カテゴリ:読む・観る・聴く
人間の三大欲求は「食欲」「性欲」「睡眠欲」だというけれど、
もう一つ「物語欲」というのが人間の本能に組み込まれているのではないか・・・というオハナシ。 「物語欲」というのは、イメージする自分に自分を近づけたいという欲望のことだ。 そして人間はこの欲望は時に三大欲求を抑えてまでも満たそうとする。 私の理解する『わが心のフラッシュマン』のテーマだ。 この本は何回も読みなおしているけれど、本当に難しい。 筆者がこのテーマに向かうきっかけになったのが『超新星フラッシュマン』だったので読み始めたのだが、 前半の梓節で書いてある『フラッシュマン』ワールドの考察とは裏腹に、 後半は何度読んでもとても重い。 この本の内容にけっこううなずく部分もあって、一時期特撮に距離を置いたことさえある。 セルフイメージとかイデアとかなりたい自分とか何でもいいのだが、 そういう「ありうべき自分」の物語を誰もが持っている。 これがプラスに働く時はたとえば女性がものすごく美しくなったり、 受験生が第一志望の学校に合格したり、 厳しい鍛錬を経てスポーツ選手がオリンピックで金メダルを取ったりする。 しかしマイナスに働く時は現実の自分を責めたり傷つけたりする可能性をはらむ。 私は「自分探し」という言葉が嫌い。「そこにいるだろ!!」と言いたくなる。 よりよい「ありうべき自分」の姿を求めるのはよいけれど、 現実の自分を認め、励まし、褒め、激励し、慈しむのも自分しかいないと思うから。 この本、『フラッシュマン』ファンには楽しめるし(特に前半)、 そうでなくても面白いと思うのだが既に絶版になったようだ。 図書館には置いてあるところも多いので、読みたい人は時間のある時にどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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