アメリカ人の遺書~アメリカ人の遺書~ 【グルメ列車殺人事件】所収お正月、浜口一郎はキャサリンと過ごしていると、2人のもとに京都府警の狩矢警部が訪ねてきた 昨夜、エリザベスというアメリカの富豪が殺され、英語で書かれた手紙を残していたので、読んで聞かせてほしいとの事だった 2枚の便箋のうち、1枚には“私は殺されるかもしれません”と書かれており、“私は日本語の字は書けないので、犯人の名前の文字があるこの日本の新聞名を写します”と乱れた字で締めくくられていた そして、残りの1枚の便箋には、日本の漢字で『朝日新聞』とだけ書かれていた エリザベスと何度か面識があったキャサリンは事件に興味を持ち、下鴨にあるエリザベスの家に、事件の関係者の観察がてら弔問に訪れた タンカー会社社長の未亡人であるエリザベスは、世界旅行の途中で立ち寄った日本の京都が気に入って長期滞在しており、秘書やお手伝い、同居人といった大勢の人物と暮らしていた そのなかで名前に、ダイイングメッセージである“朝日新聞”の文字がつくのは、秘書の綿野朝子、同じく秘書の毎坂新一、同居人女性の朝川ユキの3人 エリザベスの家では日本の新聞を数紙とっており、その中でもわざわざ朝日新聞とダイイングメッセージに残していることから、朝の字がつく秘書の朝子か、朝川ユキのどちらかが犯人ではないかとキャサリンは睨む エリザベスは、自分が死ねば50万ドルずつ渡すという遺言を同居人皆の目の前で見せていたのだが、最近になって遺言書を書き直すと言い出していたことから、お金絡みの犯罪の様を呈してきた なかなか犯人の的が絞れないなか、キャサリンは朝日新聞を見ているうちにある事に気づき、事件の突破口を見つけるのであった… ~感想~ 物語のキーとなる、新聞紙の名前のダイイングメッセージには一本取られた 新聞は当たり前のように毎日目にしていたが、この作品を読むまで全く気づかなかった そういった小さな視点から、今回のような作品を生み出す著者の発想力に改めて驚かされる ラストの、主人公ふたりの会話も洒落ていて素敵 という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです ◆この原作のドラマ化作品◆ ありません |