十条家の惨劇~十条家の惨劇~ 【京友禅の秘密】所収キャサリンがカメラマンとして活躍しているアメリカの雑誌で、日本の特集をすることが決まり、日本の家屋や古い家庭のしきたり等を取材することになった そこでキャサリンは、浜口一郎の紹介で御所の近くにある十条家に居候することに 十条家は平安時代からの貴族で、和歌の道を職業とした由緒正しい家柄である 広大な邸には土蔵があり、その中には貴重な古文書や美術品が沢山あるという 好奇心旺盛なキャサリンは、その膨大な美術品のほかに、複雑な十条家の人間関係にも興味を持っていた 十条家次女の千早とキャサリンは、錠を開けて土蔵の中に入ると、首吊り死体を発見する それは十条家当主・良信の弟、秋信だった 秋信は前日、良信を訪れていたが憤慨して帰っていく姿をキャサリンは目撃していた 解剖の結果、秋信は他殺と判明するも、キャサリンは疑問に思った なぜ、犯人はわざわざ秋信を自殺のように見せかけたのか? 密室状態の土蔵にどうやって入ったのか? その後、土蔵の密室のからくりを見事解いたキャサリンだったが、事件はさらに起きた なんと土蔵が全焼し、焼け跡から数多い美術品の灰とともに男女の焼死体が発見される それは、十条家長女の朱理に、研究の為に居候していた大学助教授の麻野敏夫だった 連続殺人の動機は、十条家の莫大な財産か?それとも…? 当主の良信、長男の雪彦、次女の千早、お手伝いの加代… キャサリンは、犯人は家族の4人の中にいると断定しながらも動機が判らずにいた そして十条家を襲う悲劇はまだまだ続くのであった… ~感想~ 由緒ある家柄に生まれたが故の悲劇ともいうのだろうか でも、理由はどうであれ、人を殺めてはいけない 罪を犯してまでして守るべきものとは一体何だったのだろうか 自分はごく一般の家庭に生まれたのでその思いは判らなかったが… この作品は短編でありながら、読み応えがありかなり面白かった という事で、私的評価は星【★★★★☆】4つです ◆この作品のドラマ化作品◆ 平成2年8月4日放送 土曜ワイド劇場 『京都・十条家の惨劇、華麗に仕組まれた密室トリック!犯人は家族の中にいる…』 出演/町村佐知子…岡江久美子/浜口一郎…名高達郎/狩矢警部…若林豪/十条良信…山形勲/十条朱理…山村紅葉/十条雪彦…村田則男/十条千早…大橋雅子/原田加代…久保田民絵/橋口警部補…伊庭剛/北川麻矢…浅見美那/麻野敏夫…武井三二 ほか …タイトル前のナレーション “平安時代からの美術品、古文書の山が何百年もの長い歳月を眠り続けてきたこの美しい土蔵…その名門十条家をめぐって、この時思いもかけない惨劇が密かに始まっていようとは誰一人知る由もなかったのです” …ドラマの内容 哲学の小径でペーパーアートの店『風の館』を経営している佐知子は、スポーツクラブで十条千早と知り合う 十条家は平安時代からの名家で、大学時代日本美術史を専攻していた佐知子は十条家に泊まり込み、土蔵に眠る美術品を見学させてもらうことにするが、十条家をめぐる連続殺人事件に遭遇する …ドラマの感想 ドラマは、ほぼ原作に忠実に製作されている 原作が短編小説なので、2時間ドラマに内容を膨らませる為、殺人が増えたり、他の小説作品のエピソードを組み込んだり、小説では登場しない人物(長男の婚約者)が出てきたりとかなり脚色されているものの、無理なく話が進んでいく ちょっと役者の脇役陣が地味なのは、火事のシーンなど、制作に費用がかかったからだろうか? と、勘繰ってみた |