福寿草の殺意~福寿草の殺意~ 【向日葵は死のメッセージ】所収年末のある日、浜口一郎は、キャサリンのお伴で、おせち料理やお正月用の花の買出しで錦市場に出かけていた 買い物を済ませ、浜口が自宅のマンションに戻ると、パトカーが2台停車していた 近くにいた中年の女性に聞くと、住人の女性が変死体で発見されたという 自分の部屋へ戻りかけると、顔馴染みの京都府警・橋口警部補に出くわした 事件は、浜口が住む1件挟んだ部屋で起きていたのである 立ち話もなんだからと、浜口は橋口を部屋に招きいれた 妹が交通事故に遭い、その事を知らせに来たと言う友人によって遺体で発見された江坂夏美は、『ごめんなさい、許して』というメモを残して毒を飲んで亡くなっていた 同じフロアに住んでいた事から、橋口から、夏美の事に関して聞かれた浜口だったが、美しい人という印象しかなく、面識がなかったので特にこれといって話すことはなかった 橋口が帰ったあと、浜口は早速キャサリンに電話すると、好奇心旺盛な彼女はすぐに浜口の元へとやって来た そして、話をしているうちに事件に興味を持ったキャサリンは、ベランダ伝いに事件現場を覗こうと行動に出た 幸いにも隣りは、以前は波川次郎という男性が住んでいたが引っ越してしまい、秋以降は借り手がついていなかったので難なく移動し、カーテンが開いている窓越しに、事件が起きた部屋の写真を何枚か撮った 現像された写真を見て、キャサリンはあることに気づいた それは夏美が倒れていたちかくに福寿草の蕾がひとつ落ちていたということである どうしても現場を見たくなったキャサリンは、橋口警部補にお願いして、少しだけならという事で、現場の部屋を見せてもらうことに成功 キャサリンは、持ち前の洞察力・観察力で、造花などは沢山飾ってあるが1本も生花がないことや点鼻薬があること、部屋の様子などを見て、付き合っている男性がいること、夏美は植物アレルギーであることを直感した 事故に遭ったという夏美の妹である冬美は、偶然にもキャサリンが講師として勤めている英語教室に通う生徒であることが判明 見舞いを兼ねて病院へ行くと、キャサリンの推測どおり、夏美は植物アレルギーで花粉症だった為、生花は飾らないことと、数人の男性と付き合っていたことを冬美から聞き出す 予備校講師を務めていた夏美の華やかな異性関係が事件に関係しているのか? 植物アレルギーの夏美の遺体のそばに、なぜ福寿草の蕾が落ちていたのか? 事件の謎を追っていくと、意外な犯人像が浮かび上がってくるのだった… ~感想~ 福寿草の花の由来には悲しい謂れがある その悲劇を絡めた作品を書きたかったのかもしれないが、強引・偶然に頼りすぎたストーリーのプロセスに無理があり、事件の解決も唐突に訪れるので、作品としてはイマイチ 福寿草に秘められた悲しき由来に注目したのは、花好きの作者ならではの視点なので、もうちょっと練り上げればまた違った作品が出来ていたのでは?と思うと残念 という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです ◆この原作のドラマ化作品◆ ありません |