『謎解きはディナーのあとで 2』東川篤哉、小学館文庫、単行本初版2011年11月15日
昨年2011年は、『謎解きはディナーのあとで』が大ブレークし、ついに11、12月と2巻ともテレビで放送された。まだ本書が出た直後なのに、出版される前から撮影していたことは明らかだ。
さて、本書『謎解きはディナーのあとで2』は、もちろん『謎解きはディナーのあとで』の続編だ。六話からなる。
「第一話 アリバイをご所望でございますか」。若い女性が刺殺された。聞き込みの中で、同じ職場に勤める元恋人が、容疑者として浮かび上がった。しかし、完璧なアリバイがその男にはあった。
同時に、殺された女性も、アリバイ工作をして、出かけていたことが分かった。
いったい、どうなっているの?
「第二話 殺しの際は帽子をお忘れなく」。若い女性が、死んでいるのが彼女の部屋で発見された。浴槽で、全裸の状態で死んでいた。部屋から数個の帽子が盗まれていたことがわかった。
彼女のパトロンと思われる三人の容疑者が浮かび上がったが、一体なぜ犯人は帽子を盗んでいったのか?
「第三話 殺意のパーティにようこそ」。麗子が出席したパーティで、彼女の友人が襲われた。幸いにも被害者は、命に別条はなく、同時に犯人を見ていた。被害者が言うには、「赤いドレスを着て、緑のブローチをしていた。知らない人だったが、見たことはある」というものだった。
この目撃証言を頼りに、影山の謎解きが始まった。
「第四話 聖なる夜に密室はいかが」。クリスマスイブの朝、ある女子大生の死体が彼女の住む借家で、発見された。ちょうど前夜、雪が降り、あたりはうっすらと雪が積もっていた。玄関へと通じる路地は、目撃者が往復した足跡と、被害者が昨夜乗って帰った自転車のタイヤの跡が残っていた。家の窓の周辺にも、雪が乱れた跡はなかった。
いったい犯人は、殺害後、どうやって脱出したのか?
「第五話 髪は殺人犯の命でございます」。大手家電量販店の経営者の屋敷で、最近亡くなった社長の姪が殺害された。また、腰まであった長い黒髪がバッサリ切られていた。
最近、社長の愛人が、自分にも社長の遺産の相続権があると言って、屋敷に乗り込んできたことがあったらしい。
事件の謎を解くカギは、なぜ、被害者の髪の毛がハサミで切られていたかだ。
「第六話 完全な密室などございません」。著名な画家・松下慶山が、自宅のアトリエで殺害された。物音に気づいて、駆け付けた者が慶山を抱き起こすと、まだ息があり、壁に描かれていた眠り姫の顔の部分を指差して、意識を失った。
そのアトリエの窓には鉄格子がはまっており、完全な密室だった。犯人はどうやって逃げたのだ。
謎の解明へ、影山の推理がさえる。
本書の最大の読みどころは、第六話の最後の最後で、麗子が影山のことを「あたしの大切な人」と叫ぶところだ。
もちろん、影山や風祭のギャグも冴えわたる。
ホーム・ぺージ『推理小説を作家ごとに読む』も御覧ください。
http://bestbook.life.coocan.jp