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詩人たちの島

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October 26, 2007
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カテゴリ:essay
barefootで3500キロの山道を歩き通した人がいる。Appalachian Trailと言って、アメリカの東部のアパラチア山脈ぞいにハイカーのための道があるが、その全行程を196日間かけて、しかも裸足で歩いたというのだから、これには驚いた。

彼の名はロナルド・ゼレスキーという。56歳の男性である。実は、彼の裸足史は長い。ロナルドは海兵隊だったのだが、彼は最後のところで、ヴェトナムには派兵されず、アメリカで事務的な軍務につかされたのだが、同期で一緒に訓練した友人たちはヴェトナムに行き、そこで戦死した、自分だけが生き残ったという罪悪感から、彼は自らを痛めるために裸足の生活をはじめた、33年間も。こんな人物がアメリカであれ、日本であれ、会社人として、生活できるはずがない。離婚は2度。今は一人。その彼のトレッキングスタイルというのがすさまじい。ぼくらが想像するような、山登りのオジサン、オバサンのモダンな装備ではなく、自分が作ったという、形容もできない貧弱な装備だけで、しかもそれを腰の周りにぶらさげて、木の杖をつき歩いているのである、もちろんシュラフなどというものはないから、寝るときはいつもロッジである(これが、要所、要所にあるのが、このTrailのいいところ)。もちろん、日本流の山小屋のような贅沢なものではない、ただ屋根がある小屋だ。

彼の目はきれいに澄みわたり、かれの足は丸太のように大きい。でも、彼の心は常に弱く、常に自らを責め続けて生きてきた。彼はいう、自分は自らを責めるだけで生きてきたが、今は政府に対してすべての帰還兵の心のケアに取り組むように運動をしている、それから少し変わってきた。ロナルドはこの道を踏破したとき、叫び声をあげた、そして日本のカメラマンを呼び寄せて抱きついた。そして泣いた。あなたは、まだ裸足でいますか?と訊ねられて、彼は家に帰ったら靴を履くと答えたのである。

四国88箇所のお遍路さんのような物語にテレビは仕立てようとするが、そんなものを越えて、この男の凄さはそれだけで伝わってくる。(Appalachian Trailは、アメリカの88箇所のようなものかもしれないが。)

ここは「Walden」のソロー先生が足跡を残したところでもあるので、私もいつかは、その御跡を慕い、歩いてみたいという思いもある。








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Last updated  October 26, 2007 10:19:06 PM
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