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カテゴリ:プロ野球(メジャー)
GM会議が開催されている米国アリゾナ州フェニックス。2日間に渡って、1時間ほど各球団のGMがメディア対応する機会が設けられている。ホテルの広間が貸し切られ、取材に訪れている番記者、コラムニストらが集結。そこにGMが現れ、限られた時間内に可能な限り各GMに今オフの補強ポイント、トレード市場の感触、残留交渉の過程など色々な質問をぶつけることができる。
球団のポスティングが注目される広島の前田健太、オリックスの金子千尋、両投手に関して、メジャー側は「まだ正式にポスティングが決まっていない選手に対して、コメントは差し控えたい」(レッドソックス・チェリントンGM)というように、控えめなものが多かった中、阪神から大リーグ移籍を目指して海外FA権を行使した鳥谷敬内野手(33)については、ナショナルズ、アストロスなど複数球団が獲得に備えた調査をしていることを明らかにした。 今季のナ・リーグ東地区を制したナショナルズのリゾGMが「高い能力があり、成功するだろう」と言えば、アストロズのルノーGMは「いい報告を受けている」とコメント。ニューヨークポスト紙は1日付けで「守備が優秀という評判の高いベテラン」と紹介し、ブルージェイズやロイヤルズが興味という報道も出た。しかし、「調査をしている」というのは、「ぜひウチに来てほしい」というラブコールではない。社交辞令とは言わないが、基本、質問をぶつけられた球団首脳は、当該選手を尊重し、「いい選手と聞いている。調査している」というのが定例だ。 FA市場は動き始めたばかりの段階だが、現状を見る限り、米国では鳥谷の名前は、それほどの騒ぎにはなっていない。あるア・リーグのGMは「リスペクトを持ってコメントするなら、彼はいい選手と聞いているが、ウチでは考えていないね」と語った。 背景には、ここ数年の日本人内野手の苦戦で、その市場価値が下がっていることもあるだろう。アスレチックスと契約した中島裕之が今季はとうとう2Aにまで降格し、メジャーの舞台を踏めず、米国球界と決別した。 ツインズの西岡剛も不本意な成績で日本球界に復帰。日本で30本塁打を放った松井稼頭央が、米国では最高9本塁打に終わったことや、人工芝育ちの日本人野手が守備的に天然芝の多いメジャーのスピードへの適応に苦しんでいる情報は、各球団に流れており、日本人内野手の獲得に対して、及び腰になっている現状がある。 今、このタイミングでメジャー移籍を目指す日本人野手にとっては、受難の時代と言えるだろう。 そんな中、韓国の大型遊撃手、姜正浩(27)がポスティングによって米国球界入りを狙っていることも明らかになった。公式戦39本塁打、115打点、打率.354の攻撃型遊撃手は、メジャーでも注目されており、代理人を務めるアラン・ニーロ氏は「もし、アジアの内野手の評判が最近、下降気味だというのであれば、彼がその評価を一蹴する存在になるかもしれない」と自分のクライアントに自信満々だ。 国際市場を視野に入れている球団なら、33歳の守備的な鳥谷より、27歳のスラッガーに興味を抱くのが自然の流れかもしれない。 ジーターが引退し、遊撃手の獲得が必須のヤンキース・キャッシュマンGMは「遊撃手の市場は、非常に限られている。市場に出ている人材そのものが少ないし、トレードで獲得するにはその資金、交換要員などコストが膨大になる」と語った。 3年連続ゴールドグラブ受賞のJJハーディーが、先月オリオールズとの3年契約を締結し残留が決まった。ドジャーズからのクオリファイングオファーを却下したハンリー・ラミレスらの名前が挙がるが、そんな中で鳥谷は地味な存在だといわざるを得ない。 あれほど、ブルージェイズに愛された川崎宗則内野手でも、2年連続で40人枠に入るメジャー契約をゲットできないほど、メジャーの現実は厳しい。鳥谷に関してメジャー側は調査を行ってはいるものの、実際にどれだけの球団がメジャー契約をオファーするのかは、不透明だ。 鳥谷がどこまでの意思でメジャーを目指すのか。マイナー契約を含め、厳しい条件でも絶対メジャーでプレーしたい強い移籍願望があるのか。鳥谷のメジャー移籍を考察するためには、鳥谷自身の覚悟の程と、現実の市場価値を見極める冷静な分析が必要だろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.11.13 07:41:42
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