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2008.05.04
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テーマ:ニュース(99473)
カテゴリ:カテゴリ未分類
 周りの人たちを巻き添えにしかねない硫化水素自殺が相次ぐ。「第1号」は昨春の香川大生。1年後、また香川大生が同じ道をたどった。
 編集部 大重史朗、西谷格

 香川県高松市内にある5階建てマンションの3階に住む女子大生(18)が「異臭」に気づいたのは、4月28日の夜8時か9時ごろだった。卵が腐ったようなにおいが部屋に漂ってきた。「ガス漏れかな」とも一瞬思ったが、そのまま寝た。
 真っ青になったのは、翌29日の昼前だ。通報を受けて駆けつけたガス会社の職員に、外に非難するよう指示された。その後、消防車や救急車、さらに警察車両が次々に駆けつけた。
 隣の部屋に住んでいる香川大3年生(20)が、室内で硫化水素を発生させて自殺していたのだ。

周辺に一晩漏れ続け

 警察などによると、男子学生は内側から粘着テープで目張りしたトイレの中で倒れており、そばに洗剤と入浴剤を混ぜた液体が入ったバケツが置いてあった。玄関の壁には「硫化水素発生中」という張り紙があり、警察が付近の住民約40人を避難させる騒ぎとなった。
 死亡したのは28日の夜とみられ、女子大生が異臭に気づいた時刻とほぼ重なる。つまり、猛毒の硫化水素が一晩中マンション周辺に漏れていたのだ。
 女子大生は複雑な表情でこう語った。
「4月に引っ越してきたばかりなので、男子学生の顔も知らないけれど、巻き添えになったらと思うと、怖い。生きててよかった。」
 硫化水素を使った自殺が、全国で相次いでいる。特に今年3月から急増し、新聞各紙の報道などによると、4月だけで少なくともほぼ60人に上り、1日に、3件連続することも珍しくなくなった。
 多くのケースの手法に(1)自分でトイレ洗浄剤と入浴剤を混ぜて硫化水素を発生させる (2)内側から粘着テープなどで目張りをする (3)「硫化水素発生中」などと書かれた張り紙をして周囲に危険を知らせる──などの共通点があるのが特徴だ。
 そして、こうした連鎖の起点となったのが、昨年3月6日、くしくも冒頭のケースと同じ香川大の4年生だった男子学生(24)の自殺とみられるのである。
 香川大にとっては、学生の硫化水素自殺が2年連続で起きてしまったことになる。安倍文雄副学長は、「ショックを受けています。ただ今回のケースは去年の自殺と直接関係があるというよりも、全国で発生している自殺の連鎖反応ではないでしょうか」
 と話した。学内の保健管理センターの相談員を増やすことなどを検討するという。
 その「第一号」の現場となった高松市内の2階建てアパートは、JR高松駅から南へ約5キロの住宅街にある。
 男子学生は工学部知能機械システム工学科に所属していた。大学関係者によると、愛媛県松山市内の高校を卒業して同大に入学。2年留年したが、指導教授は「ゼミにはきちんと出席していました」と話す。動機は不明だが、卒論も仕上がり、3月末に卒業できるめどがついた中での自殺だった。

サイトが自殺方法紹介

 当時アパートの周りには硫黄のようなにおいが立ち込め、ガスマスクを装着した消防隊員がベランダの窓ガラスを割って部屋に突入した。男子学生が風呂場で倒れており、部屋中に高濃度の硫化水素が充満していた。
「近所の人は家に入って、窓を閉めてください」
 ガスマスクをした消防隊員やレスキュー隊まで出動するなど騒然とした中、警察は付近の住民に大声で呼びかけた。アパートの前が通学路になっている近くの小学校では、子どもを外に出さないように教室で待機させる事態にまで発展した。
 男子学生の部屋の玄関には鍵がかけられ、中にはトイレ用洗剤と入浴剤を混ぜて硫化水素を発生させた形跡があった。ドアには、危険を知らせる張り紙がしてあった。その後各地で続発する硫化水素自殺と同じやり方なのだ。
 だが、この男子学生が自分でこうした方法を編み出したわけではなさそうだ。
 地元の警察署は自殺を確認した数時間後、ある資料を入手していた。いろいろな自殺の方法を紹介するインターネットのサイトをプリントアウトしたものだ。警察は、男子学生がこのサイトの影響を受けて自殺にいたったのではないかとみていたようなのだ。

「練炭とちがう自己顕示」

 そのサイトを改めてインターネットで検索してみた。
 首吊り自殺や練炭自殺の方法などを紹介した後に、「硫化水素による自殺」という項目が設けられている。「トイレ用洗剤と入浴剤を混ぜる」「目張りをする」「張り紙を張る」などと説明されている。さらに化学式まで使って硫化水素の発生方法を解説している。
 また、05年12月に秋田県湯沢市の泥湯温泉で、一家4人が中毒しした事故も紹介されている。当時大きく報道され、硫化水素ガスの恐ろしさを広く知らしめた事故だ。「第1号」の男子学生がこのサイトを見ていたとすれば、硫化水素の威力を十分認識したうえで、ことに及んだはずだ。

 このサイトは今年4月半ばまで内容が更新されていた。どんな人物がどういう目的でサイトを作ったかは定かでないが、硫化水素自殺をした人たちのほとんどがこうしたサイトを参考にしたことは疑いがない。
 自殺の連鎖でほかに思い当たるのは、練炭による自殺だ。ここ数年で増え、ネットで道連れの仲間を募るケースなども後を絶たない。
 しかし、東京都足立区のヒガノクリニック院長で、精神科医の日向野春総さんは、ネットで知り合った者どうしが林の中などでひっそりと死ぬ練炭自殺と、硫化水素自殺は明らかに性質が異なる、と指摘する。
「硫化水素自殺をする人は、ネットを参考にしながら自分なりに硫化水素を合成させ、『知的な作業をしているんだ』と自己顕示欲を一段高いところから見せつけている。『注意してください』と張り紙をしてはいるが、周囲で生活をしている人がどうなるか、真剣に心配しているわけではない」

自殺の敷居低くなった

 4月25日には東京・有楽町にある外資系高級ホテル「ザ・ベニンシュラ東京」の宿泊客が硫化水素自殺を図り、多数の宿泊客が避難する騒ぎになった。
 なぜ大都会の真ん中の高級ホテルを死に場所にするのか。不可解にも思えるが、これこそ自己顕示欲を見せつけた一例なのかもしれない。
 発生直後に現場を通りかかった50代の男性会社員は「人を巻き込まないでほしい」と迷惑顔で憤ったが、結果的に新聞やテレビで大きく報じられ、「自己顕示」という意味では有効な死に場所だった。
「各地で連鎖する盛り上がりは異常ですね。まるで高層ビルの大規模火災で、一人の宿泊客が窓から飛び降りると、次々と飛び降りる人が増えるような感じと似ています」
 自殺の流行はこれまでにもあった。かつては北関東の著名な滝や都内の団地が「自殺の名所」になった。そしてネットで出会った者どうしが自殺を図る練炭自殺に次いで、今回の硫化水素自殺が出現した。
「自殺の敷居が低くなってきている」という碓井教授は、
「『他人の迷惑も考えないで』と怒りたくなるのは同感ですが、まじめに死と直面している人にとっては、自分が責められているように感じるので逆効果。家族や宿泊客が巻き添えになるなど決して(自殺は)美しいことではないことを伝えることが大事です」
 とアドバイスする。
 また、インターネット事情に詳しいフリーライターの百舌鳥伶人(もずれいと)さんは、
「何でも情報が得られることを『知る権利』と言えるか疑問になってきた。自殺サイトのはんらんはインターネットが手助けしている側面もある。検索してもサイトがでないように検索サイト側の対策も必要だ」
 と具体策を提言する。
 硫化水素は、色が無色で卵が腐ったようなにおいがあり、空気より重いのが特徴で、濃度が高くなるにつれてにおいを感じなくなる。吸い込むと、のどや目の粘膜などに刺激を感じ、昏睡状態に陥り死亡する。密室の中など高濃度だといきなり倒れることもあるという。
 昭和大学教授で毒物学が専門の吉田武美教授は、
「少しでもそれらしいにおいを感じたら、部屋の中に入るようなことはせず、すぐにその場を離れることが第一です」
 と巻き添えにならないための自衛の注意を呼びかける。
 
 (AERA 2008.5.12号)



 硫化水素などで検索すると自殺サイトが多数見つかります。
 材料はトイレ洗浄剤のサンポールと入浴剤の六一○ハップ(むとうはっぷ)で、必要量はサイトで自動計算できる。張り紙はサイトの画像をプリントアウト、市販品のような張り紙ができます。
 六一〇ハップが手に入らない場合は,農薬の石灰硫黄合剤で代用可能で、石灰硫黄合剤はホームセンターの園芸コーナーで購入できると紹介されていました。

 練炭とちがう自己顕示の自殺と述べているが、そうとは言えないと思う。数十年前都市ガス自殺が多発したため、都市ガスは一酸化炭素を含まないガスになった。練炭自殺は一酸化炭素ガスを利用したものであるが、乗用車など密室の狭い空間が必要であり手法が容易とはいえない。
 硫化水素ガス自殺は一酸化炭素ではないが、ガスの発生が簡単で1人でも実施できる。練炭自殺と同路線、進化したものと思える。
 
 10年以上前データハウスの「完全自殺マニュアル」がベストセラーになった。わら人形や丑三つ時のお百度参りの方法を書いた日本文芸社の図解マニュアル本が図解のため分かりやすかった。自殺サイトの図解説明とにているように思う。





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最終更新日  2008.05.04 06:02:18
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