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2009年03月30日
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カテゴリ:業務報告

あおぞら航空には珍しく(笑)、久々にエアライン時代のお話です。

先日ご紹介した「はやぶさ」記事へのコメントで応急処置に関するコメントを

多数頂戴し、ありがとうございました。訓練時代のことを振り返ってみましょう。

飛行機

入社すると、まず会社や路線について基本的なことを学んだら、

「セイフティ・トレーニングセンター」というところに入ります。

飛行機の構造、緊急事態発生時の対応や、救急救命処置をみっちりと学びます。

晴れて終了できたら、やっと憧れの制服を着て、機内サービスを

モックアップ(機体模型)を使って実習しながら学びます。

全ての訓練を終えると、最初のフライトはひとり人数から浮いた形で見習います。

今日は、この中で「セイフティ・トレーニングセンター」を覗いてみましょう。

 

ここでは、動きやすい私服の上下の上から、訓練用のつなぎを着ます。

座学と実習、両方あります。

自動車の運転免許に種類があるように、パイロットでなくとも

我々キャビンクルーも、乗務するには「機種資格」というものが必要です。

機種資格を持っていない機種には、乗務することが出来ません。

我が社の場合、一番最初はまずB747の機種資格を取り、

その後追加で他の機種資格も取っていきます。

同じB747-400でも、一つひとつの機体にアルファベットコードで

名前が付いており、それぞれ微妙に緊急時に使用する道具の場所や数が異なり、

それらを全て覚えなくてはなりません。

シップ(飛行機)に乗り込んで真っ先にやるのは、「セキュリティ・チェック」です。

不審なものがないか、お手洗いのゴミ箱の中まで点検します。

緊急時に必要な道具が、所定の場所に所定の個数あるか、

状態は使用済みだったり壊れたりしていないか?チェックします。

不備があればすぐにグラウンドスタッフに報告し、

ドアクローズ前までに代替品を持って来てもらいます。

これが来ない限り、離陸出来ない規定になっています。

シップごとの緊急時の道具の場所・数は、それほど重要なことなのです。

 

「セイフティ・トレーニングセンター」では、あらゆる緊急事態への対処を訓練します。

火災発生時には、火災の種類(原因)によって消火器を使い分けます。

機内に煙が充満しているのに緊急着陸できない場合、

(大海原の上だったり、近くにジャンボ機が着陸できる滑走路がない、等)

上空でドアの一部を開けることもあります。

 

離陸前の非常用設備のモニターで言っていますが、

「酸素マスクは必要な時に自動的に降りてきます。」

この後が大事な部分。

「お子さま連れのお客さまは、先にご自身にマスクを当ててから

お子さまに装着して下さい。」

酸素マスクはディコンプレッションの際に降りてきます。

酸素が足りない状態。ものの10秒で気を失います。

お子さまに当てているうちに、自分が気を失うのです。

必ず、自分を安全にしてから、お子さまも守りましょう。

 

皆さんもTVニュース等でご覧になっていると思いますが、

陸地で着陸に失敗したり、エンジンが火を噴いたりした際には、

ドアからシューターを出して、滑り降りて避難していただきます。

クルーには、先に滑り降りて下でアシストする者と、

最後まで機内に残って、全てチェックしてから脱出する者とが居ます。

フライトごとにブリーフィングの際に、チーフパーサーが役割を決めます。

約400名の乗客を、90秒以内に全員脱出させなくてはなりません。

何度も何度もシューターを滑り降りました。

遅いとトレーナーから怒られて、また全員でやり直しです。

ジャンボ機は高さもあるので高所恐怖症の方には怖いと思いますが、

自分の命のためですから、どうか思い切って飛び降りて下さい。

 

このシューターは「スライドラフト」というぐらいで、

ディッチング(海に不時着)の際には、ボートになります。

乗客をラフトに誘導したら、機体からスライドラフトをナイフで切り離しますが、

万一間に合わない場合でも、機体が沈み始めてある一定の力がかかると、

自動的に切れるしくみになっています。

海上では、少しでも体力の消耗を避けるため、キャノピィ(ビニール屋根)を張ります。

クルーひとりでは無理です。乗客に、お手伝いいただきます。

この訓練用に、プールがあります。泳ぐテストもあるのです。

距離や速さはあまり問われませんが、金槌ではスチュワーデスにはなれません。

 

 救急救命法については、乗客の症状による、考えられうる原因と

その対処法を学び、人工呼吸や心臓マッサージも何度も練習しました。

最愛の実父にすることになるとは、このときは夢にも思いませんでした・・

 

「セイフティ・トレーニングセンター」のトレーナーたちは、鬼のように恐ろしかったです。

毎日小テスト、また、授業中の質問に答えられなくても返答が遅くても、怒鳴られます。

実技演習の時も、ものすごく緊迫した雰囲気で、本当に手が震えるような訓練でした。

実技も合格しないといけないし、ペーパーテストも80%取れなければ、

“You can go home.”

「国に帰っていいよ。」 = クビです。

大学受験のときは少しだけ勉強しましたが、学生時代の4年間

アルバイトばかりしてちっとも勉強しなかったので(爆)、

眠っている“NO ミソ”を叩き起こして暗記しました。

ひとり立ちしても、定期的に訓練の見直し研修とテストがあり、

研修とテストにパスしないと免許を失い、乗務停止になります。

いま振り返ると、このクルー時代以降、またさっぱり頭を使っておらず、

“NO ミソ”状態です・・

 

しかし、この厳しい訓練のお陰で、自分たちの任務が

いかに責任の重いお仕事なのかということを思い知りました。

決して“憧れ”だけでは出来ないお仕事です。

機内サービスも、安全があって初めて出来るもの。

私たちは、サービス要員の前に、保安要員であるのです。

 

“This is the only time you can order your passengers!”

「乗客に命令できるのは、この時だけだぞ!」

緊急事態のときだけは、乗客に命令して全員の救助のために協力してもらえ。

ずっとリアルに耳に残っています。

 

サニーは外資系だったので、訓練もフライトも生活も、全て英語でした。

緊急事態発生時に叫ぶフレーズも英語で訓練を受けているので、

いまでも頭の中ではその分野は英語のままです。

日本のエアラインだったら何と叫ぶのか、大変興味があるところです。






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最終更新日  2009年12月02日 18時21分10秒
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