果を現すのに使う
シーン(シラー)がレインボーの色合いを意味するイリデッセンスと同義では変です。

おっかしいなあ……と調べたところ、
この言葉は、特殊効果(phenomenon)の類義語で、
狭い意味ではアデュラレッセンスと同義として用いられるとする資料がありました。
特殊効果とは、結晶のインクルージョンや構造によって起こる光学的効果のことで、
キャッツアイ効果や、オパールの遊色効果などいろいろなものを含む言葉でした。

これなら納得できます。
つまりシーン(シラー)は、構造やインクルージョンによって
石の表面に現れる光を広く指す言葉で、
その中で虹色の効果をイリデッセンス、
オパール特有の構造による虹色を遊色効果、
同じ微細なインクルージョンによるものでも
光が拡散して石全体が淡い光に包まれるような輝きをオパレッセンス、
正長石の層状構造によるものを特にアデュラレッセンス、
先に飛びますが、
もう一つラブラドライトに見られる虹色の輝きをラブラドレッセンスと呼ぶのだ……と
考えれば、とてもスッキリするのですがいかがでしょうか?


長くなったので続きは27日の日記へ






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Last updated  2004/09/26 11:34:39 PM
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